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顔から下
「おつなじゃ!おつな、そこにおるのか?」
よろこんだ父親がしげみにかけよろうとしたとき、しげみが ザっ と割れ、しろい顔がつきだした。
『 ととさん かかさん 』
「おつな、さがしとったんじゃ、よお 無 じ ・・・ 」
寄ろうとした足がとまる。
おつなの顔は突き出ているのに、その、首から下が ―― いやにながい。
娘の白い顔が、ながい首の先で、左右にゆれる。
『 ととさん かかさん
な を 名を 名 ナ を ナ を
ナ ヲ モ ウ セ 』
おつなの首から下につながっていた、なにかの白いかたまりが盛り上がってゆき、目のまえに立った。
人の肌の色をした、餅のようなものだった。