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動くな
しかたなさそうにたちあがったウゴウが、刀をうけとろうと手をつきだし、男のほうはにぎっている柄をさしだすのかとおもったら、そのまま下からふりあげて、ウゴウの右の手首をとばした。
「あ!おれの手!」
あわてた鬼に、『 動くなウゴウ 』と刀をもつ男が命じる。
はじめて正面にむけた男のその顔には、場所をえらばずに、たくさんの目鼻がついていた。
「やはりこいつ、しつこいぞ。すこし刀をほめてやったぐらいで、おれの手をとばし、おれの名で呪いをかけやがったぞ」名をおしえたおまえのせいだぞ、とウゴウはジョウカイをにらんだ。
『 動くなジョウカイ。 さあ、どうだ。おまえらはこれでうごけん。あとはおれに《とりこまれる》だけよ 』
刀をかまえた男が、かおについたたくさんの口で言ってわらう。




