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落語倶楽部
「おっ、よう」
懐かし顔が見えた。
「あぁ、久しぶり!元気だった?」
信号待ちの交差点で偶然、同級生にあった。
「これからバイト?帰り?」
「さっき終わったんだよ。」
へぇー、と、自分から聞いてきたくせに興味なさそうな声を出す。
「お前、痩せたな」
やかましいわ。
「あぁ、お前は、学校?」
「いや、俺、落語倶楽部入ってさ。」
信号が青になった。
「おーん、落語倶楽部ってなにやんの?」
2人歩きながら信号を渡る。
「あれだよ、ねずっちみたいなやつ」
「謎解き?いや、掛けか。」
「意外と難しいんだぞ。」
「マジで。」
その時、ふと落語の神が俺に降りてきた。
「俺さ、謎かけとかはさ、意外とできるから。見とけよ、見とけよ。」
「お前、落語舐めたらダメだぞ」
気にせず続ける。
「えー、初詣とかけまして。」
「はいはい。」
「トイレで、うーん....ふぅ....と解きます。」
「あー、その心は?」
「運がつくでしょう」
その瞬間、ヤツのポケットに入っていた、扇子で殴られた。
扇子って痛いんですね。