宣戦布告とかもうね
「隊長は殴られた拍子に首が千切れて即死。副隊長は袈裟懸けに一刀両断されました。他の隊員はその場で全員逃げ出して、私一人が残りました。彼からの伝言を預かって居ます。
『俺達は城下の宿屋にあと3日滞在する。文句あるなら直接来い。』と。」
「…………」
「そしてこれを預かっております。」
私は二枚の鱗を目の前の男に渡した。
「一枚は神龍様の鱗、もう一枚は蛇神様の鱗。彼らが使役する神様達の鱗です。言うまでもなく神龍様一柱でこの国を簡単に滅ぼせます。蛇神様の能力は文献に無い為分かりかねますが、少なくとも人間が使役できる様な存在ではありません。」
「…………」
「大体、素手で裁判所を破壊出来る人間相手に私如きでは塵芥ですね。なので私は命が惜しいので、この頼みはこれ以上受けられません。あとは、この国の正規兵で戦ってください。恐らくこの国の国民全員が瞬殺されて、この城は一撃で破壊し尽くされます。」
「どう思う?」
「はっ。提出されて居る鱗は爬虫類系の物。一つ一つは大きいので、それなりの巨体の鱗には間違い無いと愚考します。」
「だが、それが神龍や蛇神の物とは限らないと。」
「あの武闘家が怖じけ付き、討伐隊が一人も戻らない事は事実かと思います。恐らく相当な手練れであるのかと。」
「ならば、物量作戦で潰せば良いな。」
「恐らくは。」
的な事を悪〜いお偉いさんが、隠し部屋とか私室とかで酒を飲みながら悪巧みを考えたんだろうなぁ。
それにしても流石は霊剣。人間くらい、骨を斬るゴリっとした手答えも、脂が巻いて切れ味が鈍る事もなく、ひのふのみいと、大体300人位豆腐を切るが如く簡単に斬れたなあ。
あ。どうも、俺です。
今、俺の周りには俺に斬り掛かって来た300人位の人間の、腕とか頭とか胴体とか足とかを丸く山に積まれてます。
その中心では何やら指示を取っていたおじさん達がガタガタ震え上がってます。
折角さ、ちょっと高級な宿屋(の離れ・特別室)に泊まって、おねむになったユカリをお父さんしながら寝かしつけて、2日ぶりにお嫁さんを可愛がってたのにさ。
あんな殺気を撒き散らしてたら、俺は兎も角お嫁さんが落ち着かないっての。
蛇神を使役して、人間としては有り得ないスペックアップしちゃったお嫁さんに気が付かない訳が無い。
とはいえ、あまり刺激的な場面をお嫁さんに見せるのはどうなんだろう。娘が起きちゃったら教育に良く無さそうだ(エンシェントドラゴンの実年齢は何百歳なのか知らないけど)。
「ピヨ?」
おう、頼むねピヨちゃん。
「あ、あの慎吾様?んくっ…」
ピヨちゃんが見張ってるから、俺達の邪魔はさせないよ?
「あの、そう言う訳にも!つつぅ…」
まだ二回目だし可哀想だけど、ここはちょっと強めに行くかな。
「つ、強めにってこれ以上されたらわたしわあ……」
はい、まだまだおっぱいが未発達なお子様ですが、俺はとっくにお嫁さんの弱点を全て把握しているので、攻め方を変えるだけでたちまち痙攣し始めましたよ。
で、ここで一発稲妻シュート!
「〜〜〜〜!!!」
で、少し攻める手順とペースを上げてさっさとお嫁さんを気絶させちゃった。
そのかわり明日の晩は優しくしてあげよう。
何しろ俺が全然一回も全く満足してない。
くたぁっと力と正気を失ったお嫁さんに、綺麗にお布団を被せてっと。
んじゃ、ピヨちゃん。ちょいと片付けて来るから、俺の奥さんと娘を守ってね。
「ピヨ!」
ダブルバイセップスを羽根で決める小鳥ってどうなんだろう。
と思いつつ外に出てみたのさ。
そしたら、黒装束の集団が有無を言わせず斬り掛かってきたので、斬り返したのさ。
いやいや、流石は霊剣。途中から面白くなって如何に人間を一太刀で細かく微塵切り出来るか、こら逃げるな。首筋掴んで、んじゃとりあえず足から。
とか、遊んでたらこんなんなっちゃって。
反省。
「おおおおお前は、貴族殺しなしゅしゅ」
あ、噛んだ、ついでにしゅしゃって俺着けてないし。
「主犯として我が国では指名手配されてててているるるるる」
この国の人は針の跳んだレコードかなんかか?
大体さ、俺は旅人で山を越えて入国したら、勝手に捕まって勝手に死刑判決で見せ物にされかけたから、勝手に反撃しただけだぞー?
