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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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休暇A

昨日は遅い時間までボス討伐していたこともあり、普段より遅く起きた私は、いつものようにデイリーガチャを引いてから、適性者ギルドへと向かう。


もうかなりの人が、そこに集まっていた。それだけみんな、休暇を楽しみにしていたってことかな?

予定通り花図鑑さんたちがもう揃っていたので、私はそこに合流した。


「おはようございます。そろそろ時間ですよね?」

「是」


詳細はまだ何も明かしていないので、みんな何があるのかとソワソワしている中、ゴールデンウパぺんとサマーウパぺんが揃って、適性者ギルドにワープしてきた。


「えっ、ウパぺんがこんなところに!?」

「今まで来たことないのに、何で???」


2匹は私たちを見つけると、まっすぐ近づいてくる。ゴールデンウパぺんはすぐに右の翼を上げて挨拶してくれたけど、サマーウパぺんのほうは眠そうな顔で一瞥しただけだった。


もしかして、夜更かしして頑張ってくれたのかな……?


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ペンタス:みんなおはよう! そしてお待たせ! 

今日はアタシたち花図鑑のみんなとユウさんで とっておきの過ごし方を沢山用意したわ!

みんな最後まで楽しんでよねっ!

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そして時間になったので、the 2ndになってから花図鑑に加わったというペンタスさんが、全体チャットで司会を始めた。

彼女は他の花図鑑さんたちとは違い、ボスの行動分析の際はいつも救護室に待機しているので、まともに顔を合わせたのは実は、今回が初めてなんだよな。


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ペンタス:それじゃあウパぺん よろしく!

ゴールデンウパぺん:ウペッ!

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ゴールデンウパぺんは元気よく挨拶し、サマーウパぺんを見つめる。サマーウパぺんはやれやれという感じで1つ息を吐くと、半透明の画面を操作した。


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運営からのお知らせ:イベントエリア「花畑」が解放されました

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途端、ワールドチャットにそのお知らせが書き込まれる。


「えっ、イベントエリア!?」

「まさか、ウパぺんが協力してくれたのか!?」

「マジかよ、花図鑑さんたちすげー!」


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ペンタス:さあみんな 休暇の始まりよっ!

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その言葉で、みんな次々と「花畑」へワープしていった。私も半透明の画面を操作し、移動する……。


「事前に聞いてたとはいえ、これは……本当に凄いですね!」


イベントエリア「花畑」に入った人は一様に、感動や驚きの声をあげる。

辺り一面が色とりどりの花で溢れているのはまあ、みんな予想の範囲内だったろうけど、それ以上に衝撃的なことがあるからだ。


「に、匂いがあるんですか……!?」

「影の精霊も、とてもいい香りだって喜んでるわ!!」


そう、クリフさん、よー子さんが言うように、この世界には匂いがないのが当たり前だったのに、イベントエリア「花畑」では、花の香りがあちこちで感じられるのだ。

春の暖かさを感じる、のどかな音楽もまたよく合っていた。


「これ、本当に凄いです!」

「さすがに各花に合わせた香りってわけじゃないみたいだけど、嬉しいわぁ~! でも何でぇ~?」


天尚さんと紅央さんが、色んな花の香りを確かめながら、散策を楽しんでいたので、私は教えてあげた。


「実はウパぺんたち、かなり前からこういうイベントエリアで過ごしてたらしいんですけど、リアル世界の私たちの身体で体験したことを、ここで再現しようと色々実験してるらしいんです。

この花畑の香りは、そこにいる桜ウパぺんが頑張ってくれたそうですよ」


ちなみに入れ替わった肉体の持ち主が、アロマが趣味の方だったので、こういう流れになったらしい。なのでこの花畑で感じられる香りも、自然のままというわけではなく、アロマオイルやお香っぽかった。


「ウパぺんがいっぱいいる!! 僕、一緒に遊んでもらお!」

「まあ本当ですわ! わたくしも是非、お話させていただかないと!!」


早速芝生エリアでボール遊びをしているウパぺんたちを発見したDylicaさんが、興奮気味にそう言って走り出し、すぐ遊びに加わる。LiEさんもまた、別のウパぺんたちとの会話を試みるべく、足早に向かっていった。


「えっ、いいのでしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ。ウパぺんたちもそのつもりで来てくれてますから」

