スカイオーシャン the 2nd
ここは地上だけでなく、空にも海がある世界。
地上の海が「地上海」と呼ばれるのに対し、空にあるほぼ塩分のない海は「天空海」と呼ばれており、天空海の中心には「海の女神が住まう場所」があると言われていた。
それを証明するかのように、天空海からは時折、魔力を多く含み、光り輝く雨が降る。
「魔光雨」と呼ばれるそれは、大地に降れば作物の実りを助け、地上海に降れば海の幸を肥やすのだ。
だがその雨がもたらすものは、恵みばかりではなかった。
魔光雨を多く取り込みすぎたことで、狂暴化する生物……魔物が、人々を襲うからである。
勿論人々も、手をこまねいていたわけではない。
魔物の体内からは魔力の結晶である「魔晶」が時折取れるのだが、魔晶を使って作られた武具は、通常のものよりもはるかに良い品質となり、魔物への対抗手段となることが分かったからである。
しかも近年、ごく一部の特殊な適性を持つ者たちだけが、魔晶で作られた武具に秘められた真の力を解放できることが分かり、魔光雨の降水量が増えたことで出現した、魔物の中でもより狂暴で凶悪なもの……魔獣と呼ばれる6匹の強敵への対抗手段が期待されることとなった。
プレイヤーはその、魔晶で作られた武具を真に使いこなせる「適性者」の一人として、魔物や魔獣がらみの問題を解決するため戦うのである……。
と言うのが、前作「スカイオーシャン」の大まかな世界観と中盤までのストーリーである。
そう、あくまで中盤までの話だ。
サ終が決まった後のストーリー展開で、実は天空海には海の女神によって封印された「終焉をもたらす竜」がいることが明かされたのだ。
そして魔光雨の正体は、海の女神がその「終焉をもたらす竜」の身から削ぎ落した魔力であり、魔物や魔獣はその魔力を身に取り込み魔晶化することで、「終焉をもたらす竜」に魔力が還元されるのを防ぐ役割をしていたのだ。
つまり、「魔獣」と呼ばれていたものは、実は海の女神の「神獣」として、最も「終焉をもたらす竜」を弱体化するのに尽力していたのだが、急激に魔光雨を身に取り込みすぎたことで魔晶化しきれず、暴走していたのである。
そうとは知らず、世界に平和をもたらそうとプレイヤーは適性者たちと力を合わせて「神獣」を倒してしまった。
魔光雨は、魔物や魔獣が魔晶化しなければ蒸発して、すぐに天空海に戻る。
つまり、「終焉をもたらす竜」に魔力が戻ることとなり……平和どころか、「終焉をもたらす竜」の復活に、知らず尽力していたのだ。
プレイヤーは海の女神から、このままでは近いうちに「終焉をもたらす竜」が完全復活し、世界を滅ぼすことを伝えられて始めて、これまでの行いを悔いた。
そしてそれを見た海の女神は、プレイヤーに「一度限りのやり直し」を提案し、記憶を保ったまま時を巻き戻す……というのが、前作最後のストーリーである。
「スカイオーシャン the 2nd」の最初のストーリーテキストは、この前作ラストシーンを踏まえ、「プレイヤーだけが記憶を保持したまま、過去に遡ってやり直しの旅を開始する」ところからだった。
the 2ndのオープニングでは前作を知らせすぎない内容になっているので、前作を知るプレイヤーはより満足できるし、前作を知らないプレイヤーも楽しめるだろう……うまいやり方だ。
「はあ……それにしても、やっぱりスカオーの絵や音楽は最高だな……」
もうこれだけで、胸がいっぱいだ。
適性者たちが集う「ギルド」に移動したところで、最初のストーリーテキストが終了。各種の操作ページに移行した。
「何からしようかな……」
実はスカオーは、プレイ開始時には名前しか決めないことになっている。
前作の時から何故だろうと思っていたが、友人から「リセマラする人の手間を省いてるんじゃないかな」と言われ、そう言えばストーリースキップボタンがあったなと、妙に納得したものだ。
とはいえベータ版でリセマラはできないので……。
「やっぱりここは、アバター変更からかな」
早速アバター変更画面を開く。いきなり前作との変更点に気づいた。
「性別選択がない……あ、でもパーツ内分類として性別1と性別2がある……」
前作では、例えば最初に性別を男性と選択すると、男性用と分類されたアバターパーツからしか選択できなかったのだが、どうやらthe 2ndは性別を選択させないことで、その垣根を越えてアバターパーツを組み合わせ可能になったらしい。
とはいえアバターパーツが膨大なので、探しやすいように性別1と性別2があるようだ。
「そうか、ジェンダーレスの時代だから、配慮してるのかも」
元々スカオーは、「見た目の姿を作ってから性別変更」すれば一応、異なる性別のボイスと組み合わせ可能だったが、the 2ndではそれがさらに進んで、「性別1から選択した輪郭に、性別2の目を組み合わせる」なんてレベルで自由に作成可能になっていた。
しかも新コンテンツとして、体格・身長まで選択可能とは……。
ちなみにここで選んだ体格・身長を含むアバターパーツはステータスに一切干渉せず、いつでも無料で再変更可能らしい。
「もうこれだけで、長く遊んでいられそうだな」
私はしばらく悩んだ末、性別1の低身長と性別2の輪郭をベースに、中性的な感じの、標準的肌色のアバターにまとめ上げた。さらにそこに、軽装の動きやすそうな服になるよう、上着や小物を組み合わせる。
ちなみに、本来アバターパーツはゲーム中徐々に選択可能な幅が増えるものなのだが、今回はベータ版として、最初からかなり多い選択肢から選べるようになっている旨の注意書きがあった。
「わ、もうこんな時間か」
アバター作成に夢中になりすぎたようで、気づいたらいつもの就寝時間を過ぎている。
私は慌ててアプリを閉じ、食事や風呂を済ませて就寝した。