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帝国対お嫁さん

ナントカという北の帝国に来たぜ。

ちょびっと山越えが賑やかだったけど、まぁ順調だ。

…………えーと、何しに山越えて来たんだっけ?

「ピヨ」

そうだった。カントカというお姫様をズンドコしちゃうんだっけ。ありがとうピヨちゃん。

「ピヨ」

「何故慎吾様は妻たる私に聞いてくれないのでしょうか。」

久しぶりに宿に泊まった夕べ、たっぷりと可愛がったので、ツヤツヤでテカテカになったお嫁さんが膨れてる。

ユカリさんは、最初から何も考えてないのでニコニコ笑ってる。

うん、一番信頼おけるのは小鳥というのは、どうなんだろうか我が家。


そんなこんなで賑やかに街道らしき道をのんびりと北上して行ってのさ。俺達。

お嫁さんがご機嫌ななめでぷりぷりしてたけど、そこはホレ。

処女を美味しくご馳走してくれて、何度も身体を重ねた2人さ。

ついこの間、男を知ったばかりの小娘が俺に敵うわけなく。うなじをさわさわしてあげるだけで、涙目になってへたり込みました。

チョロい。

「おかーさんチョロい。」

「仕方ないじゃない仕方ないじゃない。私の弱点、全部慎吾様に知れ渡られたし、知らない弱点まで開発されちゃったし。」

「ないわー。おかーさんないわー。」

「私を揶揄うのは宜しいのですが、腰が抜けました。下穿きが湿ってしまいあったかくて恥ずかしいです。助けて下さい。」

サユリさん、そこまで弱かったかな。

「全部、ぜーんぶ慎吾様のせいですからね。責任をとって貰うんだから。」

戸籍とかどうなってんだか知らないけど、結婚したんだから責任は取ったと思うよ。

ひと月もしないで娘も出来たし。

「たしー。」

「責任取ってね。って言って見たかっただけです。先月まではおボコのまんま一人旅してたのに、いきなりモノごっつい旦那が出来ちゃったから、乙女として色々妄想していた事が全部すっ飛んで、毎晩気絶させられるとは誰が思おうか。」

意外と余裕があるお嫁さんでした。


街道なので人通りもあるから、道を外れて森の中に逃げたれ。

腰の抜けたお嫁さんをおんぶすると、後ろからガッツリ抱きつかれて耳を甘噛みしてきやがった。

まだ真っ昼間王(テレビ◯日)だし、ここで発情されても困んなぁ。

まだ、次の宿場まで距離あるし。


森に入ると、俺から代わりの下穿きを受け取ったお嫁さんは、藪の中に消えてった。

「私もいこーか?」

というユカリさんを制して、ピヨちゃんがお嫁さんの肩に止まってった。

ユカリさんは、幼女のフリしてるけど、中身はそれなりに生きたエンシェントドラゴンで、大人体型はお嫁さんよりおっぱいが大きいのがトラウトです。

サーモン食べたいなぁ。(ボケツッコミしないよ)

