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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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闇属性選抜チーム

「うう、糖分が足りない……」

「でもあと少しで終わりだねーっ☆」


今まで以上にクエストクリアを急いだ結果、予定時間を少しだけ過ぎそうだが、何とかどのパーティも2日で装備集めが終わる目途が立った。


とはいえ、さすがにかなり疲れている。今日はぐっすり眠れそうだな……。


「明日は朝からチーム選抜の話し合いをして、午前中が光ボス、午後が闇ボスですよね? それぞれどんなやつですか?」

「闇ボスなら、もうすぐ見えるぞっ! ついでに見に行くか?」

「ここから近いんですね、ぜひお願いします!」


明日1人でそこに辿り着かないといけない可能性があるので、今のうちに道を覚えておきたいしな。


何とか複雑な道を覚えつつ辿り着いた場所は、地下迷宮(浅部)の中ではかなり光が届きにくく、ひらけたところだった。

最初に見えたのは紅い2つの光だったが、近づくにつれ、それが敵の瞳だったことに気づく。


「真っ黒な……犬?」

「この世界では黒妖狼って言いますっ」


狼か。まあ当然のように、サイズが狼のそれじゃないが。


「とはいえこんな敵がボスってことは、この先は地獄って言われてる気がしますね」

「うーん、確かにーっ☆」

「砂漠地帯(昼)の方はどんな敵ですか?」

「デゼルトアラクランって名前です! スペイン語で、砂漠の蠍って意味らしいです!」


そう言われると、想像しやすいな。


「蠍ですか……防御力高そうだし、毒もありそうですね」

「実際、前作では毒攻撃があったから、今回もあるかもなっ!」

「うーん、私は敵よりもぉ~、今はナイトの選抜チームがどうなるかが、気になるかなぁ?」

「それは……光と闇の選抜メンバーってことですよね?」


珍しく°˖✧はぴ✧˖°さんが深刻そうにそう言うので、何かあったかと思い起こしてみるが、浮かばない。


「それなーっ、私もちょっと気になってるぞっ」

「そう言えば……主要なナイトさんって、5人しか浮かびませんよね……?」

「あっ……!!」


天尚さんの発言で、私はようやくそれに気づいた。


ナイトグループに所属しているのは、私を含め11名。うちベテラン・中堅と言えるナイトは5名だけだ。そしてその5名の中から、すでに4名が火風地水の選抜メンバーに選ばれている。

残る1名が、光か闇のいずれかに選抜されるとしても……。


「6人目のナイトは誰かってことですね……」


正直、ナイトグループに所属している私にも、それは思いつかなかった。普段のナイトさんたちの様子から推測するに、残りの5名はいずれも、全職ガチャと思われる新人なだけに。


いや……選べるほど人がいればよいのだが、そもそも10名の中から選ぶしかない状況なので、最悪誰も武器が揃っておらず、担当できない可能性がある。


Rockさんと真珠さんがいい例で、あの2人は持っている武器だけ見たら、選抜候補としては本来、順位が低いはずだ。より良い候補者が他にいないから、順位が繰り上がっているだけで。


「誰かが2属性担当、とかか……? ナイトさんは全属性共通の必須武器が多いから、耐性付与武器を2種類持ってたら、あり得るかもなっ!」

「でもそれ、かなりレアパターンですよね!」


Ruyさんも天尚さんも、やはり思いつかないらしい。


「ねっ、謎でしょ~ぉ?」

「明日の話し合い、ナイトさんたちはもしかしたら、長引くかもしれませんね」


そうこうしているうちに、最後のクエストがクリアを示す表示に変わったので、私たちは適性者ギルドで報告を済ませ、即解散となった。

正直もう何も考えられないほど疲れているので、そのまま自室で休む。


ぐっすり眠った次の日……私はいつものようにデイリーガチャを引き終わると、ナイトグループ部屋に立ち寄った。すでにナイトさん10名全員が、緊張した面持ちで揃っている。


