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そのミットに想いを込めて  作者: 暦海


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8/24

練習試合

「――では、今日のスタメンを発表する。1番 ショート――」



 それから、数日経た朝のこと。

 爽やかな青空の下、みんなの前でスターティングメンバーを発表するのは黒縁メガネの似合ういわゆるイケオジ的な男性、高岡たかおか監督。そして、名前が呼ばれると大きな声で返事をする選手達。……うん、なんだかドキドキしてき……まあ、自分が呼ばれるわけでもないんだけどね。


 さて、今日は土曜日――先日、鴇河ときかわくんがお話ししていた練習試合の日で……あっ、ちなみにスタメンは以下の通りです。



 1番 ショート   渡辺わたなべ


 2番 ライト    松下まつした


 3番 キャッチャー 鴇河ときかわ


 4番 レフト    宮島みやじま


 5番 サード    高畑たかはた


 6番 ファースト  磯辺いそべ


 7番 センター   高橋たかはし


 8番 セカンド   荒井あらい


 9番 ピッチャー  山崎やまざき


 


 

 ところで、肝心のお相手は宇野うの小学校――市内の大会でもいつも上位に入る、すごく強い学校とのことで。それでも全員を起用するということは、お相手にとっても今日はそういう方針なのかもしれない。……まあ、練習試合だしね。



 でも、それはあくまで方針の話――当然だけど、手を抜いていいなんてことにはならなくて。……まあ、手を抜く人なんてどちらのチームにも誰もいないよね。


 そして、鴇河くんから聞いた監督の話だと、こんなわたしでもどこかで出ることになってて……うん、今からもう足がガクガク――



「――大丈夫だよ。実松さねまつさん。みんなも、ぼくもついてるから。だから、安心して」

「……鴇河くん」


 すると、そっと肩に手を乗せ優しい笑顔でそう言ってくれる鴇河くん。気がつくと、さっきまでの足の震えはもうなくなっていて……うん、ありがとう鴇河くん。


 その後、審判の人のコールが響き、ホームベースを挟み横一列に真っ直ぐ並ぶ両校の選手達。それから、お互いに帽子を取り頭を下げ――そして、グラウンドに大きな声が響き渡る。



「――お願いします!!」





 ――カーーン!!



「――おい、いいぞ啓斗けいと!」

「ナイス啓斗くん!」



 それから、少し経過して。

 3塁側、耀光ようこうのベンチがどっと盛り上がる。1番バッターの渡辺くんが、相手投手の初球を見事に弾き返しセンター前へとヒットを放ったから。すごい、渡辺くん! 



 その後、ゆっくりとバッターボックスへと向かっていく男の子。集中してたら申し訳ないと思いつつも、その頼もしい背中へと控えめに声をかける。



「……その、頑張ってね鴇河くん」

「うん、ありがとう実松さん」





 ――カーーーーン!!



 瞬間、時間が止まる。それから、少し経過して――



「――キャーーーー、彗月はづきく〜ん!!」



 直後、耳をつんざくような甲高い声。放課後、だいたいいつも耀光野球部の練習を見に来ている、あの女の子達の声で。耀光のベンチもすっごく盛り上がってるんだけど、それがほとんど聞こえないくらいの……うん、ほんとすごいね。あと、ここまで応援に来てるのもほんとすごい。


 ともあれ、何が起こったのかというと……3番・鴇河くんが放った打球が、まるでロケットのようにすさまじい速さで飛んでいき向こうのフェンスへと直撃して。


 ところで、この学校のグラウンドはとても広い。なので、外野の部分にたくさんの三角コーンを並べて、小学生が守る適切な広さに調整してくれているみたいで。なので、本来ならそのコーンの上を越えさえすればホームランになるのだけど……なんと、そのはる彼方かなたのフェンスまで一直線に……うん、ほんとにすごい。もう、すごすぎて言葉も出ないくらいに。




 さて、鴇河くんのホームランで2点を先制。このまま一気に……と言いたいところだけど、お相手もすごく強いチーム――2イニング目にほどなく追いつかれてしまう。それでも、鴇河くん、高畑さんのタイムリーヒットで再び得点、そこからも取ったり取られたりの展開で6回裏を迎え――



「――実松、最後の回に行くぞ」

「……へっ? あっ、えっと……はい!」


 ベンチから息をみつつじっと試合を見ていると、突然そう告げる高岡監督。……そっか、今日は全員出る予定だった。……うん、大丈夫かな? わたし。


 

 




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