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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第3章 まだ、諦めたくないから
41/52

ラーヴァゴーレムB

さあ、今度はこちらが攻撃する番だ。


敵の全体攻撃が終わるや否や、よー子さんは魔砲を構えた。まだ消えきっていない炎のエフェクトを突き破りながら前に出て、2匹の敵に向かって引き金を引く!


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「喰らいなさい! 堕天の刻印(エビルカース)!」

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「全体デバフ付与の魔砲か!」

「中二病、こういう時は無駄にカッコいいな!」

「ウペウペ!」

「よー子さんの必殺技ゲージMAXを確認」


これに合わせるように、真珠さん、ジャスティアさんもそれぞれ、デバフ付与の槍攻撃を放つ!


「真珠さんに火属性耐性UP40%7.9秒、逆鱗A10%2回付与を確認」

「ジャスティアさんの必殺技ゲージMAXを確認」


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「水攻めだう!」

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3人のデバフ付与を待っていた嶋耕作さんは必殺技ゲージを使用し、大きく杖を振った。膨大な量の水が現れ、ラーヴァゴーレム2匹を押し流す!

右の側頭部にあった色違いの鉱石部分に、それぞれひびが入った。これにより、ヘイトが2匹とも嶋耕作さんに移動する。


「全体攻撃杖か!」

「2匹同時撃破が絶対条件だから、最適なチョイスだな!」

「春水さんの必殺技ゲージMAXを確認」


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ラーヴァゴーレムA・B『ウゴゴゴ』

「解き放て! 深紅の邪眼(タレントブロッサムズ)!」

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そして攻撃パターンが2周目に突入し、再度単体攻撃の詠唱が開始された。よー子さんも必殺技ゲージを使用し、バフ増強にかかる。


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「こちらもお任せください」

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立て続けに春水さんが必殺技ゲージを使用し、大剣を横に一閃。超特大の水の刃が生み出され、ラーヴァゴーレム2匹をまとめて切り裂く!


「ウパペペ!?」

「ファイターが全体攻撃!?」

「いや、あれは前列攻撃だ! 滅茶苦茶レアな範囲攻撃武器だよ!」

「なるほど、今回は敵が2匹とも前列にいるから使えるわけだな!」


これにより、見事右の側頭部にあった色違いの鉱石部分がまとめて砕け、今度は春水さんにヘイトが移動する。

だがその直後、ジャスティアさんが火耐性付与メイスで回復もこなし、真珠さんがヘイト上書き武器を放ったので、ラーヴァゴーレム2匹の攻撃はふたたび真珠さんがまとめて引き受けた。


「真珠さんの逆鱗A2回の消費を確認」

「なあ……今気づいたんだけどよ、もしかしてこいつら、必要最低限の回復で全部乗り切るつもりなんじゃ……?」


なるほど、割合攻撃が次に来るまでのスパンが28秒ほどなのに対し、行動時回復の効果が25秒なので、これなら呪いによる追加ダメージも武器使用による自傷も、無効化しておつりが出るわけか。


加えて真珠さんが食らうダメージを最大限抑えているし、彼女に自傷武器はないので、単体攻撃が来るまでにはHPをかなり回復して備えられる。


だがこの作戦には、相応のリスクもあることに気づいた。


「もしそうなら、真珠さんは戦闘時間の半分以上を、瀕死で過ごすことにならねぇ!?」

「この熱気の中でか!?」


そうなのだ。森林地帯(昼)の時からそうだったが、雑魚敵が放つ属性攻撃ですら、食らえばそのエフェクトに応じた痛みがある。


つまり旋風を受ければ切り裂かれる痛みがあり、冷気をぶつけられれば凍傷のような痛みがあるわけで……。当然水属性選抜チームは、ただでさえ暑いこのエリアで、炎に焼かれる感覚とも戦っているはず。


「だとしたら、行動時回復を選んだのもその、暑さ対策かもしれないぞ。回復によるエフェクト効果も感じるから」


確かに水属性の回復だから、その際に冷えた感覚を味わえるとは思うが、それがどこまで効果があるかは、実際に戦っている彼らにしか分からないだろうな……。


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ラーヴァゴーレムA「ギギギギ」

ラーヴァゴーレムB「ガガガ」

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そうこうしているうちに、ラーヴァゴーレムが割合攻撃込みの連携詠唱を開始した。今度は役割が逆になったようだが、こちらの対策に変わるところはない。


ふたたび張られていた2人分のダメージバリアで割合攻撃をしのぎ、ジャスティアさんが行動時回復をかけ直した。


「嶋耕作さんの必殺技ゲージMAXを確認」

「真珠さんの逆鱗B2回の消費および、必殺技ゲージMAXを確認」


えっ、真珠さんもう? こんなに早く貯められるものなのか?