「おはよう。ユウ君はいつも通り、先に行ってていいからね」

「おはようございます。……分かりました」


かなり話し合いの行く末が気になるところではあるが、Rockさんのその発言で、私がここにいると話し合いの邪魔かもしれないと思い、早々にナイトグループ部屋を出た。

どうせ結果は、今日中に分かるしな……。


同じく話し合いにあまり関係がない、全職ガチャのファイターさんやマジシャンさんたちと共に、私は砂漠地帯(昼)へと向かう。


岩山に囲まれてある程度影が差す場所に、巨大な黄土色の蠍……デゼルトアラクランがいた。両の鋏といい、尾の太い針といい、いかにも強そうだな。


早速私は観戦エリアを作成する。するとどこかから見張られていたのか、わらわらとウパぺんたちが出てきて、私に一礼するや否や、見事な連携プレーで観戦エリアに次々と飛び込んだ。

え、これ、何匹いるんだ? 前回の倍くらいいそうだけど……?


ちなみに後で数えたら、やはり20匹以上いた。おなじみのウパぺんも多いけど、今後も増えるのかな……?


ここも暑いので、全職ガチャの人たちや花図鑑さんたちも招き入れて待つことしばし、闇属性選抜チーム1人目が到着した。初めて見る方だ。


「俺が闇をもって制す!!」


「熱血1」ボイスで挨拶したのは、ゆるくウエーブのかかった長い銀髪を、後ろで結んでまとめている、性別1の高身長ファイターさん。その赤みを帯びた茶色の瞳には、強い意志が宿っていた。


白を基調とした服と黒ブーツで身を包み、その手には機械仕掛けの剣が握られているのだが、そのデザインは全体的に海賊を思わせる。

頭上のプレイヤー名は「レフィアン」となっていた。


「はじめまして。今日はよろしくお願いします」

「よろしく」

「おはよう。俺もついていくぞ」


続いて到着したのは、予想していた1人である、マジシャンの蛍さん。今日も魔導書を携え、黒いローブに身を包んでいる。


「僕も闇選抜になりました。よろしくお願いします」


「さわやか1」のボイスで登場したのは、中性的で綺麗めの面立ちと、長い緑色の髪が特徴的なレンジャー、U-berryさんだ。会うのは山岳地帯(昼)で装備集めした時以来か。


「えっ、ウパぺんがこんなに!?」


そう言えば無類のウパぺん好きの1人だったっけ。よほど感動したのか、他の選抜メンバーたちとの挨拶を済ませるや否や、ウパぺん1匹1匹にも挨拶し始める。


あれ、よく見ると花図鑑さんも、ウパぺんと何か話してるな。U-berryさんとはちょっと様子が違うけど、何だろう?


「我、冥界より来たれり」


続いて低音の「死神」ボイスで登場したのは、金髪をサイドポニーにしている性別2プリースト、シクザリアさん。

背中から生えたコウモリの翼と四白眼で、思い出した。アークタルラ戦が終わってすぐの時に、火属性選抜チームを介抱していた1人だ。


「久しいな。運命に抗っているか?」

「はい。今日はよろしくお願いします」


うーん、彼女が闇属性なのも予想してはいたけど、本当にドはまりしてるな。

さて、これで揃っていないのはあと、ナイトさんだけなのだが……。


「なかなか来ませんね」

「そうだな、何かあったか?」


やはりというか、なかなか来ない。そろそろ状況を確認すべきか迷っていたところで、


「あーー! 待たせてごめんなさい! おはよう!」


ようやく到着したのは、仙人っぽい風貌が特徴で「年下の男の子」ボイスのぜっぴんさんだった。


「ちょっと光選抜の子のことで時間かかっちゃってね、申し訳ない……」

「いえ、そんな」


とにかくこれで闇選抜チームが揃ったので、これから行動分析開始だ。




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