珊瑚等級昇格
私はすぐに観戦エリアを解除し、光属性選抜チームのいる場所へ向かう。彼らはエリアボス設置場所付近にある「戦闘中以外でも回復可能なエリア」に飛ばされたところで気が抜けたらしく、
「よかったぁ……」
まずクリフさんが、その場にズルズルと座り込む。
「お疲れ様! いい出来だったね」
「ほんと、つっかれたあ~」
「フフッ、楽しませてもらったわ」
それに釣られてエレさん、天尚さん、ZEROさんも大きく息を吐き、
「ンもう♡ みんな素敵だったわァ♡ あ、り、が、と♡」
最後に熾天使セラフィムが、ねぎらいの言葉をかけながら回復メイスを振った。
「あ、あの……僕みたいなナイトを信じてくれて、助けてくれてありがとう……」
目線を合わせるのが恥ずかしいのか、怖いのか、クリフさんは俯いたまま言葉を続ける。
「どうせ僕なんかには……こんなの無理だって、逃げたいって最初は思ってたけど……みんなのお陰で、ちょっと頑張れました」
「イヤン、もう♡ ちょっとじゃないわよ♡」
「フフッ、そうね。結局最後まで逃げなかったんだから、それが答えでしょう?」
ZEROさんの言う通り、「どんな敵にも立ち向かう勇気と、折れない心」を示しただけでも、本当に凄いことなのに、彼の感覚だと「ちょっと」なんだな、あれが。
「そ、そんな……僕なんてナイトとしてはまだまだだから……。せめて初心者って言われないくらいには、頑張ります……」
「いや、そこはこだわってこそでしょ? 一流を目指さないと」
「一緒に頑張りましょう! 未来はあなた次第よ」
彼は気付いていないが、もうクリフさんを初心者として扱うナイトはいないだろう。
的確なタイミングでの守護を可能とするプレイヤースキルをすでに持ち、恐怖を克服して見事あの難しいボス討伐を成し遂げたナイトが、初心者の枠に収まるはずがない。
今後は初級者として、最適解を導き出すための知識と、全体を把握できる広い視野を持つべく、先輩ナイトさんたちの指導を受けることになるはずだ。
クリフさんは自分の両手を見つめ、決意を固めるように、ゆっくり握る。
「わ、分かりました……。目指します、一流を……!」
そう言ってようやく彼は顔を上げ、他の選抜メンバー4人と目を合わせる。
「続けられる人が少ない」と言われているナイトを、クリフさんに続けるつもりがあることが、何より明るい未来だと思った。
「皆さん、本当にお疲れさまでした。これでやっと、お休みに入れますね」
「そうでした! やったっ」
「私、休暇は何しようかしらっ♡」
「実はそれなんですけど……」
----------------------------------------------------------
Rock:光属性選抜チームのみんな ここまで頑張ってくれた他の人も お疲れ様!
約束通り 明日は丸一日休暇にするよ!
----------------------------------------------------------
説明しようとしたところで、丁度全体チャットでのお知らせが入った。あちこちで歓声が上がる。
----------------------------------------------------------
Rock:しかも花図鑑さんたちとユウさんが 休暇を盛り上げるための企画を もう立ててくれてるらしいんだ!
お父さんにも詳細はまだ秘密ってことだけど 人によってはイベント参加のオファーが入るらしいから もしオファー来た人は 良かったら参加してね
じゃあクエスト報告忘れずに 解散!
----------------------------------------------------------
「……というわけなんです」
言いたいことは全部Rockさんが説明してくれたので、私は自分からの説明は省略することにした。
「企画に誘ってくれるの?」
「イヤン、もう♡ 素敵じゃなぁ~い?♡」
「今から楽しみすぎます!」
「イベント参加のオファーって、どんなのですか!?」
これだけ食いついてくれると、色々考えて良かったな。
「色んなイベントを考えたので、人によってオファーの内容も違うんですけど……花図鑑さんたちが色んな情報をもとに人選するそうですよ。
あっ、オファー内容は他の人に教えないでくださいね? 当日の楽しみが減るかもしれないので」
と言ってる傍から、個人チャットが届く電子音があちこちで聞こえ始めた。
さすが花図鑑さん、仕事が早い。
「あらオファーだわ。……フフッ、こんなパーティなら、参加希望よ? 少し練習しようかしら?」
「私にも来たわぁ~♡ ……花図鑑さん、こんなことまで知ってるのぉ~? 勿論オッケぇ~♡」
「私も来てました! ……ええっ、こんな役どころですか!? 面白そうなので賛成です!」
「ぼ、僕にも。 ……ひっ!? で、できるかな……?」
「私もです。 ……こんなことまでできるの!? 喜んでお手伝いするよっ」
みんな気に入ってくれてるみたいで、ひとまず安心だな。
その後パーティは解散となり、それぞれ適性者ギルドへと向かう。すぐに受付のギルド嬢に、クエストクリアを報告した。
『珊瑚等級昇格、おめでとうございます!
これで「森林地帯(夜)」、「山岳地帯(夜)」、「湖沼地帯(夜)」および「火山地帯(夜)」の探索許可が出ました。それからこちらは、ギルドからのお祝いです!』
今回はボス2匹分ということで、8枚の天空海メダルを受け取り、これで合計24枚となった。
にしても、エリアが4つ一気に解放だとは……。いや、これはある意味助かるのかな?
何はともあれ、これでようやく明日は休暇だ。私もまた「秘密計画」の最終調整ため、花図鑑さんたちと合流することにした。
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。
もしよろしければ、
・ブックマークに追加
・広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価
をしたうえで、本作を読み進めていただけますと、大変励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。




