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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第4章 たとえ、どんな困難でも
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砂漠地帯(昼)

銀等級昇格から一夜……新パーティと合流するため、私は適性者ギルドに向かった。

おっと、今回はすでに1人待ってるみたいだな。


「おはようございます。今日も元気に活動しましょう!」


その「生徒会長」ボイスには、覚えがあった。

銀髪ポニーテール、滅紫色のローブ、艶消しされた金のティアラ、そして極めつけは背中と手の魔導書……。うん、間違いないな。


「天尚さん、お久しぶりです!」


前回パーティを組んだ蛍さんと一緒に、マジシャンについて学んだ方なので、今度はすぐに思い出せた。


「あれからマジシャンの勉強、どうですか?」

「はい、実は正式に蛍さんの弟子にしてもらえたので、何とかやってます!」

「おおー! それはよく頑張ってるな、イイコイココ」


そんな話をしていたところで、「幼馴染」ボイスで和服プリーストのRuyさんが合流した。会うのは風属性選抜チームでの活躍依頼かな?


「わあ、すっごーい! 今日は有名人が2人もいるー♪」

「そう言う°˖✧はぴ✧˖°さんも、今や有名人ですよ」


何せ火属性選抜チームのレンジャーなんだから、知らない人がいるわけがない。久々に聞く「ぶりっ子」ボイスに、私は顔をほころばせた。

よく考えたら、彼女のベリーダンス衣装は、一番砂漠に合っているかもしれない。


全職ガチャのファイターの方も合流したところで、私はクエストを取ろうとし……ふと気づく。


「そう言えば今回は砂漠地帯(昼)だけでなく、地下迷宮(浅部)のクエストも取らなきゃいけないんですよね?」


前回の火山地帯(昼)の暑さを踏まえると、砂漠地帯(昼)も同様に過酷な環境かもしれないとの判断から、今回は2エリア同時攻略の予定になっている。

なので普段は1エリア1日半で整える装備を、3日で2エリア分同時に整える予定だ。


「どっちから行きますか?」

「あ、そこ実は、砂漠地帯(昼)からしか行けないようになってます!」

「そうなんですね。じゃあ今は砂漠地帯(昼)のクエストだけ取ればいいんですか?」

「面倒だから、両方のエリアのクエストを取った方がいいぞっ!」


一度戻るのが面倒? エリアが別なら、あまり関係ないようにも思えるけど……?


「まあ、行けば分かるよーっ☆」


そう言うので、私は勧められた砂漠地帯(昼)・地下迷宮(浅部)両方のクエストを受託し、砂漠地帯(昼)へとワープした。


「ここが……砂漠地帯(昼)……」


想像と全く違う景色に、私は戸惑った。


砂漠と言うくらいだから、一面砂ばかりなのかと思っていたけれど、ここには山のように大きな赤土色の岩石がゴロゴロしていて、起伏に富んでいる。さすがに木は無いようだが、岩の間からところどころ緑がのぞいていた。


ごく稀に、遠くのオアシス付近で魔光雨が降ると、その時だけ水面がキラキラ輝いて見えるが、環境の過酷さを引き立てるような、強風音と弦楽器音で構成された音楽が流れている……。


「多分、想像してたのは砂砂漠ってやつだろ? 一面砂山だらけで、こう……ラクダに乗って移動してる感じのっ!」

「あ、はい、そうですね」

「ここは岩石砂漠ってやつらしいぞっ!」

「そもそも砂砂漠が世界的に珍しくて、砂漠の大半が岩石砂漠って聞いたことありますっ!」


へぇ、知らなかった。砂漠にも色々あるんだな。


「それに、思ったほど暑くないですね。日陰ならもっと涼しそうだし」

「それ思ったー☆ もしかして、湿度が低いからかなぁ?」


それはありそうだ。火山地帯(昼)は、ところどころで蒸気が噴き出てたし。

そういえば日本の夏は湿度が高いから、日本より最高気温が高くなる外国の方でも、日本の方が暑く感じるって聞いたな……。


とはいえ体感で27度前後はありそうだから、どのみち長く活動するのは避けた方が無難だろう。


「あ、1つ言い忘れてました!

すみませんが私、光属性特化なので、砂漠地帯(昼)は苦手です! 一応今は光以外の属性の武器をセットしてますけど、闇属性の武器が大鎌しかなかったので、フォローお願いします!」

「待って、待ってぇ? じゃあもしかして、選抜候補ぉ?」

「はい、そうですっ! なので蛍さんに弟子入りしましたっ!」


それは……焦るだろうな。何せ彼女は、前作ではファイターだったと言っていたから。


「大変……だろうな、それは……」

「でも、幸い前作のボス討伐経験はありますし、どっちも火力職だから、やれると信じてますっ!」

「そっか……頑張るんだぞっ!」

「はいっ! 頑張ります!」


話してばかりはいられないので、私たちは早速、クエストクリアのために戦闘を開始する。


幸い属性選抜メンバーが2人+選抜候補1人がいるだけあって、このエリアの雑魚を倒すくらいなら、さして苦労はなかった。

レア敵の場合はどうしても戦闘が長引いてしまうが、Ruyさんがしっかり守ってくれるので不安もない。


とはいえ……どこのパーティもなるべく日陰を選んで進めているようだが、やはり暑さは敵だった。


「そろそろ地下迷宮(浅部)に行こっかぁ~♪」

「そうですね。無理しても時間がかかるだけですし」


早速ワープしようと行先の一覧画面を開いたところで、私は初めて地下迷宮(浅部)が一覧表にないことに気づいた。これではワープのしようがない。

戸惑っていると、


「あっちですよっ!」


天尚さんがそう言って、何故か岩山の方に向かって歩き出した。他の人たちも何も言わず、同じ方向に向かう。


「え? そっちなんですか?」


だがそれは、どう考えても砂漠地帯(昼)の奥だ。


「そうだぞっ!」

「実はね~、ここが入口なんだよぉ~っ♪」


そう言って°˖✧はぴ✧˖°さんが指し示したのは……赤土色の大岩の割れ目部分だった。

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