異変
「…………鴇河くん?」
「……へっ? あっ、ごめんね実松さん! 練習中なのにぼおっとしちゃって」
「あっ、ううん……」
それから、一週間ほど経て。
グラウンドのフェンス近くにて、控えめにそう尋ねてみる。と言うのも――いつもの通りわたしのボールを受けてくれている鴇河くんが、キャッチャーミットにボールを収めたまま動かないでいるから。そして、今日はこんなことがもう三回もあって。
でも、もちろん責めてるわけじゃなく。……ただ、すごく心配で。鴇河くんのこんな様子、今までに一度もなかったから。……なにか、あったのかな。
「…………うーん」
それから、一時間ほど経て。
頭を悩ませつつ、帰り道を歩いていく。理由は、もちろん鴇河くんのこと。いつもとあまりにも違うその様子に、心配にならないはずがなくて。
もちろん、悩みは誰にでもある。鴇河くんだって、言わないだけで日々悩んでいることがあると思う。……でも、今日の様子はあまりにも――
「――実松さん!」
すると、後ろから声が響く。誰の声か、なんて確認するまでもなく――
「……どうしたの? 鴇河くん」
そう、身体ごと振り返り尋ねる。そこには、わたしをじっと見つめる鴇河くんの姿。……もしかして、今日のことでなにか――
「……実はね、実松さん。僕は――」
「………………へ?」




