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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第3章 まだ、諦めたくないから
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地属性選抜チーム

私が3匹のウパぺんを1匹ずつ持ち上げ、観戦エリア内に入れてあげると、ゴールデンウパぺんは前回と同じ場所に自ら向かう。残り2匹もそれに続いた。


だが座る場所までも高さがあったので、自力で登れずあたふたし始めるゴールデンウパぺん。

そういえばそうだったなと手を貸そうとしたが……その前にサマーウパぺんが自ら踏み台になったので、織姫ウパぺんとゴールデンウパぺんが先に登り、登り終わった2匹がサマーウパぺんを引き上げることで事なきを得た。


こ、これはウパぺん好きでなくても可愛い。つい頬が緩んでしまうな。


私が表情を引き締めていると、すぐに花図鑑さんたちが到着し、それとほぼ同時に、


「チーっス!」


地属性選抜チーム1人目の、元気な声が観戦エリア内に響き渡った。初めて会うファイターさんだ。


私と同じ性別1の低身長。黒く短い髪に鉢金を巻き、腹を出すデザインの黒い忍装束に身を包んだ彼は、大きな手裏剣を背負っている。その手に握られているのも和風の双剣だ。


頬には十字傷があり、いかにも忍という姿だが、その期待感で輝く青い瞳と先ほどの挨拶が、彼は「全く忍ばない忍」であることを如実に物語っていた。

プレイヤー名は「(≧▽≦)」と書かれている。……プレイヤー名?


名前に記号が使えることは、°˖✧はぴ✧˖°さんの例もあるし分かってはいたが、まさか記号のみのプレイヤー名の方がいるとは……。


「はじめまして。えっと……すみません、何とお呼びしたらいいですか?」

「あ、実は適当に決めたから、決まった呼び方はないっス。でも昔から『顔文字さん』とか、『笑顔さん』って呼ばれることが多かったっスね!」


その名の通りニカッと笑って、(≧▽≦)さんはそう答える。やはりみんな、呼び方に苦労したんだろうな。

そのまま(≧▽≦)さんは、花図鑑さんたちやウパぺんたちにも同様の挨拶をしにいった。


「わたくしも同行させていただきます」


続いて来たのはマジシャンであり、スカオー語研究の一任者でもあるLiEさんだ。


「いつもスカオー語の解読、ありがとうございます。でも大丈夫ですか? 昨夜は遅くまで起きてたんじゃ……」

「ご心配なく。花図鑑さんたちがわたくしを気にかけてくださったので、無理はしておりませんわ」


そのやり取りを聞いていたウパぺんたちが一瞬、驚いたような反応をする。何だろうと思って発言を振り返り……私は失言したかもしれないことに気づいた。


「……まずかったですかね?」

「隠すほどのことではありませんし、今後はよほどの何かがない限り、彼らがワールドチャットやエリアチャットでスカオー語の発言をすることはないと考えておりますわ。すでに彼らのグループがあるわけですし。

むしろわたくしは一度、スカオー語の発音を彼らに教わりたいですわ。そしてゆくゆくは、スカオー語で会話してみたいものですわね」


それをウパぺんたちに向かって言うのだから、したたかな人だな。

と、次の人が来たようだ。


「あっ、LiEちゃんがいるぅ! ふえ~ん、よかったよぉ~!」


そう言いつつ現れたのは、赤いドレスに身を包む、数少ない性別2ナイトの紅央さんだった。

よほど嬉しかったのか、すごい勢いでLiEさんに抱きつく。性別2の高身長の方が、性別2の低身長の方を力いっぱい抱きしめるものだから……


「お紅、息ができませんわ!」

「あっ、ごめんね?」


その胸にLiEさんの顔が埋められる形となり、当然そんなやり取りになった。


「お2人は仲が良いんですね」

「私はLiEちゃんに、前作からお世話になりっぱなしなのぉ♪」

「もう、また不安になっていらしたのね? お紅はすでに立派なナイトなんですから、堂々としてもよろしいのに」

「私なんてまだまだよぅ! イレギュラー対応苦手だものぉ……。

だからLiEちゃんがいてくれると、心強いわぁ♪」


確かに紅央さんは以前から、自分にあまり自信がない感じだったので、それを精神的に支えてくれる人が同じチームにいるのは幸いだな。


「先生も行きましょう」

「あ、たろ吉さんも選ばれたんですね! よろしくお願いします」


続いて入ってきたのは先日会ったばかりの、レンジャーのたろ吉さんだ。先生らしく、ウパぺんたちを含めた全員に礼儀正しい挨拶をして回っていく。これがRockさん相手だと、まるで対応が異なるのだから不思議なものだ。


