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「ひまつぶし」のための奇妙な短編小説

幸せになる眼鏡

作者: アッチャンあ

最近人生に飽き飽きしている。窮屈な仕事、めんどくさい人間関係、家に帰ってもただ一人で眠るだけ。つまらない。そんな日々を送っていた。







ある仕事帰りの途中、視界に汚ならしいおっさんが目にはいる。私はそれを無視して帰ろうとしたら、

「あなた、幸せになりたくないですか?」

と、か細い声で語りかけてくる。 怪しい奴だ。私は、見向きもせずに歩みを進めた。

「眼鏡。眼鏡一つで幸せになるとしたら?」

そうか、この人は金がほしいのか。私は、趣味もないため金はある。人助けのためにと思って、

「何円ですか?」

と聞いてみた。

「一万円だけど、お兄さん特別に、1000円で良いよ」

胡散臭いなと思いながら、私は1000円札をあげた。






私は、家に帰り風呂に入り布団に入った。そこで私は、眼鏡のことを思いだし、どうせならと付けてみた。


何も起こらない。辺りを見渡しても何も起こら……ん? 母からの仕送りが目にはいる。そしたら、急に母が私のことを思ってご飯や醤油、ダサすぎる服を積めている様子が目に浮かんだ。私は、その母の健気な姿に目頭が熱くなり思わず泣いてしまった。








次の日、その眼鏡をつけながら会社に出向くことにした。そしたら、目に見える様々なものに人々の気持ちが詰められている、そんな様子が浮かんだ。








それから私の心は晴れ晴れとするようになった。毎日使っているこのパソコンだって、作った人の思いがあり、駅の改札を通り過ぎる無数の人も一人一人に人生があることを気づくことができた

「ありがとう」と言うことが増えてきた。

この眼鏡は確実に、幸せになる眼鏡だった。





そんなある日、落としてしまったのか、眼鏡がなくなってしまった。私は、急いで探した。これがなくなったら、私はまたあのつまらない生活に逆戻りだ。探す。探す。探し続ける。しかし、見つからない。そこで、私は、泥だらけになりながらあのおっさんの元へ走った。しかし、彼はいなかった。終わった。私は、嘆きながなら、地面にうちひしがれた。私は、その道路に人の思いなど感じ取れなかった。




「おやおや、どうしたんですか?」

私は顔を上げる。 おっさんだ。

「あ、あの、眼鏡もう一回売ってください。何円でも買います」


「いやいや、その必要はありませんよ。あなたは、世界の見方を知ってるじゃありませんか」


その瞬間、世界は明るくなった。







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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすくいいショートショートですね。読後感が気持ちいいです。
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