ピヨちゃんが雄か雌か知らないけど、居りゃあ安心するだろう。

凄いぞ。亭主よりも嫁に信頼されてる小鳥。


さて、俺は下草を座布団に一休み一休み。

帝国は北にあるからか、空が低い。

山を越えてからこっち、曇ってばっかだ。

お嫁さんも外套を着るか脱ぐか迷って、片手に持っちゃあ、寒くなって来て、歩っているうちに暑くなって脱いでを繰り返してた。

もう少し薄手の外套出そうか?って聞いたら

しばらく考えて、首を横に振った。

「慎吾様のお心使いは嬉しいのですが、この外套を気に入ってるの。」

と、前半丁寧語、後半甘ったれな返事をくれたし。

あの、なんとかという武道家のセンセーがくれた地図(頭の中にセーブ済み)を検索してみると、帝都まで大体徒歩であと3日。

ドラゴンちゃんで行けば今日の夜には着けるけど、うちのドラゴンちゃんが帝都に現れたらパニックになんだろうし、テクテクとテクシー(死語)でのんびりと、って事だ。


「うぎゃあああああああ!」

ふむ、あの色気のカケラもない悲鳴はうちのお嫁さんだな。

薮からガサガサという音が響いてお嫁さんが飛び出して来た。

袴と下穿きを振り回して、下半身すっぽんぽんで。

うん、下の毛は色も量も薄い、いつものお嫁さんだ。

「どこで本人確認してんですか!あと、そんなにしげしげと顔を近づけて覗かれると、また濡れちゃいます。折角着替えるのに。」

んー。ある意味、本人より俺の方が隅々まで見てるから詳しいぞ。あと、具の具合も。

で、お色気満点な格好で、色気のカケラもない悲鳴あげてどうした。

覗きまで出たか?2000人くらい。 


「はい。見られました。」

どうやってさ? 

「遠眼鏡で。蛇神さんが教えてくれたの。見られてるでって。」

すっかり便利グッズになってた蛇神であった。…であったって、時代小説じゃないんだから。

「わけのわからない事言ってないで下さい。あなたの妻が視姦されたのですよ。」

何処からそんなHENTAIな単語を身に付けた?

あ、こらお前かユカリさん。 

「夫婦仲を良くする為に、色々吹き込んでいるのです。」

最近、随分と仲が良いと思ってたら。

「女同士の下ネタなんかエゲツなさにキリがないのです。だって女は快感を受ける方ですから、どんどん知識と経験がエスカレートしていくんです。」

ユカリさんが全部わかって幼女してるのは知ってるけど、うちのお嫁さんはまだまだ初い少女の筈なので、あまり淫らな女にしないで下さい。女を育てるのは男の快感なので。

「だってパパに手を出すとお姉様に殺されるから。おかーさんで我慢してんの。」 

その三者の呼び方が違うのはなんとかなりませんか?微妙に力が抜けんだけど。

「むーりー。パパはパパだし、お姉様はお姉様だし、おかーさんはおかーさん。私の距離感と恐怖感を見事に使い分けているのです。」

そうですか。

「慎吾様!それよりも、痴漢をなんとかして下さい!」

お嫁さんはいい加減、下穿きと袴を穿きなさい。いつまで観音様をご開帳してんのよ。

「草履をそこに忘れちゃたの。」

まったく、この甘えん坊でうっかり者のお嫁さんは。


とりあえず替えの草履を出してあげると、いそいそと下半身を隠してくれた。

いや、うっふ〜んとか遊んでたから、両手をわしゃわしゃしながら近づいてってみたのさ。

さすがにセクハラされて喜んでる場合じゃない事くらいは、頭が時々おかしくなるお嫁さんにも理解できたので。

「それで、慎吾様の事だから2000人という人数に確証があるんですよね。」

ん〜。森はそんなに深く無いみたいだね。全力疾走すれば、麺が茹で上がる時間であちら側に抜けられるかな。

そっちに部隊が展開してるね。

その数が2000人。

「部隊って言う事は、軍隊って事ですね。盗賊とかでなく。」

2000人の盗賊って言うのは、それもそれで軍隊だけどね。

「何しに来たのでしょう?」

俺達を御指名で来たのなら、直ぐに教えてくれるよ。



「お前らが南の王国から派遣されて来た刺客だな!」

やっぱりね。森の中から叫び声が聞こえてくる。というか、俺達刺客だったんだ。

「そういえば今まで聞いてませんでしたけど、慎吾様はお姫様をどうするつもりだったんですか?」

ん〜?行き当たりばったり?

