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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
454/477

454,魔力量の詳しい話

 ワンさん二匹との距離をジリジリ詰めていたら、ロイとシャムがジーブさんと仲良くなっていた。

 リオンはフレアさんと何やら話をしているし、なんというかコミュニケーション能力の高さが見えるなぁって感じだ。

 私はワンさんと仲良くなるのに必死なのにね。


「初対面じゃないよ……数年に一回会ってるよ……」

「お前は会うたびに魔力量が変わりすぎなんだよ」

「え、それが原因なんですか?」

「知ってる気配なのに魔力量が違うから戸惑ってる。毎度そうだ」


 そうだったのか……毎回忘れられてるんだと思ってた。

 ……でも、そんなに魔力量変わってるかな?

 確かに毎日それなりの量の魔力を消費してるし、練習も地味ーにずーっとやってるけど、魔力量ってそんなに一気に変化しないよね?


「リオーン」

「なんだー」

「私の魔力量って変わってる?」

「あー?……変わってんだろそりゃ」

「えー?」


 本当に変わってる……?

 リオンが言うなら変わってるんだろうけど、全く自覚は無い。

 首を傾げて杖を回していたら、ロイが笑いながら横に来た。


「セルリアはそもそもの魔力量が多すぎて、半分以上使うことが無いから自覚しにくいんだろうね」

「あー?……そう、かも?」


 確かに、長引いた戦闘とかじゃないと基本的に魔力は二、三割しか使わない。

 一割消費で終わることも多いし、半分使うとかは……最近だと、第一大陸の馬車の護衛の時にやったかな?ってくらいだ。


 なるほど、魔力量が増えても実感しにくい状況ではあるんだなぁ。

 なんて納得していたら、ジーブさんが何やら引いた目を向けてきていることに気が付いた。

 ……何ですかその目は。たまに姉さまに向けてるのは見たことあるけど、まさか私に向けられるとは思わなかった。


「お前……風の槍連発しといて半分も魔力使わないのかよ……」

「連発はしてないですよ。火力確保しようとしたらフル演唱なんですから」

「ダンジョン壊せるか試した時は結構撃ってたよね」

「そうだねぇ。あの時が一番連発したかも。あとは練習中」

「魔力消費考えないで連発出来てることが可笑しいんだよ。四大武器魔法の消費魔力量考えろ」


 確かに多めではある。けど、連発は出来る……あれ、出来ないのか?

 魔力量の基準は自分と姉さまだから、平均からずれてる可能性は高い。

 もしやと思ってロイを見ると、察したように笑顔を向けられた。


「魔法使いじゃない人なら魔力量が足りなくて一発も撃てないし、魔法使いでも三発くらいが限界じゃないかな?」

「……マジか」

「うん。マジです」

「シャム?シャムは?」

「私は七発くらいなら行けるかなぁ?って感じ。十は無理だね」

「シャム……!」

「感動してるとこ悪いが、お前の魔力量が可笑しいことに変わりはないからな?」


 そういうことをわざわざ言わないで欲しい。

 それにしても、比べることが無かったから知らなかったけど、魔力量ってそんくらいなんだなぁ。

 多いって言われることは結構あるけど具体的な量とかは言われたことなかったから、初めて聞いてちょっとびっくりだ。


 そりゃあ混血を疑われるわけだよ。

 自分の魔力量がどんだけ多いのかとか、普通知らないよ。

 だって基準はどうしたって自分なんだから。人の魔力量とか体感出来ないしね。


「ついでだ。お前ちょっと働いてけ」

「石ですか?」

「おう」


 小遣いやるから、と言われて、昔から言われてること変わらないなぁと思いつつ渡された箱を受け取る。

 中に入っているのは魔力の補填が出来るタイプの魔石で、中に魔力が残っていないものだ。


 これに魔力を満タンまで込めるんだけど、箱いっぱいに詰まった石全部に魔力を込めるのはちょっと大変だ。

 ジーブさんがリコリスに来る理由の七割くらいはこの魔力補充で、私は一時期魔力の調整をする練習にこれをずーっとやっていた。


 ちなみに姉さまはその辺苦手らしくて、魔力量はあるけどこの作業は出来ないらしい。

 家でやっていたのは専ら私とコガネ姉さんだ。

 シオンにいとかは魔力操作は本業じゃないって逃げてたし、トマリ兄さんは細かすぎて無理って逃げてた。


「はい、お茶どうぞ」

「ありがとうございます!」

「あざっす。……それなにすんだ?」

「魔力込めるんだよ。リオンもやる?」

「おう」


 お、やるんだ。魔力操作の練習ついでかな?

 魔力を込めすぎると割れることがあるので、壊さないようにギリギリまで詰め込んでいく作業なので、慣れるまではちょっと時間がかかる。


 練習にはちょうどいいんだよね。慣れてくると魔石を持っただけでどのくらい魔力が入るか分かるようになってくるのだ。

 そうなってくるともうなんか楽しくて、楽しいんだけど流れ作業でサクサク進んで行くことになる。


「……セル早くね?」

「慣れだよ」

「そいつは昔から魔力操作の精度が異常なんだよ」

「異常って言い方やめてくださいよ」

「……おかしい」

「あんまり変わってない」


 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ柔らかくなったけど、本質が何も変わってない。

 私より細かく弄れる人なんていっぱい居るだろうに。モクランさんとかすごいぞ。

 あの人魔力操作得意すぎて、三種類くらいなら別の魔法同時に練れるんだからね。


「これ満タンか?もうちょいか?」

「あー……もうちょい。あとチョンくらい」

「チョン……」


 リオンは魔力の移動は出来るけど、量の調整は苦手なタイプかな?

 出来て損はないからぜひ頑張って欲しい。

 割と苦戦してるみたいだけど、一回慣れたらもうどうにでも出来ると思うんだよね。


 そんな感じで魔石に魔力を込めている間、シャムとロイは魔法回路についてあれこれと話したり実物を見たりしに行っていた。

 フレアさんは私たちの様子を眺めながら編み物をしていて、時々私やリオンと喋っている。


「おーっし、終わったー」

「だいぶ慣れた?」

「ま、多少はな」


 魔石全てに魔力を補充したら、最後の方はリオンも補充速度が上がっていた。

 やっぱりこういうのは数をこなすのが一番だよね。やったらやっただけ慣れるからね。


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