第四話「救われたかった」
私は今日から施設に住む事になった。理由は私がバケモノだから。
小学生の時、私の両親は離婚し
離れ離れになった。
望んでしまったのだからだろうか?
助けて欲しかったのだろうか?
そう考えていたらいつの間にか、
能力が発現していた。
最初は喜んだ。まるで自分が主人公になれたかのように感じられた。
しかし母は私をバケモノと忌み嫌うようになり、
今日から施設に住む事になったのだ。
「それじゃあみんなに自己紹介をしましょうね。」
と係の大人は言った。
「私はあなた達と馴れ合うつもりはない。」
とハッキリと告げた。
みんなぽかーんとしている中、
1人の男がまるで同族を見つけて、嬉しそうな顔をして、
こちらを見ていた。
そして無事私の自己紹介が終わり、
昼食を食べようとした時、
さっきの男が、
「ねぇ君ってさどうしてここに来たの?」
と人の事を考えてない質問をしてきた。
「私言ったわよね馴れ合うつもりはないと。」
私はギロっと彼を睨みつけた。
「君は怖いの?人と話すのが。」
と男が言った言葉に、返す事が出来なかった。
「僕は怖いよ、毎日毎日、夜に泣いて、思い出して、人の目を気にして怖くて辛くて。」
それを聞いた瞬間、私はどこか腹が立った。
「私だって怖かったわよ!!毎日ずっと。」
私は母のことを思い出した。
バケモノを見るような目を、
「だから僕たちは似たもの同士なんだ!!」
「ねえ見ていて。」
そう言いながらコップを掴んだ。
「反転」
そう言った瞬間、コップが逆さになって水が溢れた。
そんな変な行動をした。
彼がどうにも可笑しくて、
どうにもバカらしくて、
私は笑っていた。
「やっぱ君は笑っている方がいいよ。」
と男は告げた。その言葉に少しだけドキッとしたが、聞こえないフリをした。
「僕の名前は逆井永遠。」
「トワって呼んで。」
「私は御影玲。」
「レイって呼んでちょうだい。」
これが私とトワの出会いだ。
そこからは沢山のことをした。
施設の遊戯を反転で壊したり、
感覚を変化させる能力で
大人達を惑わせたり。
施設でもバケモノと言われる時もあったが、
それでもこの日々が楽しくて仕方がなかった。
*
そして1年が過ぎかけた。
春の季節にトワから提案があった。
「ねえレイ外に出てみない?」
「外には怖い大人もいるけど、楽しい事だって沢山あるんだ!
ゲームやご飯、パフェだって!」
私は目を輝かせながら言った。
「パフェ(ワクワク)」
でも「やっぱり怖い。」
と震えていた、私は震えていた。過去に染みついた恐怖は消えない、
「トワは怖くないの?」
トワは首を横に振った。
「僕も怖いよ人が大人が。」
「それならなんで!?」
「でも!!」
「レイとならきっと嫌いなことも、嫌な事も楽しめる。」
私はそれを聞いた時、胸の高まりが抑えきれなかった。
ああわかっている。
トワに抱いてる感情ぐらい。
でも好きってことを言えないのは、
私が臆病者だからだろう。
「私もトワとなら怖くない。」
これを機会に明日外に出た時、
私がトワのことを好きなことを伝えよう。
しかしこの時の私達はこの後に最悪の事が起きる事を私達はまだ知らない。
*
「すごーい!!」
私は色々な建物を見ながらそう言った。
「全くはしゃぎ過ぎ」
と私の手を掴んできた。
「迷子になっちゃうよ。」
「う、うんごめん....」
私が嫌がっているのかと、思ったのか。
「あ、ごめん嫌だった?」
と少し悲しそうにしていた。
「ううん、嫌じゃない。」
と少し甘い雰囲気が流れていた時、
「ゲーセンに行こう!」
とトワは少し恥ずかしくなってきたのか、大きな声で言った。
「何をする遊びなの?」
「クレーンゲームって言って、物を取ったりするとこ。」
ゲーセンに着いて、クレーンゲームとやらをやってみたが、