「相変わらず滅茶苦茶な。」

だって選ぶのは向こうだよ。俺があの愉快な敗残兵さん達に頼まれたのは、王国壊滅を知らせる事だけだもん。

「壊滅させた張本人が言う事ですか⁉︎」

だから俺はな〜んも考えてないの。

あっちが勝手に俺を殺しに来るから、片っ端から撃退してるだけだもん。

「だもんって。」

だもん。

「キャー!慎吾様可愛い可愛い。どうしようどうしよう。今すぐ始めましょう。2000人の兵隊達に見せつけてやりましょう。」

しまった。ユカリさん助けて。お嫁さんが頭おかしいモードに突入しちゃった。

「人の話を聞けえええぇ!」

ほら、2000人が怒った。


「我が帝国の客人にして、皇太子妃候補の王国王女を暗殺しに潜入した事は、既に調べはついている。両国の友好の為、ここで全てを終わらせてもらう!」

両国の友好だってさ。 

「王国ってもう無いのにね。」

って言うか、誰かが嵌めたにしては早すぎるな。王国滅亡で俺達が帝国に来た事なんて、知ってる人は数人だし。

なんかと間違えられてるかな?

「関係ありませんね。」

あれ?お嫁さんの様子がおかしい。

「私の身体は、爪先から髪の先まで全て慎吾様のものです。触って舐めて愛撫して良いのは、ただ一人慎吾様だけです。見てもいいのは、慎吾様と私達の家族だけです。その誓いを冒す者には死を。」

あれれ?


「ガーーーーーーー!」

お嫁さんは天空に向かい一言吠えた。

そして静かに抜刀の構えに入る。

お嫁さんの得物は竜骨剣。特徴として、特に魔法はかかってないけど、とにかく鋼よりもしなやかで丈夫。あと、脂が纏わりつかないので、体力が続く限り敵を斬り続けられる。

軽く半眼にした後、気圧を込めて大きく眼を見開くと、森の中から響めきが聞こえる。

一角黒熊を震え上がらせた、お嫁さんの殺気だ。

ところで、森の左右から何かが走ってくる音するなぁ。

まぁ、正体は知れてるし、新しいスキルを身につけたみたいね。お嫁さん。

「参る。」

微かに聞こえた低い声を合図に、お嫁さんは抜刀して森に切り込んだ。

同時に背後から蛇神が示現し、全ての首を振り回してお嫁さんのスペックを大幅に上昇させる。

そこに左右から突っ込んで来た音の正体、一角黒熊の女王お嫁さんに命じられ、一角黒熊が2000人に襲いかかった。


…ユカリさん、ピヨちゃん。

どしよか?お嫁さん。

「おかーさん。ひょっとして私より強いのかな。」

うーん。エンシェントドラゴンとはいえ、神性では蛇神の方が上だしなぁ。

それにほら、胎内に毎晩俺が注いでいるから、俺の式神的な力も持ってるし。

こないだ一角黒熊を手懐けちゃったから、なんか加勢に来てるし。

「こないだのもパパの指導だよね。おかーさんがああなったのはパパの仕業かあ。」

まぁ、サユリさんは俺の弟子になりたくてお嫁にきた、順番が滅茶苦茶な人だから。

「滅茶苦茶じゃない人いないじゃん。」

「ピヨ」

「あんたもやでピヨちゃん。」


馬鹿話をしているうちに、森の中から勝鬨が聞こえて来たぞ。

蛇神背負った女に斬りかかられて、左右から熊に襲われちゃ2000人といえども一溜まりもなかったみたいね


「全滅させて来ました。」

のうのうと森を出てきたお嫁さん。知らないうちに襷を掛けてるぞ。

「袖が邪魔だなぁと思ってたら、蛇神さんが掛けてくれました。」

やっぱり便利グッズ化してたか。

で、2000人全部殺しちゃったの?

「ううん。無益な殺生は、私がさすがにまだ年端も行かない子供なので峰打ちしてたんですけど、知らないうちに一角黒熊が左右から鶴翼の陣を敷いて皆殺しにしてました。2000人は熊のご飯になるそうです。」

クマー。


こうして、帝国第四軍が文字通りこの世から(熊のお腹の中に)消滅してしまいました。

災厄の塊になったお嫁さんは、壊れた草履を履き替えると。

「早く宿に行きましょう。すっかり興奮しちゃったので、早く苛めて下さい。今夜も気絶したいです。」

エロモードが収まらないまんまだったよ。

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