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鬼にはこたえず
ウゴウはさらに歯をきしませ、かくれておったわ、とおかしそうに足をふみならした。
「おのれをかくすために、ほかのヒトどもをとりこんでおったわ。さあ、かくれるものも消えたいま、はようおぬしの名をもうせ」
また、うずくまった男の背が震え始めた。
『 ・・・名、を・・・・』
「名を?」
ウゴウがうずくまる男へこころもち首をのばしたとき、 ざ っ、 と跳んだ男が手にした刀がジョウカイにみえた。
『 鬼にこたえる名などなし!! 』
声とともにたたきつけられた刀をウゴウも刀でうけた。
とびのいた男は刀をかまえなおし、気合というより奇声を発し、刀をもつ男の腕は、枝のようにいくつにもわかれてウゴウへのびた。




