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眠れぬ夜、目覚めた朝

急降下です。

「おいてきぼりやぁ」

とおっしゃらないで

出来ましたらいっしょに飛び降りてやってください。

筆力不足、分かりにくい伏線、申し訳ありません。


 殿下からの呼び出しを受けてクリスが帝都に明日帰還する。

その連絡を受けた夜、ラシュエルはなかなか寝付けなかった。

目を閉じるとクリスの姿が浮かぶ。

いったい自分はどうしたのだろうか。

明日いよいよ計画を実行するというのに、隣で寝ているリリエルはすやすやと安らかな寝息を立てている。

治癒士に術を掛けてもらって表面上はなんとも無いが、このところずっと眠れていない。

看てもらっている治癒士にはいずれ術の効かなくなる限界が来るといわれている。

早くリリエルと体を交換しなければ俺は持たない。

しかし自分とリリエル、二人の体と安楽な生活を得るためになぜここまでせねばならない。

自分が表に出るときなぜか体は女になる。

リリエルが出るときは男だ。

この異常な状態を正すために俺はマリシアの…。

そこまで考えてふと疑問が浮かんだ。

起き上がりベッドに腰掛け頭をかきむしる。

分からない。

なぜ俺は別の男に移らないんだ。

なぜリリエルはマリシアの体から出ねばならないんだ。

おかしいだろう。


 考え事はいつの間にか独り言としてラシュエルの口から漏れていた。

なぜ俺はクリスを殺さねばならないんだ。

おかしいだろう。

絶対に変だろう。


 背後でリリエルが起き出す気配がして振り向くと目の前に彼女の顔があり、キスされて意識が遠くなる。

リリエルはラシュエルの頭をそろえた膝に乗せ、優しく頭をなぜていたが、ラシュエルの呼吸が安定した寝息に変わるとその手を止めてにやりと笑った。


「ラシュエル、かなり術が解けかかってきているな。まあ明日いっぱい持てばよしとするか。クリス殺しの犯人として立派に死なせてやるよ。財産は全部俺が相続してやるから安心して逝きな。お前の片割れのリリエルは生まれてすぐに向こうに行っちまってラシュエル、お前が来るのを待ってるぜ」


 リリエルだったものはラシュエルを優しくなぜながら言葉を続ける。


「ラシュエル、革命が終わったなら俺の嫁にしてやろうとおもってたんだがな。お前は生まれながらの俺の女だからずっとかわいがってやろうと思ってたんだが無理のようだな。俺が自分が誰かを思い出したように、他の仲間もそれぞれ目覚めている頃合いさ、歴史が動くぞ。…眠れないんだろ? 俺もなんだ。夜明まで楽しもうぜ」


 マリシアの顔をした男はラシュエルに覆いかぶさった。




 その朝、ノルン王宮で皇太子が身支度をしていると第1王女のルルエルが兵を引き連れて部屋に乱入してきた。


「ルルエル、何の騒ぎだ!」

「兄上、国家反逆罪で捕縛します」

「なんだとっ!」


 着替えを手伝っていた侍女たちが、剣を取ろうとした皇太子の腕にしがみ付き、皇太子はなす統べもなく床に倒された。

侍女や兵士たちの目に意思の力が無いのを見て取り皇太子は叫んだ。


「ルルエル精神支配したのか。そんなことをしてゆるさ…」

「うるさいですわね、いいことを教えてあげますわ、ルルエルは16年前にもう死んでるんだよ」

「…」

「連れていけっ」



 ロビンの里、ローバー家でもいつもの質素ながら暖かい朝餉が始まっていた。


「うぅぅっ」


 のどをかきむしり苦しみだすローバー男爵に婦人は冷ややかに声をかけたのだった。


「あなた、お行儀が悪いですわ。最期のお食事ですから心を込めて作りましたのに」

「お前なぜ」

「あら、まだお話できるのですか、もう少し強い毒だと聞いていましたのに。16年もたつとやはり古くなりますのね」


 ローバー婦人は苦しむ夫の前に立つと清楚なドレスを脱いだ。


「どうだ、若いだろ? 術で少しごまかしてたんだがロビンを産んだときのままの体さ。知らなかっただろう。ついでに俺の本当の姿も見せてやろうか。体と心の融合による不老不死、お前の嫁はずっと前に融合して俺の物になっていたのさ。今頃王宮でもルルエル様が…うごっ」


 ローバー婦人の目から急速に光が失われていく。

胸に突き立った短剣。

ローバー男爵の影から水色の花の精霊が顔を出した。


「お前にもいってなかったね、花の精霊と契約してるんだよ。私に毒は効かない」


 ローバー男爵は少年時代に役立たずでかわいいだけといわれる花の精霊と契約していたのだが、それを誰にも言わなかった。

かわいい少女である花の精霊を連れ歩くのは年頃の少年にとってかなり恥かしいものであったから。

最新の精霊の研究によれば、花の精霊は仲間全てを毒などから守る。

だから男爵はいつもこっそりと精霊を召喚していたのだった。


 床には別の見知らぬ男に半ばまで変身しかけた自分の妻が血を流して倒れている。

胸に刺さったままの短剣の持ち主は自分だ。

向ける対象の無い真っ黒な怒りが心の底から吹き上げてくる

ギリギリギリッ

ローバー男爵は自分が歯軋りの音を響かせているのにも気がつかない。

握り締めた両手から血が滴り落ちる。

バリッ

膨らんだ筋肉によって着ていた服が裂ける。

真っ黒い霧のようなものがローバー男爵を中心として湧き出し男爵の体に渦巻いてそれが吸い込まれていく。

瞬きを忘れたかのような目が真っ赤に充血する。


そして、光った!

ラシュエル レイリアの娘


マリシア リリエルと精神を交換されている


ローバー男爵 大魔王になるはずだったロビンの父


男爵夫人 レイリアやロンバルト男爵夫人、リリエルを生んだ王妃とも仲が良かった。


花の精霊 強きものと契約し状態異常を直す力を持つ 


何が光ったのかとか書いていないのがここでの伏線なのですが…

お分かりですよね。

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