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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
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66,家への手紙

 リオンと話しながら廊下を進み、手の中で杖をクルリと回す。

 今日の日程はもう終わっているし夕飯も食べ終えたので後は各々部屋でのんびり過ごすだけだ。

 リオンは今日このまま寝てしまうつもりらしい。


 朝も遅刻してきたのにまだ眠いのか。

 まるでソミュールみたいだと思ったけれど、彼女のあれは種族として抗えない本能であり、リオンのそれはただの眠気である。


「俺、夜の方が調子いいんだよな」

「そうなの?」

「おう。混血だからまだそんなに影響ないけど、鬼人ってそもそも夜に行動するらしい」

「へえ……じゃあもしかして、寝るって言いながら夜更かししたりする?」

「寝付けねえんだよ。なんか簡単に寝付く方法とか知らねぇ?」

「私寝付きいいから分からない」

「そっかー」


 そんな話をゆるゆるとしながら廊下を進んで、先に部屋につくのは私なので手を振って部屋の扉を開けた。

 さて、何をしようかと考えて、杖を机の横に立てかけて棚の前に立った。


 棚の引き出しにしまっていたペンとレターセットを取り出して、それを持って机に向かう。

 学校が再開されてそれほど経ってもいないけど、手紙はもともと結構な頻度で書いていたのでこの短期間でも書きたいことは大分溜まっているのだ。


 くるりと手の中でペンを回して、さて何から書こうか考える。

 とりあえずは予告だけされている先輩たちとの模擬戦が楽しみだなぁと、そんなことから書くことにした。


 いつやるのかは知らされていないけれど、近々やるから覚悟だけしておけとそんなことを言われているのだ。

 リングは使わないでそれなりに立ちまわれればいいな、とそんなことを思っている。


 あとは、徐々に始まったそれぞれの来年に向けての授業の話とか。

 魔法使い組が固まり始めたり、新しく杖を作った人がちらほらと居たり。私もヴィレイ先生以外の先生に声をかけられることが少し増えてきた。


 他には、いまだに所属はしていない研究室だけれど、所属しなくてもいいから遊びにおいで、と言われて例の「魔法適性Dでも使える魔道具を」に遊びに行ったりもした。

 楽しいけれど、やっぱり仕組みは分からなくてちょっと悔しい。


「んー……」


 便箋数枚を埋めたところで終わりにして、封筒に宛名を書いて最終確認の後にしっかりのり付けする。

 そしてぐーっと身体を伸ばしていたら、バキッと肩がえげつない音を発した。


 ……私の肩大丈夫?多分大丈夫だろうけど。

 久々にあんなにえげつない音を聞いた気がする。

 普段はそんなに凝り固まらないのに、なぜだろうか。


「……やっぱり三冊連続は無謀だったか……?」


 昨日はちょっと興味のある本をたくさん見つけてしまって、放課後図書館に籠りせっせと読書に励んでしまったのが絶対的な原因なのだけれど、気付かなかったことにしておこう。

 それで身体の調子を崩したとか、読書に精を出せなくなってしまいそうだし。


 読書を諦めるか肩の調子を諦めるか選べと言われたら肩を諦めるのが私だ。

 今日はちょっと、あまり見てなかった棚を見に行ったら色々見つけてしまっただけだから。今日で大分落ち着いたから、今後ここまで固まることはないだろうし。


 手紙は明日の朝に出すことにして、今日は夜更かしせずに寝た方がいいだろう。

 最近少し夜更かししがちだったのでそろそろちゃんとしないと癖付いてしまいそうだ。

 まあ、別に睡眠時間は足りているんだけどね。魔力もしっかり回復しているし、大丈夫は大丈夫なんだけども。


 でもまあ、しっかり休めるときは休みなさいとずっと言われて育ったので夜更かしが続くとちょっと気になってしまうのだ。

 夜更かししていると、ふとした瞬間に「あー、明日怒られそうだなぁ」とか思ったりするし。


「……あー……寝る前に明日の荷物確認しないと」


 もう寝ようと思ってベッドに入ったのに明日の準備を忘れていたのを思い出した。

 別に朝でもいいのだが、手紙を出しに行くとなると朝食の開始がいつもより遅れるので念のためしておいた方がいいだろう。


 身体を起こして明日の日程を確認して、必要な荷物をカバンに詰める。

 手紙は忘れないだろうから机の上に置いたまま、そういえばちゃんとお茶飲み道具を片付けただろうかと考えてしまう。


 もう、もう寝ようと思っていたのに一個用事を思い出すと次々に気になるのは何なんだろうか。

 はあ……お茶飲み道具はちゃんと片付けてありました、はい。

 本も棚に収めてありました。これで他に気になることはないのでササッと寝ましょう。


 はあ、ともう一度ため息を吐いて、今度こそベッドに潜り込む。

 目を閉じてボーっとしているとそれだけで眠くなってくるので、やってきた眠気のままにそっと眠りについた。



 明かりが点いたのを感じて目を開ける。

 ……眩しい。もう朝か。

 身体を起こして時計を見て、いつも通りなのを確認する。


 グーっと身体を伸ばしてベッドを降りて、着替えを手に取ってからふと今日の一限、場所が変更になっていなかっただろうかと思い出した。

 昨日の最後に先生がそんなことを言ったような気がする。


 ちゃんと聞いていなかったわけではないんだけど、実技終わりの話はどうしても聞き逃しがちになる。まあ、覚えていたからいいだろう。

 どこになったと言っていたかだけしっかり思い出さないといけないので、記憶を探りつつ着替えて髪をハーフアップに纏める。


 机の上に置いた手紙を持って、とりあえず中央施設に向かうことにした。

 なんなら場所変更のことも張り出してあるだろうから、それも確認しておこう。

 張り出されていなかったらミーファあたりに聞けば教えてくれるだろうし。


 ……あれ、リオンは場所の変更を知っているんだろうか。

 まあ多分聞いていたし大丈夫だとは思うけれど、どうだろう。昨日そんな話にはならなかったけど、みんな聞いていたから、というのだけなら納得も出来る。


「……まあいいや。手紙出しに行こ」


 考えても仕方ないので自分の用事を終わらせることにした。

 手紙は結構な頻度で出しているのでもう顔を出すだけであ「ああ、手紙ねー?」と言われる。

 実際その通りなのでさくっと手紙を出して、授業の予定なんかが張り出されている場所を確認する。


 ……うん、戦闘職一年生、一限授業の場所変更、しっかり張り出されている。

 室内運動場に変更らしいので、変更を忘れていたら間に合うか微妙なところだろう。

 確認も終わったところで朝食を食べるために廊下を進む。


 荷物は持っているのでこのまま一階を通り抜けるだけだ。

 戦闘職の寮を抜けるときに、角を曲がっていくミーファを見た気がしたけれど、もしかしてもうご飯を食べ終えてソミュールを起こしに行ったのだろうか。


 まだ朝食が始まって数十分しか経っていないと思うのだけれど。

 もしそうだったとしたら、この時間から起こされて尚のんびり朝食を食べて移動する私たちと合流するような時間に移動しているということになるのだけれど……!?


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