何もない回
「いーやーじゃー」
蛇神をテイムして戻ってきたら、儂ドラゴンに駄々を捏ねられた。
「儂蛇嫌い。やーなのー。蛇やー。」
儂なのか幼児プレイなのかはっきりしなさい。
「あの〜慎吾様?」
ああ黙ってていいよ。面白くなりそうだから。
「あの、私どうしたら?」
蛇神は小さな白蛇と化してお嫁さんの袂から顔を出している。舌をチロチロ出しながら。
いやあね。蛇神をテイムしたのは良いけどどうすっかなあ、異世界にステイさせとくかなぁと1人で考えてたのさ。
そしたら「デカい図体のままだと邪魔でしょう」と蛇神が20センチくらいの子白蛇に化けてくれてね。
そしたら、うちのお嫁さんが、
「可愛い!」
って蛇神を抱きしめたのさ。
この世界にも居たよ。爬虫類女子。
「(美味しそう)」
なんか物騒な本音が聞こえたけど、優しい旦那様の俺は丁重に聞こえないふりをしてあげたのでしたまる
で、蛇神はお嫁さんの肩に巻き付いたり
着物の中に潜り込んであちこちから顔を覗かせる遊びをしながら洞窟の出口まで戻って来たわけよ。
そしたら、お留守番をしていた一人称「儂」のドラゴンちゃんがイヤイヤをし始めちゃった。
「ドラゴンちゃんよ。その図体でイヤイヤされても可愛くないんだけど?」
「む?ならばこれでどうじゃ。」
ドラゴンちゃんは人化(ただし今朝方のお姉ちゃんじゃなくてロリ化してる。
「いーやー!やーなのー。蛇やー。」
「どうしましょう慎吾様。エンシェントドラゴン様が可愛い幼女になってしまいました。抱きしめていいですか?お持ち帰りしていいですか?」
いいよ。
にじにじとにじり寄っていくお嫁さんから逃げた幼女が俺の方に駆けて来た。
「蛇を身につけたまま抱きしめようとしないで〜。」
蛇を身につけるって、なかなかアバンギャルドな表現をするドラゴンちゃんだ事。
あとサユリさん。本気で泣いちゃうからそのくらいにして差し上げろ。
えぐえぐベソをかき始めた幼女儂ドラゴン(要素多すぎ)をひょいと抱き上げる。
「まぁまぁ慎吾様?まだまだ新品の私よりも幼女の方が好きなんですか?変態さんです。」
ん?俺は普通に幼女もイケる口だよ。
「え“」
ハイハイ引かない引かない。
大体サユリさんだっておっぱいぺっちゃんこだし、15歳っていう年齢も性欲を抜きにしたら俺の倫理観ではギリギリアウトだ。
「私あうとなんですか!」
だからちゃんと責任取ったでしょ。
「あとおっぱいはまだ成長中ですから。沢山揉んで沢山育てて下さい。」
「おい主さまよ。お前の嫁はなんじゃ。この身体のまま主様に抱かれる事は儂としては藪坂で無いし大歓迎じゃが」
大歓迎なんだ。
「主様の嫁には黒いものを感じるぞ。」
「うふふうふふうふふうふふうふふ。」
「ヒイッ。」
怖がった儂ドラゴンに思い切り抱きつかれたわけだけどさ。やっぱり身体が固くてあまり嬉しくないなあ。
あとお嫁さん。どさくさに紛れて乏しいおっぱいを強調しない様に。
「うふふふふふ。」
あまり怖いと離婚しますよ。
「で?なんでこうなる?」
こっちのドラゴンちゃんがすっかり幼児帰りしちゃったので、とりあえずうちのドラゴンちゃんを呼び出してみました。
「折角捕まえた雌を舐め狂わせてて忙しいんだけどなぁ。」
まだ保ってるの?
