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なのるなもなしのはなし  作者: ぽすしち


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みのがした

「 ―― わしも、このあたりで最後の《番神ばんがみ》になるんでな。お山に『おかしなもの』がはいってきよっても、追い出す力はもうない。 ここの《山神様やまがみさま》も、詣でる者がすっかりなくなって、ふもとからの供物もいつからか絶えてのオ、 ―― 『まつられて』ないのでな、《山神》としての力もよわくなっておる」


「だからといって、その『おかしなもの』が山で人に悪さをしても、《山神様》は良いのか?」


 ジョウカイがきくと、《番神様》の婆さんはまたすこしわらった。


「『おかしなもの』がな、迷い込んできた《妖怪》なら、《山神様》も動いたかもしれんがのウ。ずうっとまえからおったものが、『おかしなもの』になってゆくのを、《山神様》はみとっただけじゃ」

 歯のない口をあけ、こどものいたずらをみのがしたようにわらった。




 ジョウカイは《番神様》の婆さんに礼をいって、山をめざした。



 山の入口には崩れて苔むした灯篭とうろうのあいだに朽ちた石の階段があった。 むかしは参道のはじまりとして、手入れもされていたようだ。石段がおわれば砂利と小石の多い、細い山道となった。

 さらにゆくと道は岩壁を削ったものとなり、その岩壁を沿うようにのぼった先のひらけた場所にだれかが置いたような大岩の上に、留守を任せているはずの鬼がいっぴき、まちわびたようすで空をみあげていたのだ。








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