「誠に素晴らしい……!」


U-berryさんが戸惑っていたのでそう答えると、鷹影さんと揃って感動していた。


「あれは何をしているのだ?」


シクザリアさんはその芝生エリアの端にある小川付近で、緋色の敷物が広げられているのが気になったらしい。


「実は野点を楽しめるんですよ」

「野点……野外の茶会のことだよな? 楽しむと言っても、味がしないだろう?」


私の答えを聞いた蛍さんも首を傾げたので、私は、


「ぜひ試してください」


とだけ答え、2人と共にそちらに向かう。


「ようこそお越しくださいました。一服いかがですか?」


先に着いていたRuyさんに、春水さんがそう声をかけているところだった。


「もしかして、春水さんがお茶を点ててくれるのか?」

「はい。実は花図鑑さんたちからオファーをいただきまして、私は皆さんにお茶を提供する係になりました」

「ほう……ではいただこうか」

「ウペウペ」


シクザリアさん、Ruyさん、蛍さんそして私が早速緋色の敷物に正座すると、武士ウパぺんがまず羊羹を出す。みんなしばらくじっと眺めていたが、恐る恐る口に運び、


「これはいいな……!」

「うんうん、久しぶりの甘味は最高だぞっ!」


シクザリアさん、Ruyさんが、満足そうに顔をほころばせた。


「だが見た目通りの味じゃないから、不思議な感じだな。これはきんつばの味がする」


蛍さんは興味深そうに、見た目は羊羹なそれを見つめてから、残りを口に運ぶ。


「はい。実はまだそのあたりを、ウパぺんたちが調整中らしくて……。私たちがその調整のお手伝いをする代わりに、イベントエリアを使わせてくれることになったらしいです」


いつの間にかそんな交渉をもちかけて、実現してしまうあたり、本当に花図鑑さんたちには脱帽するしかないのだが。

今のところ、味や匂いを感じられるのはイベントエリアだけだが、調整が進めばいずれ、どこででも感じられるようになるのかもしれない。


「ではお茶もどうぞ。見た目は抹茶ですけれど、味は緑茶なので、飲みやすいですよ」


それでも春水さんが、ちゃんと茶道の作法で点ててくれるので、雰囲気は抜群だ。


ちなみに少し離れたところでは、Miyabiさんがクッキーやドーナツといった洋菓子を提供する係を、ラガマフィンさんがお茶やジュースなどの飲み物を提供する係を、それぞれしてくれている。

また椅子とテーブルがあちこちに用意されているので、花を見ながらゆっくりすることもできるのだ。


「ありがとうございます、美味しかったです」


お礼を言ってから、私は今度はその、洋菓子とドリンクのコーナーに移動した。


ちなみに注文方法だが、ちょっと変わっていて、文字が一切ない。

代わりに、元々この世界にある様々な飲食物のアイコンをタップすると、ウパぺんがそのアイコンに設定している味を付けて、そのアイコンと同じ飲食物をくれるようになっている。

つまり注文者は、見た目だけで選ぶことになるのだ。


「うーん、パパはお茶よりもお酒の方が……」

「いいわけないでしょ、まだ朝ですよ!」


Rockさんが注文アイコンの一覧を眺めて呟いたのを聞き逃さず、たろ吉さんが即つっこむ。


「すいません! でもママ、今日は休暇だよ? ちょっとくらいはさぁ……」

「パパはこの後、係があるんでしょう? せめて夜にしてください」

「おお、さすがママ! 話が分かる!」

「せっ、節度は守るんですよ!