「ねぇ……仲間に入れて?」


そして最後に「ヤンデレ」ボイスで登場したのは、プリーストの有紗さん。


以前プリーストさんたちが勢ぞろいした時に、自分たちが選ばれるであろうことを言っていたので、その通りになったというわけか。遠慮がちに入ってきて、挨拶を交わした。


これで地属性選抜チーム全員が揃ったので、私は敵の分析を始めるにあたり、6つのモニターをONにした。丁度他の人たちの準備も、大方終わったようだな。


----------------------------------------------------------

ユウ:お待たせしました

では準備が整ったところから、順に戦闘開始お願いします

----------------------------------------------------------


ワールドチャットでの伝達も、もう慣れたもので、待機していた6パーティがすぐに戦闘を開始した。

三段渦紋亀は右前肢と左甲羅の2か所が鉱石部分に覆われているので、皆どちらかを狙って行動している。


やはりと言うか、予想通りと言うか、三段渦紋亀は防御系ステータスが高いようで、攻撃が通りにくかった。地属性選抜チームの表情が引き締まる。


「キングドロセラの行動がやたら早かったからか、三段渦紋亀はかなりゆっくりに感じるっスね?」


いや、計測すると実際、アークタルラと比べても初動が2秒ほど遅かった。亀なので、遅く設定されているのかもしれない。だが一番驚いたのは……。


「ええっ、嘘ぉ!」

「そう来ましたか……!」


いきなりオブジェと思われていた子亀2匹のほうが、揃って詠唱を開始したことだ。火力担当のプレイヤーたちが、慌ててそちらをターゲットに変えようとするも、選択できないようで皆、困惑している。


「ダメージバリア100%、5回付与を確認」


短い詠唱が終わると、花図鑑さんが分析結果をそう報告した。あまりに詠唱時間が短かったことで、ほとんどの火力プレイヤーは対処できず、折角の攻撃が阻まれダメージ0と表示される。

プレイヤーが使うのは何度か見たことがあるが、そうか敵側もダメージバリアを使うのか……!


「そりゃないっスよぉ……」

「これってつまり、5回分の攻撃が全く通らないってことですよね?」

「そうですわ。……厄介ですわね」


なるほど、亀だけに防御は鉄壁というわけか。しかも子亀を狙えないということは、あのダメージバリアを防ぐ手立てはないということだな。


「うまく割り進めるしかナイね」

「はい、先生の仕事ですね。極力火力お2人には、割らせないようにしないと……」


続く攻撃もランダムのようだが、少し遅れて子亀の方が、またも揃って詠唱を開始する。


「味方全体に、水ダメージ耐性250%DOWN付与を確認」

「近列味方全体に、物理被ダメージDOWN50%付与を確認」

「遠列味方全体に、魔法被ダメージDOWN50%付与を確認」

「えっ、えっ? バフとデバフが同時につくのぉ!?」


確かに「水ダメージ耐性のDOWN」はデバフだが、「被ダメージのDOWN」はバフだ。敵がこういうことをする時は、重大な何かが隠されているに決まっている。


案の定、次の大亀の列攻撃で戦闘不能者が続出した。しかも列攻撃そのものが、4パターンあるらしい。同じ列にいたにも拘らず、耐えた人と、桁違いのダメージを受けた人がいることからも、重要なギミックであることは明らかだ。


「な、何スか今のは!?」

「今のは……補助3人で連携がいるヨね?」

「多分そうよねぇ。しかもバフをもらった人が、適切に攻撃を受けに行かなきゃいけないタイプだわぁ。

ってことは私も、後列移動の武器を入れなくちゃ……。後で師匠に相談しようかしらぁ?」


こうして分析の結果、大亀の行動パターンそのものは少ないが、ランダム攻撃を2回した後に必ず、子亀と連携した列攻撃が来ることが判明した。攻撃バフをかけてこない分、威力はキングドロセラより少し強い程度のようだが……敵の防御をどう掻い潜って攻撃するかが鍵となる。


「そういえばお紅、ちょっと気になったことがあるんですけど……」

「なあにLiEちゃん?」

「このシーンですが……どうして……」

「ん~? ……あっ! ええとそれは確か……そうそう! 実は前に師匠から教わったんだけどぉ……」

「その話、先生も詳しく聞きたいですね。戦略に組み込めるかもしれません」


この話し合いが終われば、次はいよいよ地属性選抜チームの出番だ。

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