「おう、さすがは腐っても竜種。何回か気絶したけど、みんなまだ精神は安定してる。」
うわぁお。
「もうすっかりアタシ依存になってるからな。しばらくはアタシの相手はいらんぞ。嫁をたっぷり可愛がると良い。」
慌ただしくて初夜に処女をたっぷり頂いた後は放置状態だけどね。
「見ての通り、こっちのドラゴンちゃんが幼児帰りしたまま戻らなくなったんだよ。」
「何があったらそうなる?」
「うちの嫁が蛇持って笑いながら近づいてったらこうなった。」
「怖いわー。おんしの嫁、怖いわー。」
「あたしのせいですかあ?」
「蛇は龍の天敵でな。いや別に力で負けるとは思わんが苦手に思う若い龍は多いのよ。」
三竦みみたいなものかな。
「とはいえ、まさか人間に追い詰められるとわのう。さすがは我が主の妻よの。」
「あのう、あたし確かに調子に乗って悪ふざけしましたけど、龍って神様の部類に入る存在ですよ。あたしはただの百姓娘ですよう。」
あーなんだ、まず一つ。俺と契りを交わしている事。お嫁さんの生理日から逆算しておとといは中に放流してるから、霊格的に俺の持ち物になったんだろう。
そこのお嫁さん、赤くならないの。
「1人の女として、妻として。お慕いしている殿方のものと認めて貰える事が嬉しいだけです。わーいわーいって踊りたくなります。」
「おんし、よくこんな変なの嫁にしたな。」
ここまで変だとは思ってなかったんだよ。
ただ道端で初対面でプロポーズされただけで。
「ああそうだった。我が主は面白さ優先な御仁だった。」
一応さ、見かけも悪くないし剣の腕も悪くない。
何よりも処女だったから。
「「「そこかい!」」」
おう。蛇神にまで突っ込まれたぞ。
「それともう一つ。サユリは蛇神をテイムしている。神を使い魔にしてるんだ。そりゃそこら辺の若い龍くらい手球に取れるさ。」
「あのあの。あたしただの百姓娘。慎吾様の嫁。おかしい。こんな筈じゃあ。」
何故カタコト?
「で、我を呼んだ理由は?早く舐めに戻りたいんだけど。」
一応ほら、こっちのドラゴンちゃんがこの有り様じゃん。いま俺達結構ど田舎の崖の中腹に居るわけよ。とりあえず人里に帰りたいのと(寒くてピーちゃんが俺の帽子から出てこないし)、ドラゴンちゃんをこのままにして竜人の里を離れるわけにもいかんでしょ。
ついさっきまで、ちゃんとしたドラゴンだったのに、今やただの幼女になって俺の首にしがみついてるわけでさ。どうしよう。
「主様達を人間の生活域までつれて行けばいいんだな。龍はそこら辺におっぽらかしとけばその内正気に戻るだろ。」
「やーの。パパと一緒なの!」
「「「パパ」」」
ドラゴンちゃんがヒシっと俺に抱きついた。
さすがは理由。少し痛いのに簡単に剥がせないぞ。
「なんて事なの。正妻のわたしですらまだ一回しか可愛がって貰ってないのに子供が出来ちゃった。」
「あははは。これは良い。神を使役する人間を妻とし、龍を妾とし、今また龍を養子にするか。」
「あのさ、俺がパパになるのはともかく、ママは蛇の人だぞ。」
「あたしを蛇人みたいに言わないで下さい。」
「パパが守ってくれればいいもん。」
いいんだ。……ならいっか。
「「良いの?」」
うん。そっちの方が面白そうだ。
「あはははははは、さすがは我が主。器が違うなぁ。」
「あの、ドラゴンさん。器で決めちゃって良いんですか?慎吾様は一応貴女の恋人でもあるんですよね。」
「言い忘れとったがな、我が奥方。龍は快楽主義者だ。面白そうな方に流れる。それで何かトラブっても力尽くで丸ごと無かった事にするから。」
「知ってます。よーく知ってます。貴女が慎吾様のお妾さんである事が染み染みとわかりました。」
「おんしが我が主のつがいにふさわしい女性である事もな。」
「う"う"。否定出来ません。」
ああ、幼女龍の名前が無いと言うので「ユカリ」と名付けてみました。
理由は俺がゆかりおにぎりが好きだから。
あとユカリがビービー泣くので蛇神は異次元に放り込んどきました。
あーれーとか楽しそうだったからいっか。
サユリさん?貴女、神様の飼い主なんだから名前つけたげなさいよ。
「おかしい。あたしはおとといまで男性経験すらない、ただの田舎者の百姓娘だったはずなのに。なんで神様を飼って龍にお母さんと言われているんだろう。」
内緒ですが、どこの世界でも俺の周りにいるとこうなってたよ。




