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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
433/477

433,続く悪天候

 朝起きて窓の外を確かめると、外は雨が降っていた。

 小雨ではあるけど、どうなるかなぁ。船の事は全く分からないし、確認しないとなぁ。

 朝の予定を考えながら着替えて髪を結ぶ。


 ちょっと肌寒かったので外套を羽織り、とりあえずお茶を淹れることにした。

 寒い朝には温かいお茶が欲しくなるよね。

 家では特別寒い日にウラハねえがいつもとは違うお茶を淹れてくれたんだけど、あれの淹れ方知らないんだよね。


 今度帰った時に覚えてたら聞いてみようかな。

 なんて考えながらお湯を沸かして茶葉を用意し、カップを二つ用意しておく。

 お湯が湧いたら茶葉を入れて、上に綺麗な布を被せて少し待つ。


 時計を見ながら待機して、一定時間が経過したら布を退かす。

 魔法で中身を浮かせて茶葉を取り除いていたら、丁度ロイが起きてきたのでカップを一つ渡して、小鍋を洗って乾かした。


「おはよう、ありがとう」

「おはよう。小雨だけど雨降ってるよ」

「確認に行ってみようかな。セルリアはどうする?」

「行くー。これ飲んでからでいい?」

「うん。船が出るにしても時間があるし、ゆっくり行こう」


 話しながらのんびりお茶を飲んで、カップを洗ってから宿を出た。

 外に出たら私が確認した時より少し雨が強くなっていたので、水傘を組んで通りに出る。

 二人分だからそんなに大きくしなくてもいいかなぁ。狭くない、くらいでいいよね。


「これ便利だよね」

「コガネ姉さんから覚えると便利って教わったくらいだからね。便利さはお墨付きだよ」

「コガネさんも使ってたの?」

「多分ね。姉さまと旅してたりもしたらしいから」

「へぇ……アオイさんが旅をするのは色々大変そうだね」

「大変だったってコガネ姉さんが言ってた。多分コガネ姉さんが一番大変だったんだと思う」

「……なんか凄い納得した」


 だよねぇ。面倒事を発生させるのはアオイ姉さまだけど、それを解決させるのはコガネ姉さんだからね。

 旅してた頃はコガネ姉さんと小鳥組しかお供がいなかったらしいし、コガネ姉さんの負担は今より大きかっただろう。


 姉さまは何もしてなくても何故かトラブルを引き寄せるからね。

 リコリスに居てもそれなりの頻度で面倒ごとに巻き込まれてるんだから、旅してた頃は比にならないくらい色々起こってたんだろう。


「さて……そろそろ一番早い出航時間だけど、あんまり人がいないね」

「だねぇ。あの人船の関係者かな?」

「話を聞きに行ってみようか」


 話しながら船着き場まで来たのだけれど、人は少ないしあんまり期待はしない方が良さそうだ。

 止まってあたりを見渡していたらロイが歩き出したので、歩みを勧めつつ再度あたりを見渡してみる。


 人がいないとこんなに広くて静かなんだなぁ。

 ここの船着き場は三回ほど使った事があるけど、全部人が多くて賑やかな日だったからかなり新鮮だ。お店とかも無いし、本当に人の有無で変わるんだろう。


「おはようございます、今日は船は出そうですか?」

「今日は駄目だろうなぁ。明日もどうなるか分かんねぇ。急ぎかい?」

「いえ、数日程度なら待ちますよ」

「そうかい、それがいい。急ぎ過ぎてる奴らは大体無理に渡ろうとして海に沈むからな」


 ……この天候でも無理に船を出す人がいるのかな。

 他が全部出さないって言ってる中で一船だけ出航するって言う船があったら、どうしても急がないといけない人は乗ったりもするだろう。


 自分の命を危険にさらすくらい急がないといけない事ってなんだろうなぁ……

 なんであれ死んじゃあ元も子もないだろうに。


「ちなみに、セルリアはここから第一大陸まで渡れる?」

「ん?んー……まあ、渡れると思うよ。フォーンからリコリスまで飛ぶ時より、多分距離短いよね?」

「そうだね、直線距離なら短いかな。……普通に渡れるんだね」

「一人ならね。他の人を連れてってなるとちょっと厳しいかも」


 複数人での長距離移動はやったこと無いからなぁ……今後必要になるかもしれないし、耐荷重量アップでも目標にしてなんかしらやろうかな?

 リオンを抱えて飛び回ってればいい練習になりそうだし、リオンも飛ぶの好きだから多分付き合ってくれるだろう。


「とりあえず宿に戻ろうか」

「うん。朝ごはん買って帰ろー」


 話している間にも雨脚が強まってきているので、ちょっと足早に帰ることにしよう。

 途中にあった出店をいくつか覗いて朝ご飯を確保し、ついでに飲み物も買って戻ってきた。

 部屋に入ってから外套の裾が少し濡れていることに気が付いたので、風で乾かしておく。


「ロイの外套も濡れた?乾かす?」

「お願いしようかな」


 外套を受け取って風の中に入れて、乾くまでグルグル回す。

 服とか乾かす時はこれが一番早いんだよね。

 野営中も結構やったりする。洗う時は魔法で水を作って中に入れてグルグル回して、乾かす時は風の中でグルグル回す。


 コガネ姉さんとかウラハねえとかから「こうすると楽だよ」って教えて貰って、学校の寮でも割とやってたりするんだよね。

 ちなみに服用の石鹸も貰ったのでそれも持ってきてるんだけど、今は乾かすだけだから使わない。


「おはよぉ……」

「おはようシャム。朝ごはんと飲み物買って来たよ」

「うんー……」


 乾いた外套をロイに返して椅子に腰を下ろしたところでシャムが起きてきたので、横に座らせてとりあえず飲み物を一つ渡しておく。

 一応受け取りはしたけど、まだ眠そうだし飲まないかな。


「今日の予定はリオンも起きて来てから決めようか」

「はーい。……うーん……やっぱりちょっと寒いな……」

「何か追加で着る物とかある?」

「今はない、から魔法でどうにかする」


 テーブルセットを覆うように風を展開して、足元に温かい空気を作る。

 外と空気を遮断するだけでもある程度温かいし、これはそんなに強くしなくていいだろう。

 ロングステッキから手を放してもリングだけで維持できるくらいの簡単な魔法なので、朝ごはんも悠々食べられる。


「よーし」

「……凄いね、温かい」

「いいでしょ。風魔法はこういうこと出来るから便利。さ、朝ごはん食べよ、ロイどれにする?」

「とりあえずその右のやつ貰おうかな」

「はい」

「ありがとう」


 朝からドヤ顔を決めつつ買ってきた朝食を机に並べ、各自好きなのを選んで食べ始めた。

 そんなことをしている間にリオンも起きてきて、シャムの目も覚めてきたので朝ごはんを食べつつ今日の予定を話し合う。

 クエストに行くにしても慣れない土地で雨だからね、気を付けないといけないだろう。


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