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逃避  作者: アンマンマン
5/5

発端


ガツン!


イテぇ!


真っ暗な闇の中で目を覚ました私は動こうとして頭を何かに打ち当てた。


新型肺炎の蔓延で出されていた外出自粛要請が解除された日、私は久しぶりに外出する。


元々在宅勤務で会社に出社するのは週に2~3度だった事もあって生活に殆ど影響は無かった。


しかし、自発的に家に閉じこもっているのと無理矢理閉じ込められているのとでは気分が違う。


だから解除された日に都内のデバートに買い物に出掛けた。


買い物を終えエレベーターに乗る。


解除初日の所為もあり買い物客はまばらで、何時もだとエレベーターもそれなりに混みあっているのにエレベーターに乗っていたのは私1人。


車を止めてある地下の駐車場の階にエレベーターが着く直前、突然激しい揺れがエレベーターと私を襲う。


地震か?


デバートが倒壊しているのか重量物が崩れているような音がエレベーターの外から響き、エレベーターの天井に物が落下しているのか天井が歪む。


実際には数分だと思うが、私には十数分続いていたように感じた揺れが治まった。


エレベーターの中は真っ暗で、非常電話は通じずエレベ

ーターから出ようとしても扉はビクとも動かない。


スマホで助けを求めても通じず、周りをスマホで照らす。


エレベーターの天井や扉など全てが歪み内側に大きくへこんでいて、それなりに広かったエレベーターの中は狭苦しくなっていた。


履いていた革靴で扉を幾度叩いても外から何の音も帰って来ない。


スマホの電池の消費を抑える為に電源を切り、体力が消耗しないように目を瞑り寝ながら救助を待つ事にする。


目を覚ます度にスマホで助けを求め扉を革靴で叩く。


早く救助され広々とした所で大きく伸び上がりたい。


ようやく狭いワンルームマンションから出られたと思ったのに、こんな狭いエレベーターに閉じ込められるなんてあんまりだ。


寝よう、また広々とした所にいる夢を見よう。


私は現実から逃避する為に目を閉じた。





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