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女王の迷宮  作者: 雉ヶ坂子子
8/8

ルトワックの話

 自分って何なのだろうといつも思う。

 毎朝、歯磨きをしている間ずっと鏡を見る。

 金色の髪に青い目。

 母親と父親に似たこの見た目は嫌いじゃないけれど、嫌な気持ちになる。

 僕の名前はルトワック・スミス。

 名前の通り日本以外の国の血を引いている。

 父親はアメリカ出身で、父親の仕事で夫婦で日本に来て僕が生まれた。

 僕は今まで一度も日本の外に出たことがなくて、言葉も日本語しか話せない。

 学校の英語の授業では発音がうまくできなくて成績は悪い方だ。どちらかといえば国語の方が成績がいい。

 それが僕であって、周りが意外に思う僕だ。

 僕と初めて会った人は誰もが僕に英語で話しかける。

 それはきっとこの見た目だから。

 分かっているから僕は英語で話しかけられても普通に日本語で返事をする。

 そしたら言われる。

「日本語でいいんだ」

「日本語上手だね」

「日本語話せるの⁉」

 大抵はこんな反応。

 もう慣れてしまったことだけど、そう言われる度に僕の中の何かに小さな針が刺さる。

 だけど僕は笑ってやり過ごす。

 それが一番場の空気を読んだ対応だから。空気を読むという日本特有の文化は僕には馴染み切っている。

 僕は、アメリカ人にも日本人にもなれない。

 国籍ならアメリカ人。

 使える言語は日本語。

 だから僕は笑顔を覚えた。

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