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なのるなもなしのはなし  作者: ぽすしち


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30/33

いまの名は『供物』


「あまいぞ、ジョウカイ。 これだからおまえは、ぬけておる、というのだ」

 ウゴウがジョウカイのうしろに腕をくんで立つ。

「こどものころの《イミナ》などつけたままなどで、喰い残されたらどうする?その残りがいつか、土のなかから這いでるやもしれぬぞ」

 言って、ジョウカイをおしのけてしゃがみこむと、身をひくめて男をにらんだ。

「 ―― おまえのようなしつこい者には、用心するに越したことはない。 だいいち、『名』は、親父にまじないでとりあげられたわけではなかろう。 おまえが《とりあげられた》とおもっているからおもいだせぬだけだ。それならば、いつほんとうの名をおもいだすかわからぬ」

 


 すると、土にうまった男が、くっ、とわらうような息をもらした。


 『 おおそうだ、思い出したぞ。これでおれは助かるぞ。その《山神》には『タダマサ』をくれてやろう。 よいか、おれのいまの名は 』




「 くもつ だ 」



 『 く もつ・・・ 』



「そうだ。おまえのいまの名は『供物』よ。『供物』は《山神》にささげられ、喰われるためにある」

 男の頭のてっぺんにつきたてていた指を、ウゴウは押した。


 獣のようにとがった爪は頭へとは突き刺さらず、ただ、頭が土の中へ、めりめりといやな音をたててもぐってゆき、男は消えた。






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