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4th.ドキドキはKiss




帰りのホームルームで教室に戻った。




先生には奈々子が上手く言っておいてくれたおかげで何も言われなかった。




一日に何回も授業をサボったことなんてなかったのにやっぱり自分変わったんだな。




…笠間君に出会えて、変われたんだな。




そう思って少し苦笑い。




ホームルームが終わってどんどん人が教室からいなくなるのを見ていた。




笠間君が来ないのはわかってる。




そしていつも通り私は放課後教室に残って勉強する。




元通りの日常。




ただそこに笠間君の存在がいないだけ。




ただ…それだけ。




ズキズキと音を立てる心臓。




心が痛むってこういうことを言うのか。




また知った新しい感情。




君がいなくても私の周りは君で溢れてる。




ただそこに君がいない。




ただ…ただそれだけのこと。




いつかまた君のいない放課後が“いつも通り”になる日がくるのかな?




そう思って、泣いてみた。




「何で泣いてるの?」




頭上からくる少しかすれた声。




「な…んで」




目の前に見えたのは赤茶色の髪。




何で?




何で彼がここにいるの?




酷いこと言ったのに。




君を私は拒絶したのに。




「…俺矢沢さんのストーカーだから」




サラッと言うと彼はいつも通り私の前に座った。




ストーカー?




笠間君が私の?




「何で朝呼び出したのに来ないの?


筆箱なきゃ放課後一人で勉強できないじゃん」




やっぱりあの手紙は笠間君だったんだ…。




「だって笠間君女子に呼び出されてたし、


好きな人いるって聞いたから…」




言えるわけないじゃん。




笠間君に好きな人いるって知ってショック受けてたからなんて。




「好きな人って…まだわかんない?」




じっと見つめられて思わず目を反らしてしまう。







「わかんないよ」




笠間君と話し始めたのだって最近だし。




「目、閉じたら教えてあげる」




教えてくれるの?




言われた通り目を閉じる。




真っ暗な視界の中、唇に何かが当たった。




───これって。




驚いて目を開けると視界いっぱいに笠間君の顔。




「わかった?」




…笠間、君?




今のっていわゆる…。




「き…す?」




感触の残る唇に手当てる。




体温がすごい速さで高くなっているのを感じる。




「もっと矢沢さんとキスしたい」




私の頬を掴むと近づいてくる彼の顔に、私はそっと目を閉じた。




「目、閉じたってことは矢沢さんも同じ気持ちって思ってもいい?」




触れそうで触れない距離で彼は言った。




同じ気持ち?




そうだよ、私も君に触れたいって思う。




「笠間君のことが好きだから」







───ガタッ。




転がる椅子とくっつく体。




痛いくらい強く抱きしめられる。




「笠間く…」




「俺今スッゲー嬉しい」




言葉を遮った彼は私の肩に顎を乗せた。




ドキドキと鳴ってる彼の心臓の音が聞こえる。




笠間君も、私と同じくらいドキドキしてる。




「俺も矢沢さんのことが好き。


ずっと前からいつも放課後見てた。


一人で頑張ってる飾らない矢沢さんのことがいつの間にかすげー好きになってた」




大事なものでも抱えるようにギュッと腕に力を入れられる。




放課後勉強してたの前から知ってたんだ…。




彼も私のことを好き?




ホントに?




嬉し過ぎて言葉にできない。




両想いだったんだ。




好きが溢れて泣きそうになる。




「私も、優しい笠間君が勉強よりも大好きです」




内気で勉強しかできない私を見てくれた誰よりも優しい人。




「絶対離してやんないから」




もう一度触れるキスは君の味。




全て初めての私にドキドキをくれた君。




これからも、このドキドキを君と二人で感じていこう。




END*゜





完結しました。良かったら私のHPにも小説があるので見に来てください。

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