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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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休暇C

「ステージイベント、まじ楽しかったな!」

「ここも今後、自由に使わせてくれるんだろ? 俺ずっとカラオケやりたかったから、助かるわ」

「僕も今度、演奏してみたい!」


係をした側も、観客だった側も、満足のいくパフォーマンスが終わったところで、


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ペンタス:心が満たされたところで お腹も満たしたいところよね? ちゃんと準備してるわよ!

運営からのお知らせ:イベントエリア「大晩餐会」が解放されました

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ペンタスさんの司会に合わせ、次のエリアが解放された。


「至れり尽くせりじゃん!」

「さっきの軽食も旨かったけど、さらにあんの!?」


ちゃんと味を感じられることはもう分かっているので、みんな期待に満ちた目でワープ移動する。


「おおおおおおおおっ!」

「ここは天国か!?」


所狭しと並べられた、いかにも美味しそうな料理の数々が私たちを迎えてくれる。楽しい食事を盛り上げてくれる、明るい音楽も流れていた。


「はい皆さん、食べ物はなくならないから、落ち着いてくださいね。

ビュッフェ形式ですから、1人ずつここでお皿や箸を準備して、好きな物を取るように。席も自由ですからね」


今回会場の整理係になっているたろ吉さんが、先生らしく注意事項を述べた。

料理の大半はウパぺんたちが準備してくれているのだが……。


「あれっ、ぜっぴんさんとエレさんも、作る側ですか?」


私はウパぺんたちに混ざって、食べ物を用意してくれている2人を見つけた。


「実は僕、元々料理が趣味でさ。人に食べてもらうのも好きなんだよね!

まあアレルギーで食べられないものが結構あるから、自分で作る方がゲーム世界(ここ)でも安心して食べられるってのもあるけど」

「私もお菓子作り好きで、特にチョコレート使ったものには自信があります♪」


現実世界では中々できないようなパフォーマンスを披露しつつ、美味しそうな料理やお菓子を次々と作る2人は、それはそれで生き生きとしていた。


ゲーム世界なだけあって、味は楽しめてもお腹は膨れないので、みんなある程度食べたところで、くつろぎ始める……。

これを見計らったように、


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運営からのお知らせ:イベントエリア「温泉」が解放されました

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また、次のエリアが解放された。


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ペンタス:ちなみに温水プールとサウナもあるわよ!

ゲームの仕様上裸にはなれないし アバターが性別1・2混ざってる人とか アバターとプレイヤーの性別が一致しない人もいるから あえて混浴になってるわ!

ぜひ浴衣か水着で楽しんでね!

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ちょっとしたことだけど、私自身アバターが性別1・2混ざっているので、この配慮はありがたい。


早速ワープしてみると、右手側に純和風の岩の露天風呂が目に入り、その左手側には温水プールが見えた。また真ん中には休憩スペースがあり、リンゴアメやかき氷といった屋台の定番商品や、ドリンクを注文できるようになっている。

音楽も落ち着いた、和風のものが流れていた。


「ここも凄いですね。僕は休憩したいので、そのお茶をいただきます」

「広~~~い! ぼくはプールに行こっと!」


ゆっくりお茶を楽しもうとしていたU-berryさんの隣で、即座に水着に着替えたDylicaさんが、プールの方へと駆け出したので、


「Dylicaくん、走っちゃ駄目ですよ!」


U-berryさんが慌てて声で制止したが時遅く、見事にすってーんと転んだ。


「本当に凄いネ……星も綺麗だヨ。私はあっちで、星を見ていようカナ」

「パパもママのお許しが出たから、星見酒と行くぞぉ!」


有紗さんとRockさんが言うように、この時折流れ星が落ちる、満天の星空も見ごたえがあった。温泉・プールのどちらにも興味がない人でも、ゆっくり天体観測が楽しめそうだ。


「一緒に遊んでよぉ~!ヾ(*•ᆺ•)ノ」

「ひゃっ!? お返しだうー!」


他にも水着になったチョコケーキさんが水鉄砲で攻撃したので、嶋耕作さんが応戦したり、


「なあ、どっちの筋肉が上か、勝負しないか?」

「おっ、いいぜ! ヒーローショーでは決着つかなかったからな!」


照輝さんとレフィアンさんが、競泳を楽しんだりしていた。


みんな普段と違う服装だから、何だが新鮮だな。まあ嶋耕作さんに関しては、能面はそのままみたいだけど。


「そう言えば何だか……違和感があるような……?」

「それはほら、当たり前にあるはずのものが、無いからじゃなぁ~い?♡」


能面に海パン姿の熾天使セラフィムさんが、自身の胸と下半身を指さしてそう言ったので、ようやく私も違和感の正体に気づいた。


乳首と、海パンの下にあるはずの膨らみがない。ゲーム世界だからこそある、表現規制のせいか……。

よく見ると性別2アバターの人たちの胸の大きさも、全員同じのようだ。


「熾天使セラフィムさんの能面は、そのままなんですね」

「これが私の素顔だから、外せないのよっ♡」


おどけてそう言うと、熾天使セラフィムさんはそのままプールに向かった。

私は少しだけ悩んでから浴衣に着替え、露天風呂の方に向かう。


ちなみに着替える場所や洗い場はない。着替えに関してはアバター画面の操作で即完了するし、元々服や体が汚れない仕様だから、どっちもいらないもんな。


「この蒸気サウナ、いいですね。ハーブの香りでリラックスできますし、息苦しくならないし」

「耐熱訓練にも良さそうです!」


同じく浴衣姿のたろ吉さんと真珠さんが、露天風呂の近くにある蒸気サウナから出てきて、水風呂に向かっていく。


さて、久しぶりのお風呂はどんなものかな……?


