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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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小休止

闇属性選抜チームが、エリアボス設置場所付近にある「戦闘中以外でも回復可能なエリア」に飛ばされたのを確認した瞬間、彼らを心配する人々やウパぺんが一斉に観戦エリアを出た。私も早々に観戦エリアを解除する。


「大丈夫なのか……?」

「回復は終わってるみたいだけど……」


さすがに全員、肉体的にも精神的にも疲労が見て取れる。特に意識を失っているレフィアンさんを、早く休ませないと。


「すまん、そこどいて……通して!」


そう考えていたところで、誰かが群衆をかき分けてくる。

その人が予想外なことに、猫そのものといった性格の見知ったマジシャンであることに気づき、私は驚いた。


「レフィアン!」

「え、ラガマフィンさん!?」


まさか人見知りが激しい彼女が、そういう行動を取るとは……。


よほど親しいのか、レフィアンさんの頬をぺちぺちと叩いて意識が戻らないことを確認するや、目に涙を浮かべる。


「大丈夫ですよ、戦闘中に1回意識が戻ったくらいですし。今は気が抜けて、深く眠っているだけだと思います」


私がそう声をかけると、ラガマフィンさんは今にもこぼれそうになっていた涙を拭いて、私を見つめた。


「レフィアン休んでいい? ほんのちょっとだけ」

「勿論ですよ。もしかして相互フレンド関係ですか?」


こくっと頷いてそれに答えると、


「みんなもお疲れ様だぞ」


そう言い残し、ラガマフィンさんは早々に彼を個人部屋へとワープさせた。そのタイミングを見計らったように、


----------------------------------------------------------

Rock:まずは闇属性選抜チームのみんな お疲れ様!

今日はまだ終わりじゃないから ここから2時間の休憩を取ろう

その後すぐ黒妖狼の行動分析に入るから 各自時間までに集合するようにね 解散!

----------------------------------------------------------


ワールドチャットにてその指示が下されたのを聞き、全員ほっとした表情を見せた。


「みんなもよく頑張ったな。お疲れ様だ」

「協力に感謝する」

「蛍さんもお疲れ様です」

「うん、お疲れ様! ふ~、さすがに僕も疲れたから、ちょっと横になって次に備えようかな」


そう、普段ならここで終わりだが、今回は明日を休みにするため過密スケジュールになっているので、彼らも行動分析のために、後で黒妖狼と対峙しなくてはならないのだ。


「本当は黒妖狼の行動分析の時くらい、休んでもいいと思うんですけど……皆さんいいんですか?」


私の問いかけに、闇属性選抜チームのみんなは顔を見合わせたが、


「ご心配、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」

「ああ、そのために与えられた休憩時間だ」

「皆の行動分析のお陰で、我らは戦えたのだ。ならば我らもまた、少しでも恩を返さねば」

「それにあの人数で挑んでも、今回分析が完全にはできなかったのに、僕らが休んだら1パーティ分、普段より情報が足りなくなるじゃん」


そう言いながら、ゆっくり立ち上がった。

これは本当に、今日のスケジュールが終わったら、しっかり休んでほしいな。


これを見て安心したようで、集まっていた人々も徐々に移動していく。ウパぺんもまた闇属性選抜チームに挨拶すると、次々とどこかにワープしていった。


「ん、あれ?」


そんな中、花図鑑さんたちとゴールデンウパぺん、サマーウパぺんだけが残って、何やら話し込んでいるのに気づく。


「戦闘前もそうでしたけど……何を話してるんですか?」


どうも英文チャットで質問したものに対して、2匹のウパぺんがスカオー語で返信しているようで、私には内容がさっぱり分からないから、花図鑑さんに聞くしかないのだ。

すると花図鑑さんたちは顔を見合わせ、2言3言こそこそ話をすると、笑みを浮かべて答えた。


「秘密計画、立案中」

「計画立案、参加希望?」


「秘密計画、ですか……。あっ、もしかして明日の休暇に関わってます?」


周りにはもう人は少ないけれど、念のため声を潜めて訊ねる。


「是」

「そういうことなら、是非参加したいです。私は他の方々と違って、戦闘はそんなに参加できないから、疲れはさほどないですし」

「了。詳細開示」


というわけで、代表して向日葵さんと梅さんがゴールデンウパぺん、サマーウパぺんとチャットで会話している間、菖蒲さん、菊さんから説明を受ける。


「それ……すごい計画ですね! 実現できそうなんですか!?」

「是」

「他案、あれば求」

「そうですね……じゃあ……こんなのはどうですか?」


私はこれまでに関わってきた人たちの笑顔を思い浮かべながら、休憩時間いっぱいまで、花図鑑さんたちと一緒にその「秘密計画」を練った。

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