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サ終ゲームのリスタート  作者: 橋 みさと
第3章 まだ、諦めたくないから
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ウパぺんたちの会話

当たり前だが次の日の朝は、前日見つかった「ウパぺんの発言」の件でもちきりだった。


長文であったため夜のうちには解読結果が公表されず、各職グループ代表を介して今朝、グループチャットでその要約内容が公表されたのだが、その内容が……。


・湖沼地帯(昼)で2匹のウパぺんが、私たちプレイヤーを探しつつ雑談している。探している理由は、「また私たちがボスを倒すところを見る」ため。


・どうやら「キングドロセラ戦の動画」が、現実世界に出回っているようで、それを見たアイたちが興味を持ち、探しに来ている。


・ログの最後が3匹目のウパぺんの発言と思われる、「あまりそこで話すな グループチャット使え」になっていたためグループ検索したところ、スカオー語で「ウパぺんの集い」と書かれたグループが発見された。


・試しに「ウパぺんの集い」にグループ加入申請したが、ほどなく拒否された。


という、予想のはるか上を行く内容だったからだ。

特に最後。誰が試したか分からないけど、行動力あるな。


「まさか動画が撮られてただなんて……イヤン、もう♡」

「変なことしないよう、気をつけないとだうー!」

「ゲーム世界に入れ替わってしまった時点で、元々監視される立場ではありましたけど、何かこう……今や私たちは、アイたちに珍獣扱いされているんでしょうか……?」


遭遇した雑魚敵と戦いつつ、この話題について話していたところ、そんな感じで三者三様の反応を見せた。


とはいえその動画を見て、他の無関心だったアイも何かを感じてこちらに興味を持ってくれたのだろうから、悪いことばかりではないかもしれない。


「そうなると当然、こうしている間にもまた、ウパぺんと遭遇する可能性があるってことですよね?」

「そうよねぇ。それこそまた、本当に見に来るかもね♡」


と言って、熾天使セラフィムさんは周囲を見回した。私も見回してみる。


すぐにウパぺんではなく、湖の向こう側に大きな亀が鎮座しているのを見つけた。このエリアは結構遠くまで見通せるので、この距離で見えるということは、かなり大きいはずだ。


「もしかしてあれが、ここのボスですか?」

「そうだうー! 三段渦紋亀だうー!」


私の指示した方向を確かめてから、嶋耕作さんが答えてくれた。

ここからではそう見えないが、名前に「三段」とあるからには……。


「それってつまり、相手は3匹ってことですよね?」

「それが特殊でして、実は3匹まとめて1つの敵扱いなんです♪ 残り2匹は通常サイズなのでここからは見えませんけど、あの大きな亀の上に乗っている飾りでしたので、攻撃もしてきませんでしたよ♪

……少なくとも前作では」


エレさんが付け加えたように、そこのところが今回どうなっているか、確かに問題かもな。


「あ、予定していた敵討伐数に達したわ♡ これで終わりよ♡ お、つ、か、れ♡」


熾天使セラフィムさんの言う通り、受注していたクエストが何回目かのクリアの表示に変わったので、私たちは一旦適性者ギルドで連続報告し、報酬で水属性装備を完成させる。

レベル条件は先に達成していたので、そのまま水晶等級昇格クエストを受託した。


「そう言えばこの等級って、何段階あるんですか? エリアの数分だとは思いますけど」

「前作は鉄・銅・錫・水晶・銀・珊瑚・金の7段階だったうー! 最後の2つは(夜)エリアの解放だから、エリアの数よりちょっと少ないうー!」


つまり、これでやっと半分ということかな? 今までのどのエリア名も(昼)と付いていたので、(夜)エリアがあるのは予想通りだが。


「じゃあ、選抜メンバー選びの話し合いに行ってくるわ♡」

「うーも行くう!」

「またね~♪」


というわけで、グループは解散となり、私はまた1人で湖沼地帯(昼)に向かう。勿論エリアボス出現場所で、観戦エリアを準備するためである。このエリアはかなり敵を避けて歩きやすいので、1人でも問題なく辿り着けた。


事前に聞いていた通り、確かにここは写真スポットに良さそうだな。

……一番奥にいる三段渦紋亀さえ写らなければ。


三段渦紋亀は、本当に見上げるほど大きな亀だった。私なんて余裕で背に乗れるだろう。確かによく見ると、一番大きな亀の背に、通常サイズの大小の亀が乗って三段になっている。


と、その時私は視線を感じ、振り向く。誰もいない……?

いや、よく見ると少し離れた湖の中から、ゴールデンウパぺんが顔を覗かせていた。そこって、中に入れたのか……。


私に気づかれたと知るや、ゴールデンウパぺんは一旦水の中に潜ったが、しばらくするとまたゆっくり顔を出したので、再度目が合う。


「また見に来てくれたんですね、ありがとうございます」


私が笑顔で接したことで安心したようで、水の中からゆっくり出てきた。

……ゴールデンウパぺんを含む3匹が。


これには目が点になる。まさか仲間を連れてくるとは……。


ちなみに残り2匹の頭上にはそれぞれ、「織姫ウパぺん」、「サマーウパぺん」と書かれていた。

「織姫ウパぺん」の方はその名の通り織姫っぽい服装で、「サマーウパぺん」の方は通常のウパぺんが浮き輪とシュノーケルを装着したものになっている。どちらもきっと、7月・8月のイベント時のウパぺんなのだろう。今度は季節先取りできたか。


全身をプルプルさせて水滴を落とす3匹を見ながら、私は素早く個人チャットでRockさんと連絡を取る。まだメンバー選出の話し合い中かもしれないが、さすがに1人では決められない。


幸いメンバーが決まった直後だったようで、すぐに返答があった。今後の指示が出され、ナイトグループのチャットでも伝達される。胸を撫で下ろし、私は観戦エリアを作成した。


「OKが出ましたので、どうぞ中で待って下さい。もうじきみんな、ここに来ると思います」


こうして私は、3匹のウパぺんを観戦エリアに招待し、ナイト以外の選抜されなかった各職のプレイヤーがこちらに来るたび、各職グループのチャットでこのことを伝達してもらった。

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