せんせーとやらに俺達の事、聞いてたらこんなバカしか思いつかない人海戦術の正面突破なんかするはずないのにね。
「きききき聞いてたけど、こんな化け物だとは思わないじゃ無いか。でも、大人しく出頭すれば…」
もっと簡単な方法があるんだぜ。
よっと。
俺は肩から担いでいた剣を無造作に振り抜いた。
ゴウッというソニックブームがした後は、見上げていた城の右半分が無くなっていた。
「国ごと滅ぼしちまえば、罪なんかどうでも良くなるよな?」
おじさんの一人は驚嘆のあまり顎を外し、慌ててもう片方のおじさんが叫んだ。
「あ、あそこは王族達がお休みになられていたあたり、お前まさかまさかまさか。」
ん〜。全滅だろうね。
で、こんなつまらない事を考えたバカは残りの半分にいるのかな?
「こんな事していいと思っているのか?」
ん〜だって、先に喧嘩売って来たのも、切り掛かって来たのも全部そっちだぜ。
戦争を仕掛けて来たなら、国が滅ぶ覚悟くらい有って然るべきだろ?
だから、やるぜ。
剣をもう一振り。そこには、白亜の城は影も形も無くなっていた。
無論、人間も。まさしく塵のレベルまで細かく微塵切りにしたからね。
もう、おじさん達からは何も声が出なかった。
ところでさ、なんで街の住民が誰も出てこないと思う?
「何かなされた訳でございますか?」
おや、敬語になった。
ここの住民が全員寝っぱなしだとしたらどうする?(お嫁さんは気絶だけど)
「まさか」
そのまさかだとしたらどうする?
「貴方様は、人の精神を操れる。しかしこの帝都にはおよそ10万の民が…10万程度問題無いと仰る?」
後、もう一つ。
俺ので周りの首やら腕やら腰やら太腿やら足首やら、ほっといたらスッゴイ邪魔。
なんて、片付けよう。
んじゃ。頼むよ。
そういうと、その頭やら腕やらが全部宙に浮かぶ。ついでに地面に流れ出たり、地中に染み込んだ血も。
理屈は簡単。俺が使役している魔神の一人、重力魔神の力を逆回転させているだけ。
これは気をつけないと、そこら辺のものわまとめて飛んでっちゃうので、予め浮かす物を指定しとかないといけない。
なので、斬りまくっている時に同時に生物には髪の先から爪先の爪まで存在するもの、すなわちDNAに刻印を施してある。
つまり、俺が指定したモノは全て重力魔神が操れる様になるという訳だ。
で、重力の逆回転とは、重力が利かなくなるまで、即ちこの惑星の重力圏の外まで勝手に飛んでいく訳だ。
ほうら、俺に斬りかかって刀の錆になった300人くらいがこの惑星の地表から細胞一つ残らず消えた。
まぁ仮に重力圏が俺の計算より低くても、大気との摩擦で蒸発する。
うん、なんて自然に優しい俺。
「これからどうしよう。」
「ひんほふにへめほまへはは。」
あら、顎外したおじさん、まだはまって無いんだ。
んじゃ、剣の鞘でひょいと。
…そんなに飛び上がる事ないじゃないか。
「違うわ。」
あ、おっこって来た。
「貴方様はちょっと触っただけかも知れないけど、物凄い衝撃で空飛んだわ。よく舌を噛み切らなかったもんだと、我ながら感心したわい。」
つうか、5メートルくらい飛び上がったよな。
その落下の衝撃はどうなんだ。
「わからん。落下衝撃は全くなかった。」
ああ、魔神か。お前の仕業か。
何?生かしとけって言うの?わかったよ。
で、ふがふが何か言ってたね。
「本当に王家を殺し尽くしたならば、明日からどうしたらいいのか。分かり次第隣国が攻めて来るぞ。」
へーたいさん残ってんだろ。
「指揮系統が全滅しとる。将官は基本的に城住みだからの。」
なら、抵抗しなけりゃ良いんじゃない?
組織的抵抗出来ない国に暴力ふるう様な馬鹿はそうそういないだろ。
(余程恨みを買ったか、狂信者でない限り)
「そういうモノなのか。」
この世界の人間の知能はどうなのか知らんけどね。
なんかぶつぶつ言い始めたおじさん達はほっぽらかって、宿に帰ってきましたよ。
お疲れピヨちゃん。さ、寝よか。
「ピヨ」
羽根でサイドチェストする小鳥ってどうなんだろうと思いながらベッドイン。
気絶している筈のお嫁さんが巻き付いて来たよ。…気絶してるよな?
なんなら再開しても良かったけど、蛇神チートの本能で抱きついて来ただけっぽいので
素っ裸のお嫁さんの柔らかさだけを堪能したまま寝ます。ぐっすん。