再びのお呼び出し?
「…………ふぅ」
それから、数日経て。
一人、呼吸を整える。そんなわたしがいるのは、誰もいない体育館の裏。と言うのも――ここで、ある男の子からお呼び出しを受けているわけで。
……まあ、どんな用事かはだいたい分かってるつもりだけど。と言うか、あの子がわたしを呼び出す理由なんてきっとそれしか――
「――よう、急に呼び出して悪かったな、実松」
すると、姿を見せたのはキリッとした男の子。その右腕には、白い包帯が巻かれ三角巾で固定されていて。その痛ましい姿にわたしも胸が痛みつつ、控えめに口を開いて答える。
「……ううん、それより……怪我は大丈夫? 佐々野くん」
「……別に、こんなの大したことねえよ」
すると、少し目を逸らし答える佐々野くん。でも、大したことないようにはとても見えない。とは言え、佐々野くん自身がそう言ってるのだから、これ以上わたしがなにかを言うのは野暮というものなんだろうけど。
「……啓斗達から聞いたわ、あの後のこと」
すると、続けてそう話す佐々野くん。……うん、やっぱりそのこと――あの試合のことだよね。そもそも、それ以外にないだろうし。
……やっぱり、怒られるんだろうなぁ。チームのみんなに助けてもらってなんとか勝てたけど、わたし自身のピッチングは決して褒められたものじゃ――
「……悪かったな、実松」
「……へっ?」
すると、届いたのはまるで思いもよらない言葉――そして、視界には深く頭を下げる佐々野くんの姿が。……えっと、なんで? なんで、佐々野くんが謝って――
「……おれだって、ピッチャーなんだ。準備もなしに急にマウンドに上がることが、どんだけ難しいことかは分かってるつもりだ。だから、急に降板してお前に負担をかけちまったことは謝りたかった。それから……試合に勝てたのは、お前のお陰だ。だから……ありがとう、実松」
「……佐々野くん」
瞬間、胸が震える。……すごいな、佐々野くん。一番辛いのは、苦しいのは佐々野くんのはずなのに……なのに、自分のことよりもわたしやチームのことを――
「――けど」
「……えっ?」
「……けど、おれは決してエースの座を譲ったわけじゃねえ。こんな怪我、すぐに治して絶対にまたマウンドに立つ! ……けど、それまでは頼む、実松」
「……っ!! うん、待ってるね佐々野くん!」
「……ったく、やっぱ変だなお前。ほんと、調子くるうわ」
「……へっ? そ、そうかな?」
そう宣言した後、あきれたように微笑みつつ手を振り去っていく佐々野くん。……変、なのかな? まあ、それはともかく……うん、待ってるね佐々野くん! そして……うん、わたしも頑張らなきゃ!




