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食欲怪人勇者姫リィエのぼうけん  作者: しいな ここみ
第三章:四人の王女 ~ リーザはいらない子 ~
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魔法のおべんきょう

「えー。この世界には魔法というものがあるわけですがぁ~」


 ロウがリーザを机に着かせて授業を始めた。


「魔族だからといってどんなザコでも魔法が使えるとは限りません。それどころか上位の魔物にも魔法を使えないカスはたくさんいます。

 また、人間でも魔法を使える者はいますが、使えない人間にはまったく、ちっとも、これっぽっちも魔力というものは備わっていません。なぜでしょうか~?」


「はい! はい! せんせい!」


「おっ。リーザくん。答えられるかな~?」


「魔法神との契約が必須だからです」


「正解っ!」

 ロウは褒めるどさくさに紛れてリーザに近づき、頭を撫でようとした。

 リーザに剣を突きつけられると大人しく後ろへ飛び退き、続けて質問する。

「では、魔法神とは何か? わかるかな~?」


「魔力の源となる元素を司る力のことです」


「(うわっ。こいつ即答しやがった……)うん、そうだねぇ。さすがリーザくん、優等生だねぇ(正直意味わかんねー。なんだよ魔力の源となる元素って? 頭のいいやつ面倒くせー……)」


「せんせい、先を進めてください」


「はい。では、魔法神との契約が魔法を使うために必須と言いましたが、契約とは一体何でしょうか? それはどうやってするものでしょうか?」


「後天的に契約を結ぶ例もあるにはありますが、その契約のほとんどが産まれる前にされています。つまりは産まれ持ったものであり、それは『才能』と呼んでもいいものです。

 その才能を持って産まれるものは魔族に特に多いですが、人間の中にもたまによく才能を持って産まれて来るものはあります」


「はい、正解。ちなみにリーザくんにその才能は?」


「ありません」


「やーい、やーい能なし~(お尻ペンペン)」


「私の『真実を見る瞳』は魔法ではありません。魔法神との契約で得られたものではなく、突然変異のようなものというか、いわば私は超能力者みたいなものです」


「ちょ……超能力者ですかぁ……(か、かっこいいな畜生)」


「別の言い方をすればミュータントですね」


「みゅっ……ミュータントだとぉ……?(もっとかっこいいじゃねェかこの小娘うらやましい!)


「せんせい! 授業を進めてくださいっ!」


「えー……、先生は魔法神との契約を持っています(ドヤ顔)」


「知っています。先生の契約している魔法神は火の神アフラマーズですよね?」


「その通り。アフラマーズ。アフラマーズって名前、カッコいいだろぉ~?」


「先生、小学生の男の子みたい(くすっ)」


「ちなみに魔法神には属性があり、火、水、風、土の4属性があります」


 リーザは素直にうなずいた。


「それぞれの属性にたくさんの魔法神があり、たとえば火属性だけでも1789もの魔法神が存在します」


 リーザは素直に「へー」と言った。


「そして魔法神はそれぞれ一人の人間あるいは魔族としか契約を結ぶことはなく、つまり火属性の魔法を使える者は世界に1789人以上は存在しません」


 リーザはちょっとわざとらしく「ほー」と言った。


「そして魔法神にはランクがあります。1位の魔法神と契約を結べた者は天才とか火炎の覇者とか呼ばれることとなります。1789位の魔法神はマッチの火ぐらいしか起こすことはできません」


 リーザは「ふむふむ」とうなずいた。


「ちなみに先生のアフラマーズは火属性第3位の魔法神です(えっへん)」


 リーザは「自慢はいいから」と先を急かした。


「ただ、すべての魔法は、じつはたった二つの系統に分けることができるんですねぇ~」


「はい! バルマ系とニムス系ですね?」


「そうです、よくできましたね」

 褒めるどさくさ紛れにハグしに行ったところをリーザにみぞおちを突かれて崩れ落ちながら、ロウは言った。

「ぐふっ……、ば、バルマ系は別名『闇属性』、ニムス系は『光属性』とも呼ばれます。ただ、通常はその別名では呼ばれません。ややこしいからです」


「火属性でもバルマ系とニムス系に二分されるんですよね?」


「そうです。すべての魔法属性は同じように二分されます。たとえば先生はバルマ系の火属性で魔法神はアフラマーズ、というように」


「フウガはニムス系の風属性だから光魔法が使えるんですよね?」


「その通り。同様に先生も闇魔法が使えるんですよ~(えっへん)」


「フウガの魔法神は風属性第1位のシルフなんですよね?」


「ま、まぁ、そうです。でも風属性第1位なんてじつは大したことないんですよ~。井の中の蛙レベルですよ~、あんなの」


「じゃあ先生は火属性の第三位だから、もっと大したことないですね?(くすっ)」


「バルマとニムスというのも、魔法神の名前なんですよ、これが」


「あ。話そらした」


「バルマとニムスこそ魔法神の頂点に立つゴッドの中のゴッドであり、この二神と契約をかわして産まれて来た者こそが真のド天才ということになるわけです。

 ただし、そんなド天才はまず産まれて来ません」


「どうしてですかー?(棒読み)」


「魔法神の力が大きすぎるからです。大抵はその大きすぎる魔力に体が耐えられず、お腹の中にいるうちに破裂して死にます」


「うわぁ……(ドン引き)」


「産まれて来たとしても、まともには育ちません。どこかおかしい人になってしまい、才能を発揮できないまま、何を成すことも出来ずに短い一生を終えるのが普通です」


「でも……」


「はい。歴史上、偉人となった者の中には、数少ないながら、バルマやニムスを魔法神としていた人はいました。みんな短命でしたけど、最も長生きした人はなんと! 18歳まで生きました」


「彼らはどうしてまともに育つことができたんでしょうか?」


「契約の効果が現れるのが遅かったんです。ある年齢を過ぎてから才能に目覚めた者は、大きすぎる魔力を支える容器としてなんとか耐えられるみたいなんですね」


「なるほど勉強になりました。先生、ありがとうございました」


「お礼はカラダでいいですよ」


 バキッ!


「あ、そうだ先生。シュカは?」


「しゅ……シュカがどうしたって?(鼻殴られた……痛ェ……)」


「シュカは何属性で、契約してる魔法神は何て名前なんですか?」


「さぁ? アイツのことはよく知らねー。光魔法が使えるからニムス系なのは間違いねェけど……。水属性の上位神かなんかじゃねーの?」


☆ ★ ☆ ★


「あ……あれは……」


 茨の腕輪の戒めを解かれ、光に包まれたシュカを見上げながら、レオメレオンが声を上げた。


 魔神も信じられないものを見るように呻き声を上げる。


 小僧……


 ソレハ……


 ソレハァァァァァッ!?


 シュカの背中から光に包まれた女神が立ち上がる。

 レオメレオンも知らなかった。シュカの契約している魔法神の名前が何であるのか。

 今、その女神の姿を認め、その名を口にした。


「光の神……ニムス」




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