表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学び舎の緑風  作者: 瓶覗
436/477

436,魔力量の多い土地

 レモラで一泊して、今日からいよいよ第一大陸を進んで行くことになる。

 目的地であるクンバカルナに向かうにつれて魔物は増えるし強くなるだろうから、徐々に進行は辛くなっていきそうだ。


 野営の時の警戒も強めにしないといけないかなぁ?

 一応風は常時展開してるし、なんかあれば起きれるとは思うんだけど……

 まあ、心配しすぎても変に疲れちゃうし気楽に構えてた方がいいか。


「セルー。行くぞー?」

「はぁーい。リオン外套要らないの?」

「何か暑くね?」

「第一大陸は気候が温暖だからね。何かあった時にすぐ羽織れるようにしておいて」

「おう」


 私は外套着ててちょうどいいけど、リオンは暑いらしい。

 もしかして、周りの魔力量で体感温度が変わったりするのかな?

 その辺ちょっと気になるから、今度暇な時にでも調べさせてもらおう。


 とはいえ今は移動と周囲の警戒に集中しないといけないから、気にはなるけど思考の隅に押しやっておこう。

 こういうのはね、暇を持て余した時に考えたりするのがいいんだよ。


「えーっと……あっちだね」

「向かう方向もしっかり決まってるんだよね?」

「うん。野営地に向かって進む感じ。昼休憩はあんまりこだわらないけど、危なそうなところは避けて、出来れば人混みも避けようか」

「おう」

「じゃあ、いつも通りリオン先頭、セルリア最後尾で進もう」

「はーい」


 門の外に出たところで風を起こし、軽く纏った後は周りに流して索敵用にしておく。

 周りの魔力量が多くてあんまり風を撒きすぎると疲れそうだから、いつもより少し薄めの索敵網にしておいたんだけど……これでも十分分かるな、よしよし。


 なんかあったら風追加して調べればいいから、とりあえずこれで行こう。

 微調整は歩きながらでも出来るしね。

 杖を回しながら先に歩いて行く三人の後を追いかけて、のんびりと歩いて進む。


「……なんか魔力の塊みたいな場所がちらほらと……」

「魔力溜まりだね」

「あぁ、あれが……他の大陸にもあるんだっけ?」

「あるけど、数はかなり減るね。第一大陸は多すぎる」


 シャムとリオンは結構先に進んでるので、ロイと並んでのんびり歩く。

 警戒しないといけないとはいえ、この程度の距離なら私がロイを抱えてひとっ飛びなのであんまり気にする必要もない。


 今はそれよりも、他の大陸では滅多に見ないのに第一大陸にはポコポコある魔力溜まりが気になる。

 魔力がやたらと溜まる場所ってのは、便利に利用することも出来るけどそこから魔物が発生したりもするから扱いには気を付けないといけない場所のはずだ。


 なのに第一大陸には魔力溜まりがポコポコある。私の索敵の範囲だけでも三個もある。

 こんなにあって大丈夫なのかな……まあ、大丈夫だから人が住んでるんだろうけど。

 第一大陸は大陸内の国の数が一番多いくらいだし、何だかんだ住みやすい……のかもしれない。


「何かあの花魔力凄いんだけど、あれなに?」

「どれ?……あぁ、あれか。チャチャナだね」

「……聞き覚えはある……姉さまが集めてた気がする……」

「薬の材料にもなるし、魔道具の材料にもなるよ」


  なるほど。薬の材料になるものは大体リコリスにあるし、姉さまの場合は急に大量に必要になったりもするからね。

 私が見たのは急に大量に必要になった時、だったんだろう。


「なんか、本当に色々魔力に関するものが大量発生してるなぁ」

「そうだね。体調とか、変化はない?」

「うん。これくらいなら全然平気。リコリスも魔力量多い土地だし」

「それもそうか。……なんか二人とも速度上がってる?」

「……本当だ。追いかけよっか」


 話しながら歩いてる間にリオンとシャムが随分先に進んでいて、よく見たらさっきより速度が上がっていた。

 まーたなんか盛り上がってるな?すぐにテンション上がって走り出すんだから……


「何してんのー」

「あ、気付いた」

「バレたー」

「そりゃ気付くよ。ほら止まって」


 ロイを風に乗せて一緒に飛んでいくと、二人は笑い声を上げながら止まった。

 私たちが喋ってるから速度上げてもバレないと思ったのかな?

 だとしてもなんで走るんだよ。おちゃめなの?悪戯心なの?


 何はともあれ合流したからこのまま歩くけど、毎度毎度加減速が急なんだよなぁ……

 そういう謎の行動がきっかけで、ロイが笑いすぎて動けなくなったりするんだから。

 私が色んなものに気を取られてたのも悪かったけどさ。


「そーいや、なんか向こうからやたら魔力が流れてくんのは何でだ?」

「そっちの方向が暗黒の大地だからだね」

「魔界と繋がってるんだっけ」

「そう言われてるけど……実際行ったりは出来ないからねぇ。魔力が多いし、魔物の量も桁違いに多くはなるけど」


 魔力の流れが他の大陸と全然違うのは、リオンも気になっているみたいだ。

 まあ私より魔力に敏感な時もあるし、そりゃあ気になるよねって感じ。

 私も大いに気になる。気になるけど、あんまり風で探らないようにしてる。


 索敵が魔法だと、魔力に影響を受けるあれこれを探りにくくてちょっとだけ不便だな。

 普段はそんなに困ることも無いのに、こういう時だけやたら不便に感じる。

 基本的には絶対魔法の方が便利なのになぁ。周りに魔力を流さないように情報収集とかできないのかな?


「……お?なんか居んな」

「こっち来そう?」

「いや、ずっと止まってる」

「……あぁ、これか。私たちに気付いてるけど、何にもする気はないみたい」

「それなら迂回して進もうか」


 リオンが足を止めたのでそれに合わせて止まり、リオンが見ている方向に風を飛ばして辺りを索敵する。

 確かにそこには、でっかいのが一匹座ってこちらを見ていた。


 特に警戒するでもなく、移動する気配も無く、ただのんびりとこちらを見ているだけみたいだった。

 多分ものすごい強い魔獣だな。「なんかちっちゃいのが通ってらぁー」くらいの関心の向け方だ。

 下手に近付いたり刺激したりしなければ、わざわざ攻撃を仕掛けたりはしてこないだろう。


「右に避けよう。シャム、先導お願いしていい?」

「はーい、任されたー」


 位置の共有は出来たので、先導するシャムの後ろにあまり距離を開けずについて行く。

 ずーっと見られてるけど、本当に目線以外動かす気がないみたいだ。

 触らぬ神に祟りなし。妙なことが起こる前にさっさと通り抜けよう。


 そんなわけでやんややんや言いながらも進んで、安全地帯でお昼休憩を取った。

 リオンが寝てるのを眺めながらのんびり食後のお茶を楽しむ余裕まであったし、注意を払うところは多いけど何だかんだいつも通り進めてるな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