3話 マジでやるんですね!?
日間ランキング入りました!
ありがとうございます!!
「あのぅ……どうしたんですか?」
部室に戻ったときに、雛子の不安そうな顔がとても印象的だった。
雨蘭さんは、なんでもない風に装って「だいじょぶだいじょぶ!」と、明るく振る舞っているが、さすがの雛子もそんなに鈍くはないだろう。
「すみません……なんか、すっごいめんどうなこと頼んで…」
自覚はあったのだろう。
だけど、それを承知で俺に頼んできたんだ。
よっぽどのことだと、俺でもわかる。
俯いて申し訳なさそうにしている雛子に雨蘭さんが近づいて、
「ねえ、いま彼氏いる??」
と、優しく声掛けた。
いやいや!ウソだろ!?
ほんとに実行しちゃうんですか!?
そんな感じで雨蘭さんを見つめると、ガチで睨まれた。
あれは、マジの目だ。雨蘭歴一年ちょっとの俺がいうのだから間違いない。
「い、いませんけど……」
「もしよかったらさ、このシュウくんの彼女になってくれないかなぁ?」
「えッッ!!?」
「ごめん、驚かせたよね。嫌なのはわかるけど最後まで聞いて?」
いや、雨蘭さん。こいつまだ「イヤ」って言ってませんよ。
あたかも言った風に接するのやめてくれませんかね?
俺だって一部の望みにかけてるんだから!
「付き合うっていっても一か月の期間限定のお付き合いなの。害虫避けになればいいんじゃないかな?こんなシュウくんでも、これくらいならできるでしょ?」
その『これくらい』がハードすぎる件。
なに?へんなやつに捕まってサンドバッグになれと言ってるのとおんなじですよ??
しかも、俺まだ許可すらしてないし……
人権はいずこへ……
「えっと……」
「わかる!こんな冴えない陰キャ、ヤダよね!よくわかる!!」
雨蘭さん?その子まだ何も言ってないんじゃ……
「でもね!人生には苦渋の決断をするときが必ずしもくるの!」
で、その一回が俺と!??
俺を選ぶのは人生レベル!?
「うぅ……」
そして、雛子ももう少しその顔どうにかしろ。
おれ、そろそろ泣いちゃうぞ。
「だいじょぶ!一か月だけだから!掃除当番と同じ!」
だから比較対象がなんで、ゴミとかなんだよ!
いくらなんでも、それは雛子だって、、
「うっ……ならやります…」
やるんかい!
てか、ほんともうちょっと、嫌な顔隠そうぜ。
学年の美少女とクソ陰キャだからカースト差が半端ないのはわかるけど?
もの頼むって態度じゃないだろ!明らかに!
「シュウくん。なんか、不満がありそうだから言っとくけど。これはお願いでも依頼でもないから。」
「え?」
じゃあ、なんなんだ?
「命令だから」
…もっとひどい!
「でも、あの……雨蘭さんはいいんですか……?その……この……イン……ふ、クソ陰キャさんと付き合って?」
いま、陰キャって言おうとして、やめただろ!?
てか、ルビ!!
誤魔化しきれてねぇ!
「ぜんぜんオッケー!」
なんで、雨蘭さんがそんな笑顔になってんだよ……
「シュウくんもそれでいいよね?害虫避けになって?いや、なりなさい。ならなければ……」
先生でしょ!しっとるわ!
「……わかりました」
「うん!えらい!ダイスキ!!」
そう言って、雨蘭さんが飛びついてきた。
いやあ、こんにちは。久々だね。
またキミとこうやって会えるなんて。
俺は、雨蘭さんの胸部に包まれた。
いや、もうどうなってもいいわ……
俺、がんばる……
「やっぱり……二人つきあっ……」
雛子は最後までごにょごにょと何か言ってたが結果的に俺と雛子は一か月偽装カップルをすることになったのだ。
お読みいただきありがとうございます!
マジでストックギリギリですが、頑張ります!
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