表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カオティックハーレム(2巡目は女の子)  作者: よもぎだんごろう
第1章 ティライア中央学園
20/79

事務のミス

場所

 ティライア中央学園

 卒業式で表彰されるべき最優秀者が出席しなくて問題になったらしい。

幸いに、当人が遠距離からまだ帰還していないことが周知されていたため、来れない場合の準備がされていたため騒ぎにはならなかった。

副学園長ももちろん何も気づいていなかった。

彼の認識では自分は初級者を一人受け持たされているだけだったからだ。


 問題が起こったのは一日の業務を締め切った後、その卒業生の名が事務局に当日に来た名簿に載っていたからだ。

事務局長は話が大ごとになる前にその卒業生つまり俺のところにすっ飛んできたのだ。

卒業式の来賓には身分の高いものが並ぶ、それに対して非礼があれば冗談抜きに命にかかわる問題だったのだ。


「そんなことをおっしゃっても、まずなぜ一年で卒業なのか理解できません。初級の魔法理論と同じく初級の治癒術、それから精霊術しか履修していないはずですが。第一、今日事務局へ来いとだけ連絡を受けただけです。事務局では何も言われませんでしたよ」


 俺が出した履修届の控えを見て、事務局長は真っ青になった。

確かに、おれの言う通りなのだ。

だが、事実としておれは魔術関係の理論150をすべて履修済みになっており。

治癒士ではなく治癒師と魔術師になる実習のために派遣されている。

そしていつの間にやら帝国伯に叙爵されているらしい。


「ふつうおかしいと気づくでしょう。一日で半年分って。なぜそんなものを真面目にやってしまうのですか」

「その言葉、そっくりお返しいたします」

「とにかく、できるだけ波風を立てない方向で善処いたします」

「よろしくお願いします」


 事務局長はすぐに帰ったのだが入れ替わりに学園を警備する兵士たちが来た。


「全員、身分証を見せてください」


 俺はたった今事務局長がおいて行ったばかりの身分証を見せ、マリシアたちも自分の物を見せる。


「ローグ帝国伯ですね、不敬罪で告発されております。我々と同行お願いいたします。ローグ家の関係者も全員連行するように言われていますが、ここにはロンバルト家の方しかいらっしゃらないようです」

「ありがとう」

「何をおっしゃっておられるのか分かりませんが」

「それでもありがとう」


 問答無用で家族ごと捕縛するようなまねをする兵士でなくてよかった。

マリシアたちが逃げることが出来たなら俺も逃げるとしよう。

俺の意思、”逃げろ”はしっかり使い魔であるダルカンを通して伝わっているはずだ。

不敬罪なんぞ適用されればよほどのことでないと逃げられない。

もともと皇帝が気に入らない者を否応無く処刑するのに作られた法だからだ。

申し開きをする場も与えられず、処刑場まで一直線に続く行程に乗せられるだけなのだ。

そして主従の契約をしている場合、主から逃げられない…。


 俺は魔力封じの手枷をはめられて牢にいた。

全く明かり一つ無く、不定期に出される食事、本来なら時間の経過が分からなくなる。

しかし、えらいところに入れられたもんだ、壁は全て聖なる祝福を受けた金属。

精霊さえ通りぬけることが出来ない。


 普通なら泣き叫ぶとかするんだろうなぁ。

そろそろ3日目みんな逃げれたころだ。

前回、姫の暗殺の後、この手枷を付けられたときは腕を食いちぎって逃げたっけ。

手を伸ばすと槍が来る。

ローグ帝国伯爵か、その名前が認められたとき、ノルン王家との契約は終了している。

そして新たな主従は契約していない。

双頭の魔王が現われなくても、他の魔王は出現するだろう。

それまで逃げ切ればよい。

後はまた強いものだけが生き残る世界が来る。


 手枷を斬りついでにドアの蝶番をきり飛ばす。

ついでに門の前に座っていた犬のような魔獣も。

外へ出る前に浄化魔法で身を清める。

外にでたら、やけに長い廊下が伸びる。

はるかかなたに一枚のドア。

一歩前へ出てそのドアのノブを掴み、ふっとんだ手首から先を再生して開く。

痛いじゃないか全く。

階段を上がったところにやたら豪華なドアがある。

その中央に王家の紋章。

そういうことですか。

馬鹿馬鹿しくなって下へ降り壊れたドアノブを修理する、まだ死んでいなかった魔獣を治療して、独房に入り鍵をかけてまた手枷をつけて…寝る。


 食事だけまたドアのしたから差し入れられる毎日が続いたが、夜の定時にルーを召喚して抱き枕にして寝た。

最初に呼び出したときは何日待っても呼び出してもらえないのでかなり怒っていたが。


 月日が過ぎて年をまたぎ、俺が16才になってしまった日、はじめて独房のドアの外に人の気配がした。




 


 





俺 クリス ローグ帝国伯爵


ルー 俺の使い魔


ダルカン 俺の使い魔


事務局長 ティライア中央学園の事務局長

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