光属性選抜チーム
花図鑑さんたちとの打ち合わせを一旦中断した私は、集合時間の少し前に地下迷宮(浅部)に移動したが、早くも何匹かのウパぺんたちが待っているのを見て、急いで観戦エリアを作成した。
よく見ると、少し集まってる顔ぶれが違うな……。
まあリアル世界のほうで予定があるウパぺんは、この時間ここに来れないだろうし、逆に午前中の予定が終わったウパぺんが来ているとかは、ありそうだな。
そんな中、サマーウパぺんが私たちのものと似た半透明の画面を操作しつつ、頭を抱えている姿と、それを応援するゴールデンウパぺんの姿を見つけ、心の中でサマーウパぺんに合掌した。
「あれっ、もう中に入れるんですか?」
ウパぺんたちを中に招待しているところで、どうやら1人目の光属性選抜メンバーが到着したらしい。
銀髪をポニーテールにし、魔導書を携えたマジシャンがそこにいた。
「万事順調ですね、よろしくお願いします」
「天尚さん! やっぱり、選ばれたんですね。ちゃんと休めましたか?」
「はい、大丈夫です! 予定通り頑張りましょう!」
最後のウパぺんが観戦エリアの中に入った後、私と天尚さんも中に入り、他のメンバーを待つ。
今回はもう話し合いが終わっているので、そう時間はかからないはず……と思っていたら、
「やっと私の出番じゃない?♡ 暗闇で何しようかしらっ♡」
一度会えば忘れることはないであろう、「オネェ」ボイスのプリーストが到着した。
今若干、不穏な発言があった気がするけど、私の気のせいだろうか……?
「よろしくねぇ~?♡」
「熾天使セラフィムさんも、選ばれたんですね。よろしくお願いします」
「あれっ、皆さんもういるんですか? 私、早く来たつもりでしたけど……」
続いて到着したのは、可愛らしいコック服のレンジャーさんだ。
「エレさん! 湖沼地帯(昼)での装備集め以来ですかね? お久しぶりです」
「久しぶりっ、みんな今日はよろしくっ」
「あら、遅れたかしら? パーティ、参加希望よ?」
と、今度は青い髪をサラリとかき上げつつ、ドレス姿のファイターさんが合流する。相変わらず色気がすごいなぁ……。
「ZEROさんもお久しぶりです! 確か山岳地帯(昼)での装備集め以来ですよね?」
「ええ、今日は私の番。助けてくれる?」
「勿論です! それと、遅れてませんよ。時間ピッタリです」
そう、時間ピッタリではあるのだが……まだナイトさんが来る気配がない。
「遅刻です!」
「ヤダ、どうしたのかしら?」
他の分析戦闘に参加する人たちも全員揃って、準備に入っている状態だ。
さすがに何かあったのかもしれないと思い、Rockさんに連絡を取ろうとしたところで、
「いやだぁあ゛ああ゛ぁ!!」
「あらあら、困りましたねぇ」
真珠さんが、とある半泣き状態の人の背中を押して観戦エリアに入ってきた。
草色の髪に紫眼という珍しい組み合わせをした、性別1の中身長ナイト。身に着けているのはRockさんと同じ「いかにもナイト」といった感じの立派な鎧なのだが、あまりにも弱気なせいで、「鎧に着られている」感がすごい。
勿論ナイト部屋に所属している私は、その人を見知っていたが……完全に想定外だった。
「えっ、クリフさん!? クリフさんが光属性の選抜メンバーなんですか!?」
「ええ、そうなんです。今はちょっとこんな感じですけど、誰よりもふさわしいのは確かですよ」
「クリフさんって、全職ガチャの方だと思ってたんですけど……?」
そう、完全に想定外だったのは、彼がいつも全職ガチャのナイトさんたちと一緒に、真珠さんの指導を受けているのを知っていたからなのだ。
「そうだよね。こんな僕とはパーティ、組めないよね」
「違いますよ、ちゃんとナイト単職ガチャです。ただ、ナイトをするのがthe 2ndからで、前作のボス討伐経験もないというだけで」
「……えっ!?」
それはつまり、ボス戦に挑むナイトとしては、完全に初心者ということだろう。誰だって最初は初心者だから、そこは問題ないとしても、パーティの要となるナイトがここまで弱気だと、支障が出るんじゃ……。
「ちょっと、アンタ」
どうしたものかと考えていたところで、熾天使セラフィムさんがクリフさんに近づいて、顔を覗き込む。能面のせいで表情が全く読み取れないのが、また怖い。
「かぁわいいわねぇ~♡」
だが次の言葉で、彼がクリフさんにマイナスイメージを持っていないことを知り、胸を撫でおろした。
「ンもう♡ 初心者ナイトを育てるのはプリの仕事なんだから、頼ってよぉ♡」
「私もそれに一票です!
私だってマジシャンはthe 2ndからだし、勉強は学生の本分! 学べば即ち固ならず、です!」
「私もあなたの行く末を照らしてあげる」
「そうそう、お手伝いするよっ」
さすがにここまで言われれば、誰も反対していないことが分かったのだろう。クリフさんはようやく、大人しくなった。
「クリフさん、学んだ期間こそまだ短いですが、あなたはもう基礎がちゃんとできていますし、他の誰よりも恵まれた武器が揃っています。今のあなたに足りないのは、自信……。
それは実戦でしか身に着けられないものだから、誰も代わってあげられません。だからこの戦いで、今のうちに自信をつけて下さい。今後来るであろう、魔獣との戦いのために」
「…………はい。僕がいかなきゃだよね……」
ようやく覚悟を決めたのか、クリフさんは私たちの方に向き直り、
「よ、よろしく……」
深々と頭を下げた。
「私からもお願いします。
ただ皆さんには申し訳ないのですが、クリフさんは事前に伝えたことを完璧にこなすことはできても、まだ自分で戦略を立てたり、最適な武器編成を組んだりできるレベルには至っていません。
ですので私が後程、代理で戦略の立案と武器編成をやります。出来るかぎり、イレギュラーも想定した戦略を伝えますので、そのつもりで助けてあげてください」
なるほど、真珠さんがそこをフォローするなら、安心かな?
「ええ、いいわよ。よろしくね?」
「ンもう♡ 私に溺れさせちゃうわよ♡」
「休暇のためにもみんなで頑張らなきゃね!」
「はい、大仕事を片付けて帰りましょう!」
こうして真珠さんは分析戦闘に参加するため、一旦観戦エリアを離れた。いよいよ今日2回目の、行動分析開始だ。




