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緊急避難、だって皇后を殴る予定です

 領地もちの貴族は軽々しく移動できないがすぐに許可が出た。

初級治癒術の授業を俺の領地、ローグで行う。

治癒の術には精霊魔法によるものも有るから、精霊と契約しやすいローグで行うのは自然な流れだ…ということにした。

学園長も参加ということで、学園の警備員2名も休暇を取ることなく護衛として付いてきている。

そして月夜にまた精霊召喚の授業が始まった。


「わぁ~見て見てか~いいでしょ」

「…」


 小さな光の精霊を両掌の上に載せて踊っているのがティアで、無言で泣いているのがレナだ。

別に悲しくて泣いているのでも、いつものように寝坊して朝ご飯が食べれずに泣いているのでもない。

嬉しくて泣いているのだ。


 ローグに来る途中で、精霊を呼び出して契約するまでの一通りのことは皆に説明してあった。

そのあたりからレナの様子がおかしかったのだが、理由が分かっていたので放置していた。

別に意地悪でしてるんじゃないぞ、ちょっと泣かしてやろうと…おぃ。


 月明かりのもと輪になって座り、順に精霊を呼び出した。


「まずは見本に学園長先生、お願いできますか」

「いやもう水の精霊と契約しているから…」


 水の精霊を呼び出して後ろに控えさせた学園長に、いえまぁ試にやってみてくださいねとお願いしたら。


「うわぁっ、なんじゃこれはっ」


 いろんな属性の小さな精霊たちがうじゃっと現れて学園長のあちこちにしがみついた。

さすがにそんなにたくさん精霊を出したりする者はいなかったがそれぞれが精霊を出して、レナの番になった。

後ろでうじうじしているレナを真ん中に引っ張り出す


「次はレナ」

「ぁの、私は魔力がなくて…」 

「授業だから、うだうだ言わないでするっ!」


レナは素直に目を閉じて真剣に祈りだした。

俺はレナの後ろに回って背中に手を当て、純粋な魔力を流し込んだ。


ブギィッ!


え?

変なのが出た。

ピンクの子ブタ? これはなんの精霊だろう?

わからん。

一応かわいいと言えないこともないし、本人が泣いて喜んでいるからいいか。

ん!

なんだ?

いきなり契約魔法が一つ消滅したことが感じられた。

これはレオナか。

ロビンに付けてあったレオナが死んだ…。


「ところで、先生はどんな精霊が召喚できるんですか?」

「えっと、実はこの槍が契約精霊…」

「うそでしょ…」


レオナのことが気になってもたもたするうち、なんやかんやで精霊を呼び出してみることになった。


「あっ、花の精霊」


目の前に浮かんでいるのは小さな少女の姿をした水色の花の精霊。

そのまま普通に契約できて俺の肩に座ってたりするのだが…。

この精霊どこかで見たことがあるような。

精霊のあどけないしぐさを見ていると、なぜか得体のしれない不安が湧き上がってくる。

なぜか初めて人と契約した精霊とは思えない。


「この子、ローバー男爵の精霊とそっくりね。まぁ…だから、叔父と姪だから似ているのかも」


 そうだ、父さんの精霊と似てるんだ。

母さんは思わず親子だからと言いそうになってたけどそうなのだろうか。

契約が重複することはありえないのだが。


 ローグにはなかなか来ることができないので、できる限りかなりおなかの大きくなってきたレイリアと過ごした後、俺、ティア、マリシア、マリーの4人だけで帰ることにした。

ティアは正妻だから帝都にいなければならない。

マリシアは決闘での賭けのため。

マリーは…。


「クリス様、帰っちゃいましたね」

「そうね」


 レナと話をしているのは本物のティア。

俺と帝都に戻ったのは、カウラスがティアそっくりに改造した魔動人形の一体。

今回の旅の目的の一つ、ティアを安全なところに避難させるため、遺跡で見つけた艦長用の魔動人形と入れ替えること。

体から放出している魔力での識別もマリーが巻きつけた糸からティアそっくりに偽装しているのだまず疑われることは無いだろう。


 そしてもう一つの目的、シェリーに聞いても聖戦士の秘密はわからなかった。

アーサーの父親については旅の貴族としかわかっていない。

おそらく、アーサーは皇族の血を引いているのだろうが。


 帝都に着いたのは決闘の前日。

そして俺は決闘の舞台に上がった。






 


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