湯煙の中を進み、恐る恐る温泉に浸かると、意外なことに身体が濡れないことに気づく。

正確には湯に触れている感覚はあるけど、湯から上がるとすぐに水滴が消えるし、着ている服が体に張り付くこともないのだ。


そう言えばさっき蒸気サウナから出てきた2人も、身体が濡れてなかったっけ。こういうところはやっぱり、ゲーム世界なんだな。

とはいえ、この心地よさだけは本物だ。


「誠に素晴らしい泉質と湯加減ですね」

「はい。現実世界でもなかなか、ここまで充実した休暇はできないかもしれませんね……」


先に浴衣姿で温泉に浸かっていた鷹影さんに声をかけられ、私はそう答えた。


「堕落しそうだぞ……」

「お肌もツルツルになりそうですね」


青い水着姿のラガマフィンさんと、浴衣姿で髪を帽子に収めた春水さんも、トロトロのお湯に満足してるようだ。


と、ここで私に背を向ける形で温泉に浸かっていた人物が、口に小枝を咥えていたのに気づく。


「あっ、ジャスティアさんだったんですね。髪型変えたんですか?」

「今だけな。いつもの髪型だと、湯舟に髪が入るじゃねーか」


そう、いつもは長髪を首の後ろで結んでいるのに、今は短髪に水着姿と、印象が普段と違いすぎて、すぐには誰か分からなかったのだ。


「あ、そっかぁ! 私も髪型変えよっと」


赤い水着に着替え、湯に入ろうとしていた°˖✧はぴ✧˖°さんもそれを聞いて、慌てて髪型アバターを変更した。

それにしても水着で湯に浸かると、現実世界のそれに一番近い見た目になるんだな……。


「あれ……もしかしてそこにいるの……」


ふいに湯煙の向こうから、別の声がした。


声のした方に目を向けたジャスティアさんは、声の主の姿を捉えるや硬直し……口から小枝が落ちて、湯の中に落ちる。

私もそちらに目を向け……


「えっ!?」

「あ」

「これはっ……!」

「まあ!」


他の人たちも、その理由に気づいたようだ。


それもそのはず、声の主は白い水着姿だったせいで、湯煙の色と水着が同化し、夜の暗さも相まって知覚的補完が働いてしまったのだ。

要するに……裸に見える。


私はその人の顔に見覚えがなかったのだが、


「ティア?」


ジャスティアさんのことを「ティア」と呼ぶ人は1人しかいないので、ようやくそれが誰かを理解した。いつもは兜で顔が隠れているのに、今は兜を外しているので、気づかなかったのだ。


「へーっ、くろんちゃんの顔アバター、そんなだったんだぁ! 初めて見たよぉーっ☆」

「そう言えば、兜を外すのは久しぶりかも……」


°˖✧はぴ✧˖°さんとくろんさんは、知覚的補完に気づいていないようだ。


「な、なんっ……!」


ここで硬直から復活したジャスティアさんが、大慌てでくろんさんに、頭から大きな布を被せる。


「えっ、何!?」

「早く服着替えろ! あと何で、顔アバターそれにしたんだよ!」

「顔アバター? これ気に入ってるのよ、現実世界の私に似て……」

「言うな! 晒すな!」


なるほど、顔アバターそのものも個人情報だったのか。それは焦るよな。


「顔アバター変える気ないなら、二度と兜外すな!」

「わ、分かったわ……これでいいかしら?」


くろんさんが浴衣といつもの兜に着替え終わったのを確認してから、布を収納した彼は、


「お前らも今すぐ、記憶を消せ!」


今度はいかにも痛そうなトゲトゲのメイスを構えて私たちの方を向き、真っ赤な顔でそう凄んだ。

そんな無茶なとは思ったが、言ったらどうなるか怖いので、あえて誰もそんなことは口にせず、ただ頷く。


それに満足したようで、ようやくジャスティアさんはメイスを収納した。


「ティア、さっきからどうしたの?」

「のぼせそうだから、一旦水風呂……」


°˖✧はぴ✧˖°さんとくろんさんは不思議そうにその姿を見送りつつ、湯船に浸かったので、春水さんがそっと2人に事情を説明すると、くろんさんもまた真っ赤になった。


こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ……


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ペンタス:みんな 24時まであと3分よ! アレの準備はいい?

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ワールドチャットでそうお知らせが入ると、みんな急に騒ぎ始めた。


「そうか、アレがあったっけ!」

「すっかり忘れてたよ!」


何のことか全く分からないが、広い場所に集まり始め、中にはカウントダウンを開始している人もいる。

カウントが10を切ったあたりで、何人かがジャンプし始めた。


「ユウさんもほら!」

「えっ? ジャンプですか?」


周囲の人たちに促され、カウント0と同時にジャンプすると……


「えええっ!?」


思いがけず5回転ジャンプができてしまい、危なげなく着地する。しかも私だけでなく、ジャンプした全員が繰り返し5回転ジャンプを決めている。


「もしかして知らなかったっスか? スカオーは毎日23時59分からの1分間だけ、誰でも5回転ジャンプができるんっス!」


(≧▽≦)さんが5回転ジャンプを繰り返しながら、そう説明してくれた。

これは楽しいっ……! 目が回りそうだけど。


こうして私たちの休暇はこの、1分間のジャンプ体験で締めくくられて終わった。

これで私たちに残された時間は、日付が変わったのであと……16日だ。

ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。


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をしたうえで、本作を読み進めていただけますと、大変励みになります。

どうぞよろしくお願いいたします。

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