ところでこの、グラスに入っててショッキングピンク色の飲み物、何が出るんでしょうね……?」


そう、たろ吉さんが見つけたように、あまり現実世界になさそうな見た目のメニューアイコンも含まれているのだ。

しかも1つのアイコンで、複数の味が設定されている場合もある。


その辺りの細かい内容を把握するため、今回事前に色々注文しまくったMiyabiさんとラガマフィンさんが、ウパぺんと注文者との仲介係をやってくれている。


「これはある意味、博打ねぇ。フフッ、注文してみようかしら?」


ZEROさんは迷わず、そのショッキングピンク色の飲み物のアイコンをタップする。


「お待たせだぞ~」

「ありがと」


程なくしてラガマフィンさんから提供されたそれを、優雅に受け取り、ZEROさんは近くのテーブルへと移動していった。


「ねぇ……プリンはある?」

「見た目が青いゼリーになるけど、あるわよっ!」

「俺は何か、しょっぱいものが食いたいな」

「レフィアンが気に入りそうなもの……。見た目は甘栗な、ピーナッツでどうだー?」


有紗さん、レフィアンさんの質問に、そう答えるMiyabiさんとラガマフィンさん。それはそれで頭が混乱して、味を楽しめるか謎だな……。

こんな感じなので、わざと相談せずに注文する人も多い。


「はっはっは、こいつは面白いな。見た目はオレンジジュースなのに、味はレモンスカッシュか」

「うーも同じアイコン選んだのに、ちゃんとオレンジジュースだうー! ちょっと安心したうー」


同じく受け取ったジュースを一口飲み、照輝さんと嶋耕作さんが笑いながらそう感想を述べる。

とはいえ、この「ちょっといい加減なところ」を楽しめないパターンもあるようで……。


「うっ! 何だこれ……。注文通り、見た目はコーヒーなのに、味がココア並みに甘くなってやがる……」


甘いものが駄目だったらしく、一口飲んだところで咳き込むジャスティアさん。


「じゃあ、私のと交換する……? こっちは甘くない紅茶だったわよ?」

「!? あ……いや、俺は助かるけど……いいのかよ?」

「ええ。勿体ないし」


そう言ってくろんさんが、自分のカップとジャスティアさんのカップを交換し、早速口を付ける。


「私には丁度いい甘さだけど……ティアにはこれでも甘すぎるのね……」

「お、おう……ありがとよ……」


気恥ずかしいらしく、ジャスティアさんはくろんさんから目を逸らしながら、交換したカップに口を付けた。


「あら仲良し。ちゃんとボディーランゲージができるようになったんですね、ふふふっ」


少し離れた椅子に座って、°˖✧はぴ✧˖°さん、チョコケーキさんとクッキーを食べつつ、その様子を見ていた真珠さんが、意味深な言葉を口にする。


「ボディーランゲージ……って、ジャスティアさんのことぉ?」

「ええ。テーブルの下で足を伸ばして、くろんさんの足に触れてるじゃないですか。あれ、彼なりの『触れ合いたい』ってサインですよ。

言葉で示せないならせめて、行動で伝えましょうって助言しておいたんですけど、実践してくれたようですね。くろんさんがどこまでならOKしてくれるか、確かめてる側面もありそうですが」


それを聞いたチョコケーキさんは、すかさずスクショを残す。丁度追加のお菓子を運んで来ていたMiyabiさんにも、これが耳に入ったようで、


「えええ~っ! いつの間に仲良くなったのぉ~!? 尊い……尊死する……!」


悶絶していた。


「今度プリ部屋で見つけたら、からかって遊ぼっとꉂ(•ㅅ•*)ケラケラ」

「いや、からかっちゃ駄目だよぉーっ! でも今度また、女子会したいねぇ☆」


°˖✧はぴ✧˖°さんも嬉しそうに、2人を見つめた。


「いいなー。僕も早く、奥さんに会いたいよ」

「えっ、ぜっぴんさん結婚してるんですか!?」


勿論、ぜっぴんさんが現実世界の見た目も子供とは限らないのだが、今の見た目が子供なだけに、私にはちょっと想像がつかない。


「うん。奥さんもスカオーやってたし、あのキーホルダーも持ってるんだけど、例のプッシュ通知来た時は丁度、体調が悪い時期でさ……。それで応募してなかったんだよ。

でもこんなことになったんだから、奥さんは応募しなくて正解だったかもね。今頃どうしてるかな……」


少し寂しそうに、ぜっぴんさんはそう言った。


お、そろそろ向こうのエリアの準備も整ったみたいだぞ。


「みんな、オネェの占いも是非楽しんでぇ~♡」

「えっ、占いできるんですか!?」


熾天使セラフィムさんの呼びかけに、やたら食いつくエレさん。


「実は私、現実世界では占いの仕事してるのよぅ♡ オーラも見えるわよ♡

どこでそれを知ったのか分からないけど、花図鑑さんにオファーされて、今回ここで占いをすることになったわ♡」


と言って、カード型の魔導具を広げてみせた。


「すごいっス! 俺は金運を見てほしいっス!」

「私も恋愛運をぜひ♪」


(≧▽≦)さんも興味があるようで、早速2人は熾天使セラフィムさんの前に立つ。熾天使セラフィムさんは慣れた手つきでカードを切り、並べ始めた。


「あら、いい運勢♡」

「本当ですか!? やったっ♪」


そして仕上げに、ウパペキューピッドがおまじないなのか、光の粉を振りかけてくれるのがまた良い。

これを皮切りに、占い待ちの列がどんどん伸びていった。


「概ねみんな、満足してくれたみたいですね」

「是」


私は「秘密計画」でイベントエリアを使わせてくれると分かった時、みんなから聞いていた要望をすべて花図鑑さんたちに伝えたので、みんなが喜ぶ姿を見ると、私も嬉しかった。


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ペンタス:みんな 楽しんでるかしら?

今日解放されるイベントエリアは 今後も使わせてくれるから 安心して!

そろそろ次のエリアを解放してもらうから 係になってる人は先に集まってね!

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