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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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休暇B

他の係の人たちと共に、先に次のイベントエリアに移動していた私は、時計代わりとなっているデイリーガチャ復活までの時間を確認し、ペンタスさんの方を見た。


彼女もまた同じ画面を見ていたようで、目が合うとすぐ頷き、ワールドチャットの画面を開く。


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ペンタス:さあみんな 次の企画を開始するわよっ!

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ペンタスさんの言葉に合わせ、またサマーウパぺんが半透明の画面を操作した。


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運営からのお知らせ:イベントエリア「ステージ」が解放されました

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程なくして、花畑にいた人たちが次々とワープしてくる。


「マジでステージだ。広っ!」

「音楽が勝手に流れないエリアって、ここでは新鮮だな……」

「何見せてくれるか、めっちゃ楽しみなんだけど!」


良い席を確保しようと、ウパぺん含め、みんな急いで移動している。それをステージの端から見ていた私は、数回深呼吸してから、自分の席についた。


こういう経験はあまりないから、緊張するなぁ……。

程なくしてブザーが鳴り、照明が暗くなった。


「お待たせ! これからステージでのイベントを始めるわ。第3部まであるから、みんな楽しんでね。

それでは第1部、楽器武器所持者有志による、スカオー人気曲の演奏よ!」


ペンタスさんの司会に合わせ、ステージの照明が徐々に明るくなり、スルスルと緞帳が上がる。すでに緞帳の裏で待機していた、私を含む楽器武器所持者有志は、全員黒のスーツかドレスに身を包み、それぞれの楽器を取り出した。


今回指揮者を担当してくれている、花図鑑の菊さんが観客に挨拶し、指揮棒を構える……。


Ruyさんの管楽器を模したメイスと、ジャスティアさんの琴を模したメイス、くろんさんのボーカルで開始された演奏は、スカオーのオープニング曲だ。


「うっそ、上手っ!」

「練習時間なんてなかったろうに、すげー」


誰かがそう小声で言ったのが、耳に入った。

その演奏に、徐々にLiEさん、嶋耕作さん、鷹影さん、Dylicaさん、私も加わる。


ほぼ練習してないのはその通りだが……タネ明かしをすると、実はウパぺんが事前に各武器ごとに、演奏内容をセットしてくれている。

つまり、指揮棒に合わせてタイミングよく武器を使用すると、ちゃんと今のような演奏ができるのだ。

曲的に足りない楽器の音や照明は、ウパぺん数匹が担当だ。


「奏でるタイミングを合わせる練習」だけであれば、そう難しくはなかったので、ソロパートがあるRuyさん、ジャスティアさんには「カッコよく演奏している風」を装う練習もしてもらっている。


とはいえボーカルだけ、この方法では補助できないので、くろんさんはちょっと頑張ってくれたらしい。


曲が終わり、盛大な拍手が贈られる。その後、くろんさんがマイクからベルを模した魔導具に持ち替えてから、私たちは他にも2曲演奏した。


「良かった、みんな喜んでくれてますね」


最後の曲が終わり、拍手が贈られる中、また照明が暗くなる……。


第1部で演奏したメンバーは全員、第2部ではバックミュージックの係になるので、この間にステージの奥へと移動する。


「続いて第2部、ここからさらに盛り上がっていくからね!」


途中から舞台袖にスポットライトが灯り、ペンタスさんの司会が再開される。


「みんな、ライブ用ペンライトの準備はいい? アバター用魔導具にあるでしょ?

……そう、それそれ! みんなの好きな色を用意してね!」


台本にないペンタスさんのMCに、ステージにいるこっちは驚きを隠せない。だが場繋ぎとしては完璧だ。

多分、誰かの意見が反映されたのだろう。そういうのに慣れている人に、私は1人心当たりがあった。


そうとは知らない観客たちは早速、元々アバター用魔導具にある、様々な色のライブ用ペンライトを手に持った。

花図鑑さんたちだけは、このMCを事前に知っていたらしく、菊さんも落ち着いて指揮棒を構える。


「じゃあみんなの準備も整ったところで、第2部。ライブコンサートよっ!」


このMCに合わせてスポットライトが消え、舞台上に薄明かりが灯る。指揮棒が振られたので、私たちは演奏を開始した。


音楽に合わせて一気に明るくなった舞台の真ん中にいるのは、白地に金糸をあしらった、露出度の高いドレスを着こなし、マイクを持つ真珠さんとZEROさん。


その右側ではチョコレート色のタキシードを着たU-berryさんと、赤いドレスを着た紅央さんが、反対側では同じ服装の蛍さんと°˖✧はぴ✧˖°さんが、それぞれペアになってダンスを披露し始めた。


「スカオーの人気声優コラボ曲キター!!」

「これ、スカオー2周年イベントのリスペクト!? マジ嬉しいんだけど!!」


真珠さん、ZEROさんも歌いながら、簡単な手振りだけのダンスを披露する。これまた台本にないので、恐らく真珠さんが自分で考えて提案したのだろう。

本当にこの人、アイドル2ボイスとはいえ、こういうことに慣れすぎじゃ……。ある意味納得の人選だ。


ちなみにこれにもタネがあり、ダンスをしているU-berryさん、紅央さん、蛍さん、°˖✧はぴ✧˖°さんの4人については、ウパぺんがこの日のために作ってくれたエモーションを、いくつか組み合わせて踊っている。

