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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
437/477

437,突発戦闘とお昼ご飯

 杖を構えて真下を狙い、作った氷を削り出す。

 風に乗せて思い切り撃ち出して、着弾確認をしてシャムに合図を送る。

 地上でリオンが動いているのを確認して新しく風と氷を作り出した。


「セルリア、もう一撃お願い」

「はーい」


 ロイから声を掛けられたので、練り上げた魔法を再度撃ち出す。

 さーて、これでどうなったかなぁ?

 突発戦闘だったから、とりあえず魔法撃ってるだけで状況把握が完璧じゃないんだよね。


「セルー。降りてこーい」

「はぁーい」


 もう動かないかな?と上空で眺めていたら、リオンが声を掛けてきたのでそれに従って地上に降りる。おー、しっかり倒されてる。

 突発戦闘だったけど誰も怪我とかしなかったし、いい感じではあるかな。


「んで、結局こいつ何なんだ?」

「ヘビャヨ。特殊な魔力とか、質の高い魔力とかに集まってくるんだよ」

「……僕以外は皆狙われるね」

「道理で凄い速度で寄ってきたわけだ……」


 鬼人とハーフエルフと精霊の加護持ちだもんねぇ……そりゃあ魔力目立つよねぇ……

 とんでもない勢いで寄ってきたからびっくりしちゃったよね。

 驚きすぎて思考止まってたから、本当にただロイの指示を聞いてただけだった。


「素材が結構いい値段で売れるから、解体して持っていこうか」

「おー。毛皮か?」

「毛皮と爪と牙だね」

「全身くまなく素材だ」

「肉食えんのか?これ」

「……毒ではないと思うよ。セルリアどう?食べれそう?」

「ちょっと食べてみれば分かるかな。もう昼休憩にする?」

「もう少し進んだところに休憩できるところがあるから、とりあえず解体してそこまで移動しよっか」


 骨もなんかに使えたりするのかな?めっちゃでっかくて立派な骨だけど。

 なんて考えながら、解体が終わるまでは浮いて辺りを警戒しておく。

 索敵範囲には何にもいないけど、血の匂いとかで寄ってくる可能性があるからね。


 寄ってきたらリオンも気付くだろうけど、今は解体作業に集中してるからいつもよりは意識が向くのも若干遅いだろう。

 なのでこの時間はしっかり警戒しておかないといけない。


「なんかでけぇ玉出て来たぞ。これなんだ?」

「お、魔力嚢だね。魔石の一種だよ」

「結構高く売れるよ」

「いいやつか」

「うん、いいやつー」


 なんかいい感じに高値の素材が出たみたいだ。

 突発戦闘はひやひやするけど、こういうのがあるから悪いことばっかりじゃないよね。

 まあ、あんまり多いと疲れるからほどほどに、もしくは来ないで欲しいけど。


「……んぁ、なんか寄ってきたよ」

「どっちから?」

「向こう。ゆっくりだけど止まらずに来てる」

「……了解。シャムとリオンは解体を続けて」

「はーい」


 会話に耳を傾けながら風を撒いて情報を集めていたら、何かゆっくりとこちらに近付いて来るものを見つけた。

 あんまり敵意とかは感じないけど、何かが分からないから警戒はしておかないと。


 さほど疲れてもいないし連続戦闘でも余裕はあるけど、戦闘中は移動が出来ないから出来れば避けたいよね。

 予定から遅れているわけじゃないとはいえ、野営が一日延びればそれだけ襲われる危険も増えるわけだし。


「あ、見えた。ロイも見る?」

「そうだね、お願い出来る?」

「あーい」


 一度下がってロイの手を取り、先ほどいた位置まで上がる。

 見えにくいようなら遠視魔法も軽く作ろうかと思ったけど、要らなそうかな?

 まあ見えなかったら言ってくれるだろうし、言われてからでいいだろう。


「あれか……あぁ、ポラーマだ。大丈夫だよ」

「襲ってこないやつ?」

「うん。落ちた血とかを飲みに来てるだけだから、刺激しなければ平気」


 初めて見る魔物だけど、ロイがそう言うなら大丈夫なんだろう。

 リオンも特に反応してないしね。

 そんなわけでロイを地上に降ろし、ゆっくり近付いて来るポラーマというらしい魔物を眺める。


 ……のっそのっそ歩いてるなぁ。

 毛が長くて分かりにくいけど、多分六足だな。

 耳……耳ある?垂れてるだけ?毛が長いから全ッ然分かんないな。


「……これ目ぇどこにあんだ?」

「ね、分かんないよね」

「横にあるよ」

「横なんだ……」


 リオンもすっごい不思議そうにしてるし、私も気になって浮いてはいるけど意識が下に向いている。

 どうなってるんだろうなぁ……と観察している間に解体作業が終わったので、地上に降りて増えた荷物を浮かせた。


「……血ぃ舐めてる」

「ポラーマは他の奴が狩った獲物の血だけを求めて来てるからね」

「それで生きていけるの?」

「魔物だからねぇ。魔力が宿ってれば大丈夫なんだと思うよ」


 そう言うもんなのか……まあ、確かに血には魔力が宿ってるけども。

 魔獣とか魔物は、危険度とか注意しないといけない相手とか、そんな感じの覚え方と調べ方しかしていないから分からないことが多い。


 生態とか調べたら面白かったりもするかな?

 シャムに聞いたら教えてくれそうだけど、忙しいだろうしまずは図書館で本とか探してみよう。

 まあ、それも無事に帰ってからの話だけどね。


「あ、あそこのでっかい木が安全地帯だよ。他に人もいないみたいだし、お昼休憩にしよ」

「っし、飯ー」

「とりあえずちょっと焼いてみて、どんな感じか確かめないと」


 昼休憩の安全地帯に着いたので、先ほど捌いた肉を一口大に切って串に刺し、軽く塩と胡椒を振って焼く。

 匂い自体はいい感じだけど……どうだろう?ちょっと硬いかな?


「焼けたよー」

「おっ」

「いい香りだー!いただきまーす!」


 一人一本串を持って、ちょっと冷ましてから齧りつく。

 ……うん、思ったより美味しいけど、ちょっとスジっぽくて臭みがあるかな?

 串焼きにするよりは煮込んで柔らかくして、臭みもしっかり消した方が美味しそうだ。


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