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そのミットに想いを込めて  作者: 暦海


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人助け?

「……ふふふ〜ん」



 それから、数時間後。

 茜色に染まる空の下を、鼻歌を響かせながら軽やかな足取りで歩いていく。なぜかと言うと、今日の晩ご飯がハンバーグだから。そして、今は材料のお使いの帰り道で。……うん、さっきまで落ち込んでたくせに、われながら単純だとは思うけども。


 でも、どうせ明日には……いや、今日の寝る時くらいはまた落ち込んでるんだろうな。……まあ、その時はその時だよね! とにかく、今はお母さんの美味しいハンバーグが待って――



「…………ん?」



 そんなワクワクが、足と一緒にピタリと止まる。と言うのも――通り道の公園の中で、泣きそうな顔で上を見る小さな男の子が映ったから。その視線をたどってみると、高い木の高いところの枝に引っかかった麦わら帽子が。間違いなく、あの子の帽子だろう。……まあ、どうしてあんなところまで飛んだのだろうとは思うけど、それはともあれ――



「ねえ、ぼうや。お姉ちゃんが取ってあげよっか?」

「……へっ?」


 少し駆け足で公園へ入り、男の子へそう尋ねる。すると、ポカンとした表情かおの男の子。……まあ、そうなるよね。突然、知らない子にこんなこと言われたら。


「……ほんとに? ほんとに、取ってくれるの?」

「うん。だから、そのボールを貸してくれない?」

「あ、うん」


 だけど、ややあってうるうるとした目でそう尋ねる男の子。……正直、言ってはみたものの取れる自信はあんまりなかったり。でも、自分で言った上にこんな目をされてしまったら、もはや取らないわけにはいかなくて。


 そういうわけで、男の子から野球のボールを借り深呼吸をするわたし。……うん、大丈夫。大丈夫。さあ実松さねまつ選手、振りかぶって、第1球を――





「――ほんとにありがとね、お姉ちゃん!」

「本当に助かりました、ありがとうございます」

「いえ、どういたしまして」



 それから、少し経過して。

 そう、感謝の言葉と一緒に去っていく男の子とお母さん。さっきは言ってなかったけど、実はあの場にはすごく困った様子のお母さんもいて。……ところで、こういう時って敬語かタメ口か迷うよね。


 ともあれ、結果は成功――それも、なんと1球目で当たり帽子の救出に成功したわけで。……うん、ほんと良かった。距離はたぶん届くと思ったけど、コントロールは全然自信なかったから。



「……ふんふ〜ん」


 それから、さっきよりも軽い足取りでお母さんの待つお家への道を進んでいく。うん、自分で言うことじゃないけど……でも、いいことした後はやっぱり気持ちいいねっ。




 

 


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