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9話 マジですか?

日間33位になりました!

ありがとうございます!



「ほら、コーラ」


ドリンクバーから戻ってきた俺は、雛子にコーラを差し出した。


「う、うん。ありがと」


よろよろと伸びてきた手にしっかり渡して、俺は座る。


「で?どうする?練習なしでさっそくいくか?」


「別にわたしはどっちでもいいけど、逆にできるの?」


なるほど、この煽りは、もう勝負は始まってるということね?

りょーかい。


「ああ、別に問題ないけど?むしろそっちが不安なら練習していいぞ?」


「べ、別に、全然不安じゃないし?」


「強がらなくていいぞ?」


「強がってないし!強がってるのはそっちでしょ!」


なんで、俺が強がらなきゃなんだよ。

俺はもう、喉潤したから大丈夫なの!


「いや、別に強がってないし。」


「え?ほ、ほんと?ホントに強がってない?なんなら、最初にエキシビションマッチとかでもいいんだよ?」


練習したいなら、したいって言えよ。


「わかった。じゃあ、エキシビションマッチな。」


「ほーら、水吉も練習したかったんだあ!」


「水吉も?」


「ああぁ…ち、違うから……」


しっかりボロ出した。

まあ、そうだよな。練習大事だもんな。


「ああ、そうだな。俺『も』一回練習したいわ。間違って舐めプするとよくないし」


「ううぅ……」


めっちゃ悔しそうな顔をする雛子。


「じゃあ、どうする?どっち、最初にする?」


「み、水吉でいいよ?」


「おう。わかった」


最初にどんと上手いところ見せて、ビビらせてやろう。


そう思いながら、曲をかけて、そして、歌が始まる。

イントロが流れて、最初の歌詞がもうすぐそこだ。

ゆっくりと息を吸って、歌いだす。


「花咲く明日は〜♪」


「えっ……意外にイケボ……」


と、雛子が呟くが俺の耳には届いていない。

完璧を目指して最後まで歌いきった。


「ふ〜、終わり。」


久々のカラオケだが、歌い出してようやく感じる懐かしい感じ。

ガチで歌ってたもんなぁ……ひとりで……

終わってマイクを置くと、向かい側から拍手が、、


「えっと……けっこうじょうずじゃん」


「お?もしかして、褒めてるのか?」


「そ、そうよ!意外にじょうずだった……」


「だろ?」


そう言って自信げにサムズアップしてみせると、


「や、やっぱ、中の上くらい!わたしの方がうまいもん!」


と、安定の雛子クオリティー。


「じゃあ、お手並み拝見といきますかぁ」


選手交代。

俺がそう言ったことで若干緊張した面持ちになる雛子。


「どうした?俺が意外にできてるからビビってんのか?」


「ビビってないもん!」


挑発に乗るようにして、ポチッとタブレットを押して、雛子が歌い始めた。


結果としては、めちゃくそ上手かった。

普段の様子からは、想像できないような美声が雛子から出ていて、こいつ本当に本物かと疑ったまであった。


「いやぁ……意外だわ」


聴き終わった一言目がそれだった。


「それって、どういう意味!?」


「え、いや、マジで上手でなんか感動した」


「ほ、ほんと?あ、ありがと……」


若干照れ臭そうに、お礼を言う雛子。彼女は俺が煽るかと思っていたらしい。

そんなわけあるか。俺は正直でありたいんだ。

上手ならはっきりとそういうタイプだ。


「マジで、上手だった。どのくらいかというとほんとにお前か一瞬疑ったまである」


と、なんならここまで言う。


「あ?ちょっと、それどういうこと?」


どうやら、異変に気付いたらしい。

いやぁ…わからないと思ったんだけどなぁ。


「褒め言葉だよ。人の賞賛を素直に喜べないなんて、心が歪んでんじゃないのか?」


「ぜったい、今のは言葉にトゲがあったもん」


「綺麗な華にはトゲがある。お前からしたら多少のトゲだってご愛嬌だろ?」


「えっと、ちょっと待って、マジで意味わかんない」


「わからなくていいだよ」


だって、俺も言っててよくわからんもん。


「そういうものなの?」


「ああ、そういうものだ」


全力で言いくるめに行った。

不思議に思いながらも一応は納得してるらしいから、成功かな?


まあ、あとは勝てばいいだけだし。


「じゃあ、お互いのエキシビションも終わったし勝負するか」


「おっけい。じゃあ、ルールとかどうする?」


ルールか。たしかに大事だよな。

あと、罰ゲームの内容も。

でも、ここは、


「レディーファーストで、お前が決めていいぞ?」


「その使い方違う気がする……」


順番を譲るのだけがレディーファーストだと思ったら大間違いだぞ?

俺は、順番だけではなく権利さえも与えるのさ。

これが真のレディーファースト主義者だ。


「まあ、お前が選べって」


「それって、勝つ自信があるから?」


「まあ、そうとも言えるなぁ」


実際かなり危ないから逃げ道を作りたいとは死んでも言えない。ほら、負けるかもしれないから逃げ道をつくっておくことも大事なわけでして……ね?


「ふ〜ん?それって、フラグってこと知らないのぉ?」



知っとるわ!

でも、腹の中は真逆だから相殺されるってことにしといて下さい……


「知ってる。それでも、大丈夫だ。絶対負けない」


やばい……どんどん強固なフラグが立っている気がする。


「マジでこれ以上フラグ立ててどうすんの?一級フラグ建築士じゃん」


なんだよ、その職業!

やってて、損しかねぇじゃんか!


「新たなる職業開拓すんのやめろ」


「だって、心配だし」


ついに相手に同情されるまでになった。


「だいじょうぶだから」


「ほんと?なら、私が決めるけど……えっとぉ…じゃあ、三番勝負で勝った方は、負けた方になんでも一つお願いできる。これでどう?」


「ああ、いいぞ」


なんだよ。結構優しいじゃん。もうちょっと、面倒なのかと思ったら。



これは、勝ったな。



こうして、外側だけではなく、腹の内でもしっかりとフラグを建築してから俺は三番勝負を開始した。




結果から言おう。



俺の負けです。



あれぇ〜?おっかしいなぁ……

最初は勝ったんだけどなぁ………


なんか、途中からキー+5とかにされたような……

でも、ルールにキーチェンジなしってなかったもんなぁ……


三曲目にされたから、後攻の俺はなんにも出来ずじまいだったし……


と、まあ、心の中で言い訳をしているが、身体はというと絶賛連行中。


なんかねぇ、罰ゲームはあることをするらしく、今はゲームセンターに向かってる。


えっと……何かな……

すっごい怖いんだけど……


こんな感じでビクついていたら目的地に着いたらしく雛子が、


「じゃあ、水吉にはあれをやってもらいます」


と、言ってある所を指さす。

その方向を見てみると、そこにはプリクラがあった。


「マジですか…?」


「マジです」


どうやら、マジらしい。

この章もあと4話。次回からスパートかけます。


ブクマ、評価、よろしくお願いします!!

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