「ウペペ!?」

「は? またナイトが必殺技ゲージMAX!?」


そう思ったのは、私だけではなかったらしい。


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ラーヴァゴーレムA・B『グオオオオオ!!』

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全体攻撃2発の詠唱が開始されるや否や、真珠さんは貯まったばかりの必殺技ゲージを使用し、火耐性付与の剣盾を構えた。分厚い水膜に包み込まれると同時に、ジャスティアさんがHPを大幅に回復させる!


「そうか……何気にあのプリースト、槍攻撃2回で敵へのデバフ付与とかと合わせて、味方全体の被回復量増強と、自分の与回復量増強もこなしてるんだ!」

「だからあんなに行動時回復の効果高いし、1手でほぼ全快できてたのかよ!」

「滅茶苦茶理詰めで行動できるんじゃん!?」

「面倒くさがる性格も、そういう方向に働くと役立つんだなw」


2匹分の業火がこちらに届く直前に、真珠さんが味方全体バフ延長槍を使用したため、


「真珠さんへのダメージバリア10%・逆鱗B10%2回付与および、ダメージバリア・逆鱗B2回の消費を確認」


花図鑑さんの解説も忙しいことになっていた。


「そうか……妙に早いと思ったら、逆鱗2種類をフル活用して早く必殺技ゲージ貯めてるんだ!」

「え、逆鱗って種類あったの!?」

「真珠さんが槍2本持ち込んでるのは、そういう計算もあってのことか!!」


なるほど、逆鱗は「敵から攻撃を受けてダメージが入るたびに消費」され、「消費するたびに必殺技ゲージが貯まる」と聞いているから、2匹の攻撃を1度に受ければ、逆鱗を2つ消費できる。敵からの攻撃を余すことなく活用すれば、これほどまでに早く必殺技を出せるということか。


「ラーヴァゴーレムAに水属性耐性DOWN10%2種25秒、春水さんに与ダメージUP15%25秒、真珠さん自身に火属性耐性UP40%7.9秒、逆鱗A10%2回付与を確認」


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ラーヴァゴーレムA・B『ウゴゴゴ』 

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真珠さんが自己バフも含めた槍攻撃を放った直後、ラーヴァゴーレム2匹が単体攻撃の詠唱に入った。

ここから敵の行動は3周目となるが、行動パターンが固定であるがゆえに、こうして早目に手が打てる点は私たちにかなり有利だ。


「嶋耕作さんの必殺技ゲージMAXを確認」


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「ここからデバフ追加しますよぉ!」

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今まで使っていたヘイト上書き武器ではなく、真珠さんが見慣れない魔導具で後列移動する。火属性耐性がUPしているのに加え、単体攻撃を後列で受けることができたので、かなりダメージを抑えられた。


「真珠さんの逆鱗A2回の消費を確認」


それを確かめてから、嶋耕作さんは必殺技ゲージを使用した杖での全体攻撃を放つ! 前回より大きなダメージがラーヴァゴーレムに入り、左胸の色が違う鉱石部分が僅かに欠けた。


「これがヘイト上書きのいいところだよ、ある程度強力な必殺技攻撃が入った後を上書きしておけば、当分ヘイト外れないんだ」

「つまり1手分、他の行動に費やせるんですね!」


今回真珠さんは他のナイトさんたちと異なり、自身はほぼHP削りに貢献できないので、かなりデバフ付与をしている。その甲斐あって、かなり順調にラーヴァゴーレム2匹のHPは減らせていた。


だが……彼らの顔色は、あまりよくない。呼吸も浅くなってきているように感じる。


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「影の精霊が暑いと言っているわ……」

「ナイトより先にへばってんじゃねーよ!」

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やはり行動時回復だけで、暑さを凌げるわけではないようだ。とはいえ敵がそんなことを気にしてくれるはずもなく、


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ラーヴァゴーレムA「ギギギギ」

ラーヴァゴーレムB「ガガガ」

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また、割合攻撃含む連携詠唱が開始される!

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