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そのミットに想いを込めて  作者: 暦海


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復帰戦

「――では、今日のスタメンを発表する。1番 ショート――」



 それから、二週間ほど経て。

 耀光ようこうのグラウンド――その3塁側のベンチの前で、今日のスターティングメンバーを発表する高岡たかおか監督。わたしにとっては二回目――あの悔しいマウンド以来の練習試合で。……でも、今日はないかな、出番。前回まえみたいに、全員が出るとも言われてないし。


 ともあれ、次々とメンバーを発表する高岡監督。そして――

 


「――6番 ピッチャー 佐々ささの!」

「はい!」


 そう、大きな声で返事をする佐々野くん。復帰戦ということもあり、きっといつも以上に……いや、いつもなんて言えるほどまだ知らないけど……でも、すっごく気合いが入っているのははたからもひしひしと伝わって……うん、頑張って佐々野くん!





「…………すごい」



 それから、数十分後。

 思わず、ポツリと声が。と言うのも――1回表、相手チームの攻撃を佐々野くんが三者凡退――それも、三者連続の三振でピシャリと抑えたから。……うん、すっごい。もう、ボールがまるで違う。


 それから、大いに盛り上がるベンチへと駆け足で戻ってくる佐々野くん。そして、みんなの称賛を受けた後わたしの方へとかけより――



「――どうだ、実松さねまつ

「うん、すっごくカッコよかった!」

「……そ、そうかよ。……ったく、調子くるうな」


 そう、ビシッと指を差し力強く告げる佐々野くん。だけど、わたしの返答にどうしてか気まずそうな様子でつぶやいて……うん、どうしたんだろ?




 その後、鴇河ときかわくん、高畑たかはたさんのタイムリーヒットで2点を先制。だけど、相手の投手も手強く守備も固いのでなかなか点を取れなくて。


 それでも、佐々野くんの圧倒的な投球が続き、点は取らせず2点リードのまま6回の表を迎え――



「……佐々野くん」



 そう、ポツリとつぶやく。今、6回の表の途中なんだけど――遠くからでも、明らかに苦しそうな佐々野くんの姿が映っていて。もともとは体力に心配はないってみんなも言ってたけど……それでも、佐々野くんはまだ復帰して間もない。そこに、久しぶりの実戦ということも相まって、きっといつも以上に疲労がまっていて……うん、とにかく今は精一杯応援を――



「――実松。最後の回に行くぞ」

「……へっ? ……あ、はい!」


 そんな思いでマウンドをじっと見ていると、不意に届いた高岡監督の声。……えっと、わたし? この前、あんな情けないピッチングをしたのに――


 ……いや、今はいい。わたしより良いピッチャーがたくさんいる中で、なんでわたしを選んでくれたかは分からないけど……それでも、選んでもらったらには全力で腕を振るだけ――



 ――ガン。



「…………へっ?」


 そんな決意を最中なか、ガツンと頭を打たれたような衝撃が。と言うのも……バッターの放った鋭い打球が、佐々野くんの右腕へと直撃し――



「――佐々野くん!」





「……大丈夫かな、佐々野くん。今、モロにあたったよね」

「……ああ、すっげえ音したしな」



 その後、心配の声でざわめく耀光ベンチ。今、佐々野くんはマウンドでうずくまり、鴇河くんと内野のみんなが心配そうに佐々野くんのそばに集まって、外野のみんなも心配そうにマウンドの方をじっと見つめていて……大丈夫かな、佐々野くん。……いや、大丈夫じゃないよね。


 すると、ふと視線に気づく。見ると、予想の通りわたしをじっと見ている監督の視線で。……うん、流石に分かる。どうして、じっと見ているのか……そして、何を言おうとしているのか。



「……急で悪いが、今から行ってくれないか、実松」 

「……はい!」







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