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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
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47,面倒な関係性

 荷台で揺られて道を進む。昔はこの道中でかなりはしゃいでいた気がするが、今ではゆったり座っているのも苦ではないのでかなりのんびりな道のりだ。

 台車を引いているトマリ兄さんにだけ負担が行っているのでは、と思ったこともあったが、このくらいは別に重くもないらしい。


 その話を初めて聞いた時に、ようやく根本的な種族の違いを認識した。

 今となっては懐かしい話だが、昔はそれはそれは驚いて、ちょっと台車を引いてみようとしたこともあった気がする。全く動かなかったことはしっかり覚えている。


 ちなみにコガネ兄さんは強化魔法をかけて問題なく動かせるし、シオンにいも魔道具を使って筋力を強化して動かしていたはずだ。ウラハねえは何の強化もなく軽々引いていた。

 筋力強化などを使わないでこの台車を動かせるのはトマリ兄さんとウラハねえだけである。


 その細腕で笑顔のまま軽々と台車を動かして見せたウラハねえを見た時はかなり驚いたし、なぜか姉さまに疑問の目を向けたような気がする。そう、もしや姉さまも出来るの……?的なことを考えていた気がする。確かそうだ。


「……ん?」

「ウラハねえ?どうしたの?」

「何でもないわ。買い物リストに書き忘れがあったみたい」


 ウラハねえが何かに気付いたように耳に手を当てた。

 どうやら家からの買い物リスト追加の連絡だったようだ。

 見るたびに、同じ主をもつ契約獣同士の連絡というのは便利そうだ、と思う。


 距離も何も関係なく会話が出来るのだから、これが自分も出来ればいいのにと思ってしまうのも無理はないだろう。

 ちなみに姉さまは契約獣同士の連絡を応用して契約獣と会話が出来たりするので、羨ましい限りだ。


「……あのね、ウラハねえ」

「なあに?セルちゃん」

「ヴィレイ先生から課題を出されてるんだ」


 何となく、そんな話題を繰り出した。

 私も姉さまの契約獣だったら、なんてありもしない想像をしてしまったからかもしれない。

 課題を忘れたわけではないが、ふとした瞬間に姉さまが脳内に現れては追うように課題の存在が通り過ぎていくのだ。


「どんな課題?」

「姉さまを基準にしない思考の生成……」

「……そうねえ、そうした方がいいとは思うけど、難しいわよね」


 ウラハねえの手が伸びてきて、優しく頭を撫でられる。

 トマリ兄さんとコガネ兄さんは何も言わないままだ。聞こえてはいるだろうが、混ざる話題ではないと思っているのだろう。


「ゆっくり作って行けばいいわ。今まで、八年かけて作られた考えが数か月で変わりはしないもの」

「……卒業までにって言われてるんだぁ」

「ヴィレイさんはたまにいじわるなのよね」

「たまになの?」

「マスターには常にいじわるな気もするわね」


 やはり姉さまには一線引いた対応をしているらしい。

 呼び方がキャラウェイな時点で察してはいたが、一体あの二人の間に何があったのだろうか。

 姉さまは自分から何かするタイプではないが、ヴィレイ先生もわざわざ喧嘩を吹っ掛けに行くタイプではないだろう。


「……なんでそんな関係に?」

「んー……コガネ?」

「こっちに投げてくるな……あー……何と言ったらいいだろうな」


 足を投げ出すように台車の淵に座って手元の紙を確認していたコガネ兄さんに話題が飛び火し、兄さんが悩まし気な声を出す。

 彼が煮え切らないのも珍しい。普段は何でも切り捨てるかの如くさっぱりと返事をくれるのだ。


「お互いを嫌っているわけではないんだと思うが……ヴィレイは貴族として行動を一切しない主に対しての風当たりが強く、主はそのあたり全てを無視して呼び名だけ修正し続けている」

「……面倒な関係であることだけは分かった」

「それだけ分かれば充分だ」


 噛み合わないまま、というか噛み合わせないままに関係が続けられているならそりゃあ面倒なことにもなるだろう。

 ヴィレイ先生も別に姉さま自体が嫌いなわけではないようなので、私としては態度を変えずにこのままいきたいところである。


 ずっと疑問だったことが一つ解決した、と前向きに捉えておこう。

 そう決めて一人頷き、荷台の窓から顔を出して道の先を眺める。

 落ちない様にはしているし、今日だって杖は持ってきているのだからたとえ落ちたとしても自力で戻ってこれるだろう。


 止められないのをいいことにそのまま外を見続け、見えてきた海に小さく歓声を上げた。

 荷台を引くトマリ兄さんから落ちるなよ、と言われ、窓から乗り出していた身体を引っ込める。

 大人しくしている間にスコルの門に着いたようで、一旦荷台が止まった。


 出店リコリスには第四大陸内の三つの国の出店許可印がぶら下げてあり、それを見せて国の中に入るのだ。

 ……まあ、店自体目立つのと基本的にトマリ兄さんが引いているのとで顔パスみたいになっている節もあるらしいが。


 それでも一応の確認はするらしいので、こうして一旦止まる。

 荷台を確認したりされないあたり信頼が凄いが。

 その気になったら侵入者を荷台に乗せて入国させたりが出来てしまうわけだが。まあ、しないという確信があるのだろう。


「……さあ、行きましょうか」

「うん」

「買い物は?後でにするか?」

「いえ、先に終わらせてくるわ。時間も気にせずゆっくり見て回りたいもの」


 スコルに入って少し進んだところで出店リコリスから降り、そんな会話をするウラハねえとコガネ兄さんを横目に国の中を見渡す。

 久々に来たが、相変わらず魔力に満ちた国である。


「なら、場所だけ作っておく」

「ええ、お願い」


 話し合いは終わったようなのでウラハねえの横に並び、にっこりと笑ったウラハねえの手に握られている買い物リストを盗み見た。

 ……買い出しの内容としてはいつも通りだろう。


 このくらいならすぐに終わるな、と考えつつ手に持った杖を揺らし、動き始めた出店リコリスに手を振ってから歩き出したウラハねえを追いかける。

 多分買い物途中に寄り道をするだろうけど、ざっと一時間以内には全て終わって市場めぐりが始まるだろうか。


「どこから行くの?」

「そうねえ、とりあえず茶葉から行きましょうか」

「はーい」

「ついでにセルちゃんの興味のあるお茶も買って試してみましょ」

「本当に、流れるように甘やかされてる……」

「趣味みたいなものだもの。仕方ないわ」


 笑って言ったウラハねえを見上げつつ、トマリ兄さんやコガネ兄さんの言葉に従い諦めて笑う。

 甘やかすのが趣味とはいったい、と思わなくもないが、まあウラハねえが趣味だというなら趣味なのだろう。そこはもう考えたって仕方ないのだ。

 今はそれより、買い物リストを埋めていくことが重要なのである。


話に全く関係ない無駄話なのですが、ここ数日「天穂のサクナヒメ」というゲームをずーっとやっておりまして。

ずっと気になっていたので発売日に店を数店梯子して入手して、一日数時間くらいずーっとやっておりまして。

あーこれは話書かないやつだなー。ストック尽きるわどうしよーとか思っていたんですが、まさかの三日でクリアしてしまいまして。


はい。落ちもなんもない無駄話です。稲作楽しかったです。クリアしちゃったので、二週目行く前にストック作ろうと思います。

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