8話 カラオケデート?
ランキングまた上がってました!
ありがとうございます!
「じゃあ、さっそくカラオケしますかぁ!」
意気揚々とカラオケ店に入ろうとする雛子。
「え、マジで入るの?」
「当たり前じゃん。もしかしてビビってんの?これが初めてとか?」
もうなんかさっそく煽られてるけど、こっちだって経験者なんだよ。
「そんなわけねぇだろ」
「へぇ〜?」
「前に一人で来たことあるよ」
「あ、なんかごめん…」
その憐れみの目で見るのやめて!
ダメなん?いいじゃん別に!一人だとみんなに気を使わずずっと歌えるんだから!
「とりあえず、その憐れみの目を向けるのだけはやめろ」
「水吉って意外にメンタル強いんだね」
「お前のそれで半分くらいブレイクされてるからな」
もう、これ以上この話題はよしてくれ。
話してても悲しくなるだけだし、
ヒトカラ行った時に、歌いすぎて、後日まじで声ガラガラで大変だったから、何気にカラオケトラウマなんだよ…
え?全面的に自業自得だし、普段だれとも話さないから声自体必要ない?
ちょっと黙ろうか?それをわかってても言わない優しさは大切だと思う。
思ったことを正直に言うことも大切だけど、時にそれはあまりにも残酷だよ。俺、泣いちゃうからね?
「まあ、水吉のメンタルは置いておいて、乗り気じゃないのはもしかして音痴だとか?」
「あ?ナメんな!自分で言うのもなんだが音痴ではないし普通の人よりもできると思うぞ?」
「うわぁ…それフラグじゃん。どうせ採点とかもろくにしないで歌える気になってる人でしょ。」
うっ……
ちょっと待って、なんでこんなにダメージが?
「まあ、確かに採点機能は使わなかったけど…」
「じゃあもう、確定じゃん。どうする?そんなに自信あるんなら勝負する?いや、勝負になる?」
「当たり前だろ!なってやろうじゃんか」
「じゃあ、カラオケデートに決まりね」
普通に勝負だけどな?
「ならさ、普通にやるのもつまらないから負けた方なんかやろうぜ」
「やってやろうじゃん…罰ゲームありってことね!まあ、私も結構上手い方だよ?」
「フラグじゃん…」
「私はちゃんと数字出てるから。だいじょうぶ」
なんだよ…もしかして、ホントに結構上手い方なのか?
だけどな。男には譲れないところもあるんだよ(ショボい)。
絶対、勝ってやるからな。
「じゃあ、改めてだけどカラオケ勝負ってことでいい?」
「ああ、受けて立つ」
デートなのに、対決になってしまった。
けれど、俺たちは、そんなこと全く気にせずカラオケ店に入って行った。
○
「フリープランでよろしいでしょうか?」
「はい」
「もしかしてカラオケデートですか?」
受付をしている時だった。受付のお姉さんがニコニコしながらそう尋ねてきた。
「えっ!?いや、その……」
「はい、デートです」
「み、みずよしぃ!?」
口ごもる雛子に対して俺は正直にそう言った。
いやいや、嘘は言ってないだろ。
「まさか、照れてんのか?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
「まあ、初々しい!」
「っ……」
店員さんがそう言うと、本当に照れて頰を赤くする雛子。
ちょっと、かわいい。
「お前も照れるんだな」
「うるさい…だまって」
なんか、萌えポイント高いな。
視線を合わせないところとか特に。
俺になに言われてもあんまりなのに第三者に言われると照れるもんなのか……
ちょっと意外だ。
「ほら、もう終わるから」
そう言われて、お姉さんの方を見てみると、こっちを見てニコニコしながらもしっかり手を動かしている。
やべえ、これがプロの技ってやつか……
「お部屋は12番になります。ごゆっくりどうぞ〜」
最後までニヤニヤしている受付のお姉さん。はやくこの場から逃げたいのか雛子は俺の手を引っ張ってすぐさま部屋に向かおうとした。
「ドリンクバーとかは?」
「いいの!あとで!」
なるほど、一回クールダウンしたいのね。
りょうかい。
そのまま引っ張られて、部屋に入った。
「おお……今回は結構広いんだな」
受付のお姉さんの意図だろうか?
いいや、違うな。お姉さんなら逆に狭い部屋にするはずだ。
普通にこの部屋しか空いてなかったのだろう。
「え、この部屋。普通サイズだよ?」
部屋の広さに感心する俺に対して、雛子の反応は思っていたのと違った。
「そうか?俺が来た時はもっと狭い部屋だったから」
「そりゃ、ヒトカラだもん!」
なんでだろう……事実を述べられているのにすっごくイライラするのは……
「じゃあ、さっそくドリンクバーに……」
「待って!」
部屋を出て行こうとする俺を雛子が呼び止めた。
「どうしたんだよ?」
俺、喉乾いてるんだけど
「せっかくだから、ドリンクバーを賭けて勝負しない?負けた方がお使いってことで。わたし行くのめんどうだからさ〜」
「ああ、じゃあ俺がお前の分も持ってくる」
「え!?なんで?」
「別に一人分増えたところで変わらないからな」
本音は、めっちゃ喉乾いてるからだけどね?
「そ、そう……じゃあ、私コーラ」
「りょーかい」
そう言って俺はドリンクバーに行くために一旦部屋から出た。
その後、一人になった雛子が、
「水吉ってあんがい優しい……?」
と、呟いたのだがそれは彼女以外だれも聞いていなかった。
章作成しました。
この章はあと4話程度で終わる予定です。
ブクマ、評価、よろしくお願いします!!