今後の方針
休暇を終えた私たちは、いつもより少しだけ遅い時間に起き、適性者ギルドに集まっていた。
珊瑚等級に昇格し、新たに4つの夜エリアが開放されたことで、いよいよ私たちの計画は現実味を帯びてきたので、今後の方針を1度確認するためだ。
「みんな、おはよう。早速だけど、夜エリアのことを知らない人は、どのくらいいるかな?」
Rockさんの呼びかけに、集まった人たちの3割ほどが手を挙げる。私とクリフさんも、ここに含まれていた。
そうか、前作を知っていると言っても、全員が全てのコンテンツを進めてたとは限らないよな。
「うん、だいたい予想通りだね。じゃあそこから説明を始めようか」
Rockさんの話を簡単にまとめると、昼エリアとは違い、夜エリアに受託可能なクエストはなく、レア敵がドロップする合成素材で、今までに揃えた装備を強化するための場所らしい。
また、このゲームのハッピーエンドに辿り着くために必須と思われる、魔獣と呼ばれる6匹の強敵と戦えるのが、この夜エリアということだった。
ついに折り返し地点まで来たんだなという思いと、ここからが本番なのだという思いが交錯する……。
「というわけで、ここから先はもう、レベル上げにはほとんど意味がないんだ。次の金等級昇格の条件が、『魔獣を4匹倒す』だしね」
「そそ、そんなに条件が厳しいんですか!?」
「魔獣戦も、エンドコンテンツの1つなんだよ」
クリフさんが思わず口にした言葉に、Rockさんはそう答えた。
「それで、合成やったことない人のために説明すると……」
昼エリアのクエストで私たちが作った装備には、1装備につき3つの「スロット」と呼ばれる穴が元々あるのだが、その穴にドロップ品である合成素材……特殊な魔晶を打ち込むことで、追加効果を付与できるとのことだった。
しかもこの合成素材は消耗品で、発生する合成効果も魔晶ごとに違うし、合成結果が中・大・特大の3段階あるらしい。
「特大効果が発生する合成確率は10%。スロットは1装備につき3つだから、3つ全部のスロットに特大効果を合成付与するには、期待値でも1スロットにつき合成素材30個必要になるね」
さらに装備は全部で5か所なので、その全てに特大効果を合成付与するとなると……一式揃えるのに期待値でも150個必要ってわけか。
しかもこれを、装備6属性分全てやろうとしたら……900個!?
なるほど、エンドコンテンツだな。
「残りの日程から考えても、全員が装備6属性分全ての合成を完了させるなんてのは無理だから、ここからは全員で、選抜メンバーの戦力アップをサポートすることにしようか」
今まで通り、1つのエリアを攻略するのに2日かけたとして、6エリアで12日かかる計算だ。残り日数は今日含め16日だから、予備日を計算に入れると確かに、そんな暇はないよな。
休暇でリフレッシュできたし、今後もイベントエリアを使えるとはいえ、これまで以上に大変な日々を過ごすことになりそうだ。
「で、そのための作戦なんだけど、花図鑑さんや各職のマスターに加えて、鷹影さんと相談して決めたから、今回は鷹影さんから説明してもらうよ」
「はい、では僭越ながら……」
そう前置きして、鷹影さんは説明を始めた。
「1エリアごとに特定の選抜メンバー5名はパーティを組まず、残りの95名がそれぞれ、3名または4名で1つのパーティを組んでいただきます。
例えば森林地帯(夜)では風属性の合成素材が手に入りますので、風属性選抜メンバーはパーティを組みません。
こうしてできた24組のパーティは、割り振りされた場所で敵シンボルと接触し、レア敵と遭遇するまで撤退を繰り返していただきます。雑魚敵は倒しません。
特定の選抜メンバー5名は戦闘に参加せず、待機します」
合成素材である特殊魔晶は、レア敵からしかドロップしないけど、昼エリアと同じであれば、鉱石部分の部位破壊で100%手に入れられる。
しかもレア敵を撤退させた時点の戦闘参加者全員が、戦闘終了後に同じ合成素材を手に入れられるので……。
「レア敵と遭遇したパーティは、ワールドチャットにて即パーティ募集。そこに待機していた特定の選抜メンバーのうち1名が合流し、レア敵を討伐する流れです」
なるほど、この方法なら5人の選抜メンバー各自が、特定の合成素材150個を手に入れるのも、1日半でできそうだ。
まあ実際には1人150個では足りなくて、もっと集める場合もありそうだけど。
「というわけで、まずは森林地帯(夜)の魔獣を火属性選抜チームが倒すために、火山地帯(夜)で合成素材集めをすることにしよう。これからパーティメンバーと、担当場所を発表するよ!」
発表された内容は、1パーティにつき火以外の属性メンバー1名+選抜外3名のようだ。
いや、1つだけ3人パーティがあるはすだから、そこは火以外の属性メンバー2名+選抜外1名になるかな?
いくら雑魚敵は倒さないと言っても、レア敵が出現してから追加メンバーが合流するまでは、とにかく耐えて時間を稼ぐ必要があるもんな……。
「ユウさんには常に、3人チームで頑張ってもらうから、そのつもりでね」
というわけで、私と共にこれから組む2名が発表された。




