プロローグ
「サービス開始まであと一時間だな」
そう薄暗い部屋の中で一人つぶやいている俺の名前は 瀬戸 蒼 大学二年生だ。
俺は今【Hero's Trajectory2】というゲームの配信開始を今か今かと待っている最中だ。
このゲームは、魔王を倒すために自分が師匠となり数々の英雄を育てるという
ソーシャル育成ゲーム【Hero's Trajectory】の続編で魔王討伐から1000年後の世界を舞台にしているらしい。
詳しいことはわからないが一作目とゆかりのあるキャラクターなどもいるらしく
一作目大ファンで、六法全書以上に分厚いと言われている設定資料集も読み込んでいる程の信者である。
(少し腹が減ったな)
そう思った俺は何かないかと冷蔵庫の中を探したが見事に何もなく調味料ぐらいしか見当たらなかった。
「まだ少し時間あるし、急いでコンビニいくか」
そして、おれは近くのコンビニへ急ぎ足で向かった。
そして、俺は死んだ。
コンビニでレジの最中トラックがコンビニに突っ込んできたのだ、驚く間もなく死んでいた。
(あぁ死ぬならせめて明日がよかったHero's Trajectory2を一回もプレイせずに死ぬなんて)
(死んでも死にきれねぇよ)
そう思いながら徐々に意識が遠のき視界が暗くなっていった。
しかし、瞬間目の前が急に明るくなり、見るからに神々しい翼の生えた美女が現れた。
「おめでとうございます、異世界転生の時間です」
俺は驚きを隠せなかった、異世界転生など夢物語だと思っていたからである。
「やっぱりトラックに轢かれたポイント高かったです」
と目の前の美女笑いながら言っている。
(こいつやばい、サイコパスか)
「いえ、サイコパスではありません。女神です」
心の中まで読めんのかよ!
「はい、女神ですのである程度のことはできます」
と女神はニコニコ笑っていた
「あのぉ・・・」
気弱そうな声が後ろから聞こえた
振り返るとそこには同じ制服を着た学生三人がいた。
男の子一人に女の子二人である。
男の一人は運動部でキャプテンをやっていそうな爽やかイケメン
女の一人は見るからにギャルで、もう一人は見るからにインドアタイプのおとなしそうな子だった。
「ここはどこなんでしょうか?さっきまでコンビニにいたと思うのですが」
とイケメン君が女神に質問すると女神は
「ここは生と死の間です。つまりあなたたちは現世で死にました」
それを聞いた瞬間、学生三人組の顔は真っ青になりギャルは泣き崩れてしまった。
「でも大丈夫です。あなたたちは特別に記憶を持ったまま別世界に転生させてあげますから」
「別世界ってどういう意味ですか」
と弱々しい声でインドアちゃんが尋ねると
「そのままの意味です」
「こことは違い剣や魔法が飛び交うファンタジーの世界です」
「あの元の世界には戻れるのですか」
「無理です。だってしんじゃってますし」
それを聞いてインドアちゃんも泣き崩れてしまった。
そして、泣き崩れてしまった女の子二人をイケメン君が慰めるという構図が完成したのである。
冷静に慰めているイケメン君がすごいのであって。
学生が急に死にましたと言われて取り乱すのは当然だろう。
すると、泣き崩れてしまった女の子二人を慰めていたイケメン君が何かを決心したように唇をかみしめ
女神に向かい言った。
「せめて二人を守れるように三人同じ場所に転生させて下さい」
あらやだイケメン君かっこいい、見た目だけでなく心もイケメンとは。
なんて主人公力だ今作の主人公は彼に決定だろ
とくだらないことを考えていると。
「うーん」
と女神は少し考えてから
「少し予定と異なりますがわかりました。いいでしょう」
「三人は同じ国に転生させますね」
「ありがとうございます」
とイケメン君は深くお辞儀をしていた
その言葉を聞き女の子たちも少し落ち着きを取り戻したようだ。
「あとはあなたですか、望みなどはありますか?少しなら聞くこともできますが」
そう聞かれると俺は
「イケメンで有能に転生させてください」
と間髪を入れず答えた。
すると
「わかりました。大丈夫ですよ」
と即答で答えが返ってきたて
えっこんなお願いもいけちゃうの女神様すごいな。
と思っていた瞬間、体が急に光始めた
「では早速転生させますね」
女神がそういうと
死んだときと同じように徐々に意識が遠のき目の前が真っ暗になっていく
「ではいってらっしゃい」
ここで俺の意識はなくなった