つまり、「事前にセットされた通りに勝手に踊ってくれる」ので、そうとバレないように表情だけ演技しているのだ。


だが真珠さん、ZEROさんにそれはないので、この2人だけ本物の歌とダンスだ。

台本では歌だけ練習することになっていて、特にダンスは求められていなかったというのにこの完成度……2人ともすごいな。


「みんな、盛り上がって!」

「あなたたち声が出てないわよ」

「ええっ、どうして!?」

「はいっ、はいっ」

『はいっ、はいっ!』


真珠さん、ZEROさんが、これまた台本にない音頭を取り、観客席にマイクを向けると、


『はいっ、はいっ、はいっ、はいっ!』

『ウペッ、ウペッ、ウペッ、ウペッ!』


観客もまたそれに応え、ライブ用ペンライトを振った。中には、見事なオタ芸を披露している人までいる。


「みんなありがとー!」

「やればできるじゃない」

『いざ、突撃!』


この演出により、観客たちは最高潮だ。歌とダンスが終わると、惜しみない拍手が贈られた。


「ここから10分間の休憩に入るわっ! みんなまだ帰らないでよっ!」


ペンタスさんから休憩を告げられたが、みんな興奮冷めやらず、あちこちでここまでの出来事を振り返っていた。


第1部、第2部に参加したメンバーはこれで係が終わりなので、休憩時間の間に観客席の方へ移動し、代わりに第3部に参加するメンバーがそっと、楽屋へと移動する……。


実はここから先のことは、私も花図鑑さんたちから何も教えてもらえなかったので、純粋に楽しめそうだ。


「いよいよ最後の第3部。ヒーローショーよっ!」


ペンタスさんの司会に合わせて、ステージ以外の照明が落ち、のどかな音楽が流れ始める……。


すると、ペンタスさんがいる方の舞台袖から、ウパぺんたちがゾロゾロ出てきて遊び始めたので、ウパぺん好きの人たちは大興奮だ。

どうやら第3部は、ウパぺんもメインで参加してくれるらしい。


数分後、さらに反対側の舞台袖から、何やら見たことのない大きな敵が、突然顔を出す。


「うお、あれは!!」

「そう来たかwww」


どうやら、知っている人の方が多いらしい。


まるでハリセンボンとマンボウを混ぜ合わせたようなフォルムの、その魚型モンスターは、どうやってか知らないが宙に浮いて、


「ハリマーンボー」


そう言いながら、ゆっくりと登場した。


「あれはウパぺんたちの天敵、ハリマンボウ!!」


あ、名前そのまんまなんだ。


ハリマンボウはその身体から生えた棘を飛ばして、ウパぺんたちを攻撃する。ウパぺんたちは逃げまどい、ペンタスさんの後ろに隠れた。


「きゃーたすけてー! スカオージャー!」


やや棒読みのペンタスさんのセリフに合わせ、音楽が変わった。

そして登場する、「いかにもヒーロー」といった装いのヒーローたち!


「はっはっはっ、スカオーレッドだぜ! 俺様の筋肉をご所望かい?」

「堕天……ごほん。スカオーブルー、降臨!」

「パパ……じゃなかった、スカオーグリーンに任せなさい!」

「スカオーイエロー、行くっス!」

「スカオーピンクであります!」

「5人揃って……」

『天空海戦隊、スカオージャー!!』


名乗りに合わせて決めポーズを取るヒーローたちの背後で、ドカーンという大きな爆発音とともに、炎と煙が立ちのぼった。


顔はヘルメットで見えないし、頭上のプレイヤー名もウパぺんの力で隠されているが、それでも誰が誰か分かってしまい、笑いが止まらない人多数。


「本日の課題は……ハリマンボウ討伐です!」


スカオーピンクがそう宣言すると、敵側もハリマンボウの形をしたマスクを被る、追加メンバーが登場した。


「こ、これ人選間違ってない……?」

「お前ならできる! 頑張れ」

「悪戯しちゃうぞー!(「 •ㅅ•)「」

「破壊してあげるわ!!」

「我の野望、果たさせてもらうぞ」


内容はどう考えてもお子様向けなのだが、こちらも誰が誰か分かってしまい、笑いが加速する。

とはいえプレイヤー同士の戦闘など普段見ることがないので、これはこれで見ごたえがあった。


ちなみにゲームの仕様上、プレイヤーがプレイヤーを攻撃しても、ダメージは入らない。というか通常は、プレイヤーを攻撃対象に選ぶこともできないので、ウパぺんたちが何か仕様を変更したのだろう。


無事(?)にハリマンボウたちを撃退したスカオージャーが、観客に別れを告げ、颯爽と退場したところでヒーローショーは終了した。

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