「全然取れない....」と落ち込んでいた。
「まだ続ける?お金もかなりなくなってきたけど。」
そう言われて気づいた。元々手元にあった8000円が3000円になっていた。
私は取れなかったぬいぐるみを横目に、
「諦める.....」としょんぼりした。
「わかった先行ってて少し見たいものがあるから。」と彼は言ったので、
言われた通り、外で待っていると、
「お待たせ。」と言いながら、
外に出てきた。
その後はパフェに行ったり、デパートに行ったり、
最初にお金を使い過ぎて、
デパートではあまり買い物できなかったが。
新しい物はどれも新鮮で面白い物ばかりだった。
そろそろ帰るという時、今回の目的を思い出した。
それはトワに好きと言う気持ちを伝える。
「ねえトワ、話があるの。」
「ちょうど僕も話があるんだ。そして、君に渡すものが」
と言いかけた時、武装をした男達が私達のことを見つけ、捕まえてきようとした。
それに気づいた、
トワは能力を使い必死で守ろうとしたけど、後ろにも囲まれていて、
2人に頭部に鈍い衝撃を受けた。
気を失いそうな時、
トワのポケットから私が欲しかった
ぬいぐるみが出ていた。
*
気づいたら、私は廃れたビルのようなとこにいた。
「なんであのガキと違うとこにこいつを運送してるんすか?」
と男の1人は言った。
「ああ、あいつは最近話題の能力組織に渡そうと思ってな。こいつは別の売り先が見つかって、別々になった訳だ。」
と主犯と思われるリーダー格の男が言った。
クソ、どうする?私の能力は感覚を変化させる能力。
しかし1人につき1つしか変えられないし、2人までが限度、
今この場には、8人も大人がいるのに、と考えていた時、
「ああ、なるほどそれじゃ、あのガキ可哀想ですね。
あの能力組織ろくな噂ないんで、すぐ死んじゃうかも知れないっすね。」
と取り巻きの男が言った瞬間私の頭は真っ白になった。
トワが死ぬ?嘘だ嘘だ嘘だ、あのトワが?いつも変なことをやりながら、私と一緒にいてくれた。あのトワが?私の大好きな人が。
そう考えた瞬間、目の前の男達に殺意が湧いた。こんな事をする奴が許せない、ようやく手に入れた幸せを壊されて、踏み潰されて。
私達はただ「救われたい」だけなのに!!
私はそこから記憶がない。
後に聞いたが能力の暴走らしい。
血まみれの男達、駆けつける警察
そこには、たった1人
姿が変貌し髪は青く、黒い目は虚な瞳をした少女?がそこにいた。
*
「私達が発見した時、倒れてしまい。今病院で目を覚ましました。
これが調査書です。」
と俺は警察官の上司に今回の事件について話していた。
「なるほど。今回の起きた事件は意図的に起こしたものではないから、罪には問われないか。」
「いかにも信用できないな。まず1人の少女が大人8人を殺したってのも、嘘くさい。」
「一つ私から提案なのですが。あの子を私に引き取らせてくれませんか?」
「それは何故だ。同情のつもりならやめた方が良いぞ。」
と上司は睨みつけてきた。
「私の息子も能力者であの子がいたら、何かわかるんじゃないかって、
それにうちの子が友達が少なくて、寂しそうだから。」
「はあーまあ良い。監視という名目で引き取れるように手配してやる。」
「ありがとうございます!!」
*
「そこから1ヶ月が過ぎた日、俺の家に来たって訳。」
「そんな事が.....私が聞いて良い話だったのでしょうか?」
「いいの、あいつも心の中で過去をツムグにも明かしたいと思っていたから。」
俺達は三階のレイとキョウがいる部屋に来ていた。
「はあー上に上がったら、音が全くしなくなったんだが。」
「あの2人大丈夫でしょうか?」
と不安そうにツムグは言った。
「大丈夫じゃなかったら、その時はその時さ。」
そう言って俺らは扉を開けた。




