ふざけた二人と謎の穴
「なぁ俺らさぁ土を掘るべきじゃない?」ジパーニが笑う
「俺はやっちゃうだって俺だもん」パタマンが笑う
「分かるわぁ~その気持ちぃ」ジパーニ
「掘っちゃお♪掘っちゃお♪」パタマン
「行くかぁ」ジパーニ
「行きましょか・・・・・」パタマン
「俺ら最強だよ絶対」ジパーニ
ジパーニパタマン
「最強の二人・・・・爆誕」
二人はハイタッチをした。パンパン
・
「夢だねまさに俺らって夢そのもの」
「夢はあります」
「夢と女が大好きよ」
二人の目は輝いている、まさにダイヤみたいに。
カレル通り、レンガで敷き詰められた道、パン屋の前のベンチに二人はいた。
声をかけるかどうか考えるぐらいの人が通る路。二人のおさななじみの名前はパタマンとジパーニ、二人は16歳。季節は夏、セミが鳴いている。
「なあ夢って素敵だと思わねえか?」ジパーニが太陽の光を眩しそうにする。
「確かに確かに」パタマンも眩しそうにする。
「夢を持つ事がだいじ、だって輝けるもん」
輝きを放っている二人は綺麗だ。カップルが「どこ食べに行く?」二人の前を通過する。
「ん?でも俺らの夢ってなんだっけ?」
上を向いたジパーニは太陽の光に手をかざした。ジパーニは割とよくアゴが出ている。知り合った女の子にアゴが出てるねと言われた事がある。悲しかったらしい。
「夢見すぎちまって忘れちまったよ」
パタマンの顔はあまり良くない。代わりに髪質が良いねとよく言われる。知り合った女の子にどうしてそんなに髪質が良いの?と言われた事がある。ウザかったらしい。
「なあ明日から17だな」ジパーニ
「そうだなマイメン」パタマン
ジパーニパタマン
「Yeah」
ラップを始める二人。歩行者の女二人が二人を見てクスクス笑った。
「何見てんだよ!!」
「見せもんじゃねぞ!!ブスがぁ!!」
立ち去る女二人。その二人を横目に一人の男が二人に近づいてきた。
「おいお前ら何してんだよ」
ハンバーガーのピアスをしている男の名はサイ。深い緑の目をしている。
「よお ドブの目サイちゃん」ジパーニが手を挙げる。
「殺すぞ?」
町の電気屋のTVでは、海でサングラスをしている日焼けした男がインタビューを受けている。
「お前ら仕事はどうした」
「知らねえぜそんなもんは ハハ」ジパーニは笑った。
「ああ 知らねえ知らねえだぜ」パタマンも笑った。
サイはキレそうになったが鼻で笑う事でなんとか我慢した。サイは二人に仕事を何回も紹介している見る目がない男である。アイドルが好きでハンバーガーのピアスはサイが好きなアイドルグループのメンバーの多くがハンバーガー好きだと言っていて、それを聞いて付け始めたとの事。ほんとはビッグマックが好きらしい。
「まあやめると思ってたわ」そうサイが言うと
二人はにやけ、ピースをした。
「お前らさ明日で17だよな」
セブンティーン・・・・とパタマンが呟く。その横顔をジパーニが見る。サイはこの日を待っていた、この二人が17になるのを。
「まあでも俺の方が生まれたのは早い」ジパーニ言う。
「そんなの関係ねえ」パタマンが否定する。
この国では月ごとに誕生日が別れていて,国民全員が生まれた月の1日目に年を取る。ジパーニとパタマンは8月に生まれたため、どちらも8月1日が誕生日という事になる。
「笑った顔が気持ち悪い協会のえらいさんが仕事くれたぞ」サイは言う。
「協会ってプレイヤーズでしょ?俺まじでいや」
パタマンの顔がゆがむ、プレヤーズの事をキモイ奴らだと思っているパタマン。どのくらい嫌いかというともう笑っちゃうくらい嫌いだ。
サイはこの仕事を受けた時に二人の顔を思い出した。
このいっつもニヤケて口半開きの二人を
「お前らにエリア20に行って1000m穴を掘って欲しいんだそうだ」
「なんだそ?」
二人は顔を見合わせた。