10話 プリクラ
10話到達です!
皆さまのお陰です!ありがとうございます!!
「ええっ……マジでやんのかよ」
「当たり前でしょ!これが罰ゲーム」
雛子に連れてこられた場所は、まさかのプリクラだった。周りには、めちゃくちゃ高校生のカップルがいる。
いやぁ……これこそ、俺の縁のない場所だと思うんだけど……
こんなピンク色漂う場所で、撮影してもなぁ……
当然乗り気ではないのだが、、解放してくれるわけないですもんね……わかります。
雛子は、絶対離さないだろう。
でも、なんで罰ゲームがプリクラなんだろう。こんな言い方をしてはアレだがもっと大金使わせたりするひどい罰ゲームだと思ってた。
これは、羞恥心が半端ないが経済的にはとっても優しい罰ゲームである。
「なあ、なんでプリクラなんだ?」
気になったので、尋ねてみた。
「えっとねぇ……う、う〜ん。ほら、解決祝い?」
「罰ゲームなのにか?」
「わわわ、えっと、違ってぇ…記念撮影??」
「さっきからなんで疑問形なんだよ?」
「ち、違うの!別に記念に撮りたかったわけじゃなくて……えっと……ほら!羞恥心で死にそうな顔をしてる水吉を撮りたくて!!」
「ドsじゃねぇか!」
あまりにも酷すぎる。しかもこれ、脅迫材料にもなるんじゃないか?
まあ、雛子はまだ気づいてないし、絶対言わないけど。
「まあまあ、負けたんだからちゃんと、いうこと聞こうねぇ〜」
と、言われて問答無用にプリクラに連れていかれた。
「うわぁ…なんか陽キャの世界…」
プリクラは、本当に初めてだ。やり方とかまったく、わからない。
俺が呆然としていると、隣で雛子が笑って
「なにその顔。もう、既に写真に収めたいんだけどw」
「絶対やめろ。俺はずっと仏顔でいくからな」
「空気読もうよ」
「空気は読むものじゃない」
「はいはい、陰キャお決まりのフレーズは聞き飽きたから」
確かにこれは陰キャよく使ってるよな。
でも、これ言ってる人ってだいたい空気読めるけど読まない人なんだよな。
実際読めない人はこんなこと言われたらガチギレするだろうし。
そんなことを考えている間に雛子は着々と準備をしていた。
「えっと……モードは……カップルモードでいっか!」
「いやいやいや!なんでだよ!」
「むぅ…だって今はカップルじゃん!問題ないじゃん!」
「まあ、そうだけど……」
「いちいち、そんなことでぐちぐち言ってたら彼女なんて一生できないよ?」
「あの、ガチ説教やめてください……」
冗談なのに……
「じゃあ、カップルモードってことで!」
鼻歌交じりに設定していく雛子。それに対して、俺はもうこの時から仏顔を決め込むことにした。
「できたよ……って!なんで仏顔なの!?」
ちょっと、時間がかかっていたから仏になるには容易かった。
ふっ…俺の勝ちだな。
「むぅ……笑いなさい!」
「………」
「なるほど……なら、こちょこちょしてもいいと…」
な ん だ と ?
「反応がないってことはイェスってことで…」
「わかったわかった!笑う、笑うから!」
「なら、しょうがない許そう……」
よかったあ。こちょこちょはマジで効くからやなんだよな。
「てか、その反応ってことはこちょこちょ効くんだぁ〜」
俺が安心しきっていると、雛子がそんなこと言い出した。
しまった……俺が効くのバレてる。
「ふふん…いいことわかっちゃった!まんぞく!」
俺は不満だけどな。
「てか、もう始まるよ!」
いきなりだな!
『じゃあ、最初は、手を繋いでラブラブアピール!!』
アナウンスが流れてるけど、これガチでやんの?
「ほら!水吉!」
強引に手を繋がれパシャり。
『次は二人でハートマークつくちゃおう!!』
いやああああああ!!!
ウソだろ!?い、一生見れない!!
「ほら!ちゃんとして!」
「ハイ…」
お互いハートマークを作ってパシャり。
うん、しにたい…
『次は、肩を組んで撮るよ〜。男気が見たいなぁ』
ぜったい許さねえこのプリクラ。
「見たいなぁ…」
「すっごい笑顔だな」
「ほら、始まるよ!抱き寄せて!」
「語弊がある言い方やめろ!」
と、言いつつもしっかり肩組んでパシャり。
『最後は、向かい合ってハグしちゃお〜』
「いやいや、これはさすがに……」
「やるよ!水吉!」
「これもかよ!」
「私はねえ!ぜったいプリクラには妥協したくない!」
「そのこだわりは絶対いらねぇから!」
「ほら、もうはじまっちゃう!」
そう言って、雛子の方から勢いよく飛びついてきた。
「うわあ!」
これは、もうしがみつきと言ってもいいくらいの勢いだった。
だが、しっかりとパシャり。
「も、もう……終わりだよな」
プリクラってこんなに過酷なものだったのか……
てか、
「おい、もう離れろよ……」
「え…」
未だにくっついている雛子。
「もう、終わったからくっつかなくてもいいよな?」
「ああっ…そ、そうだった!ご、ごめん!」
パッと離れて、距離を取る。
なんだよ、妥協しないとか言っておいて、ちょっと照れてたのかよ。
すっごい恥ずかしそうな雛子の顔を見て俺はそう思った。
「じゃあ、これで終わりだな。よし、帰ろう!」
「ちょっと、待った。まだ大事なのが終わってない!」
くそ……いいじゃんかよ。
思い出は、心の中にしまっておくのが一番だと思うんだけど?
「加工するよ」
「はい……」
プリクラガチ勢にはやっぱり勝てなかった。
次は、ヒロイン視点があります。
評価、よろしくお願いします!




