表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学び舎の緑風  作者: 瓶覗
428/477

428,しっかり刺された

 家から届いた手紙を開けて、中から出てきた一回り小さな封筒を一度見なかったことにして、封筒の中身をもう一度確かめたらさらに別の紙が入っていることに気が付いた。

 ……三種類目?一旦見なかったことにした二種類目はまだ分かるけど、この三種類目の紙は何?


 家からの手紙に入っているので変なもんでは無いと思うけど、あまりにも予想外なせいで思考が停止してしまった。

 んで、これ何よ。私がサフィニア様に送ってる手紙みたいに端をテープで止めてあるけど……これ私宛だよね?合ってるよね?


「……とりあえず開けてみるか」


 最悪私宛じゃなかったら、その旨を手紙に書いて家に送り返せばいい。

 そんなことを考えつつテープを切って手紙を確認すると、一行目にセルリアへ、と書かれていたのでとりあえず私宛であることが確定した。


 まあ、誰からの手紙なのかはまだ分かってないけども。

 どうしようかな、家からの手紙から読むか、この送り主不明の手紙から読むか、一周回って端に避けたサフィニア様からの手紙を先に読むか。


「……持ってるし、これから読むかぁ」


 手に持っていた紙を再度開き、内容を確かめる。

 サラッと確認した感じ、どうやらクリソベリルからのお手紙らしい。

 そんなに長い手紙ではなく、卒業後に誘ったの忘れんなよ、という釘刺しの手紙だった。


 正直忘れてたから、釘刺しされてちょっとギクッてしちゃったよね。

 こういう釘刺しをされると、卒業が近付いて来てるんだなぁという実感が湧いてくる。

 あと五か月くらいか……多分あっと言う間だよなぁ。


「どうしよ」


 小さく呟いて、手紙を机に置く。

 今回の手紙の三分の二が卒業後に関わってくる話題なんだよね。

 そろそろ真面目に考えないとと思う気持ちと、まだ後回しで良いだろうと思う気持ちでなんだか思考がグルグルしてきた。


「はぁー……とりあえず家の手紙読むかぁ」


 こっちは絶対の安心感があるからね。一旦お茶を入れて、落ち着いてゆっくり読もう。

 そう思ってお湯を沸かしていると、部屋の扉がノックされた。

 時間的に人が来てもおかしくないんだけど、一応警戒して杖を持ってから扉を開ける。


「はーい?」

「セールちゃん!今暇?」

「暇だよー。ちょうどお茶淹れるところだからどうぞー」


 ノックの主はシャムだったので、扉を開けて中に招き入れる。

 多めにお湯沸かしててよかった。二人分なら足りそうな量はあるかな。

 たまーにこうして人が遊びに来るから、多めに沸かす癖がついてるんだよね。


「これお土産ー!」

「わ、茶葉だ。ありがとー」

「食堂のお姉さんが教えてくれた、今季一番美味しい茶葉です」

「絶対美味しいじゃん。これ淹れてみる?」

「いいねぇ」


 まだお湯を注ぐ前だったので、茶葉を入れ替えて二人分のお茶を用意する。

 シャムがわざわざ部屋まで来るときは、相当暇を持て余しているか普通に大事な用事があるかの二択だから、どっちにしろ茶菓子も欲しいよねぇ。


 棚の中を探してみたらクッキーが出てきたので、二種類ほど取り出して皿に開ける。

 初めて飲むお茶だから合うかどうかは分からないけど、クッキー単体で美味しいからまあいいよねの精神だ。


「はい、どうぞー」

「ありがとう。ごめんね急に」

「いいよー。なんか用事あった?」

「んっとねー、まずは、次の遠出の予定をお伝えします!」

「おっ。決まった?」

「うん!次は、第一大陸、クンバカルナです!」


 候補は幾つかあったけど、次はクンバカルナになったらしい。

 第一大陸ってことは、また船旅かな。……私最近あの航路の船乗る頻度凄いな。

 まさかこんな頻度で船旅することになるなんて。


「詳しい予定はまた皆揃った時に伝えるけど、とりあえず準備だけ始めててほしいな」

「オッケー。任せろー」


 私が用意するのは大体食料なので、近々買いに行こうかな。

 第二大陸から帰ってきた時に荷物整理はしてあるので、足りない分をリストアップして買い足すだけで大丈夫そうだ。


「それから、もう一個。討伐したい魔獣がいます!」

「おっ。珍しい」

「魔道具作るのに素材が欲しいの!代用出来なさそうだからどうしても欲しいのー」

「そっか、シャムって選択授業魔道具なんだっけ」

「うん!」


 普段あんまり話題に出ないけど、シャムの第二選択授業は魔道具作製なんだよね。

 授業にも出てるし、作りたい魔道具があったけど学校に材料が無いって感じなのかな。

 そうなると自分で取りに行くことになるのか。


 自分で取りに行けない場合はクエスト発注ってことになるのかな?

 卒業後に魔道具職人とかになる人にとっては、一連の流れに慣れるのにちょうどいいのか。

 面白いなぁ。そういう所まで考えられてる感じがする。


「ちなみにその魔獣がいるのが第六大陸だから、雪原にもついでに行こうね」

「第六大陸なんだ。じゃあ防寒装備も用意しないといけないね」

「そうだねぇ。その辺はまた皆で買いに行こっか」

「うん」


 日程が決まったら姉さまに連絡取って、雪原行くよーって言っておこうかな。

 会わないといけない用事もないけど、ワンさん二匹には会いたいもんね。

 予定が合わなければ別に会わなくてもいいけど、聞いてみるだけタダだからね。


「楽しみだね」

「ねー。向こう二か月くらいの予定これで決まっちゃったね」

「時間足りなくなりそう」

「ね!出たい授業もあるけど、行きたいところも多いよねぇ」


 シャムも結構授業出るから、時間が足りないのは本当にそうなんだろうな。

 朝は頭が働いてないから出るのは二限からだもんね。

 その気になれば一限も出れるんだろうけど、その時間は頭を起こしがてら別の作業してるらしいから今でも予定がギチギチらしい。


「研究職はいつでも大変そうだねぇ」

「戦闘職も大変そうだけどね。割とずっと第一選択授業出てるイメージある」

「あー……暇だと皆第一選択出るからねぇ。趣味みたいな感じもあるし」

「疲れない?」

「軽い運動くらいに思ってるかも」

「わお」


 戦闘職は座学の方が疲れる!って運動しに来る人が多いからね。

 その辺は研究職とかと真逆なんだろうなぁ。まあ、どっちにも逆の性質の人は居るだろうし、私みたいに運動も座学も好きって人もいるけどね。

 そんな話をしつつお茶を楽しんで、そのまま一緒に夕食を食べに食堂に行った。


あけましておめでとうございます。

今年の目標はこのままペースを乱さず完結まで行くことです。

もう大分残りも少なくなってきているので、最後までお付き合いいただけると幸いです。今年もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