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学び舎の緑風  作者: 瓶覗
417/477

417,休みももう終わり

 今日は職人さんに鍛え直してもらっていたリオンの大剣を受け取って、そのまま学校の寮に荷物を運ぶ予定になっている。

 この休みは何だかんだゆっくり出来たね。


 家にも帰れたし、後半はミーファ達とも遊べたし。

 討伐系のクエストにはあんまり行かなかったけど、それもいい休憩になった気がする。

 とはいえそろそろのんびり休む時間も終わりにして、動き回る準備をしないとね。


 後期が始まるまでまだ少し時間があるから、リオンの剣の試し切りにも行きたいし何かしらの討伐クエストに出よう、という話になった。

 まあ、今日は大剣受け取って荷物運んでおしまいになるけど。


「後期、何しようね」

「どこか行きたいところとかはある?」

「んー……クンバカルナ」

「俺はあれだな、第六大陸行ってみてぇ」


 話しながら職人街を歩いて、大きな通りからかなり逸れたところにある工房を目指す。

 なんでこう、腕のいい職人さんって隠れ家的な工房に引きこもるんだろうね?

 それでも仕事が来るからなのかもしれないけど、わざわざそんなところに……?って場所に住みがちな気がする。姉さま含め。


 優秀過ぎると周りの目とか声とかが嫌になるのかな?

 姉さまの場合は、完全に中立を貫くために国以外の場所に定住することにした、って言ってた気がするけど……


「あれ、他に人がいる」

「本当だ。お客さんかな?」


 工房の前に人が立っていたので、その人の用事が終わるのを待つかどうか、測りかねて一旦ロイを見上げる。

 今回お願いした職人さんの工房は、中がそんなに広くない。


 奥に作業スペースがあるみたいだから、そっちがメインの建物なんだろうね。

 なので今回も私たちは外で待ってようかなぁと思っていたから、あの人の用事が終わるのを待つにしろとりあえず中に声をかけるにしろここで待つんだけど……


「あぁ、お客さんですか?どうぞ」

「あ、どうも」

「ではお師匠、私はこれで」

「おう」


 お客さんではなくお弟子さんだったようだ。

 にこやかに去って行ったお兄さんを見送って、工房に入っていくリオンについて行く。

 中には入らないけど、気にはなるよねぇ。


「セルも来るか?」

「邪魔じゃない?」

「そこまで狭かねぇだろ」


 ……じゃあ、いいか。

 ちらっとロイたちを見たら笑顔で手を振られたので、ついて行くことにした。

 とはいえ邪魔にはならないように、ちょっと後ろに下がっておく。


「おう坊主。出来てるぞ」

「あざっす!」


 職人さんがリオンに差し出した大剣は、新しい鞘に収まっていた。

 特に装飾とかも無い鞘だけど、何の飾りも無い感じがむしろものすごくカッコイイ。

 色が前より暗めになったのもカッコイイなぁ。自分では使えないけど、でっかい武器ってやっぱりそれだけカッコイイよね。


 なんて一人で感動している間に、リオンが鞘から剣を抜いた。

 前までは、よくある大剣、ちゃんと手入れされているけど細かい傷がたくさんついてる剣、って感じだったけど、新しく作り直された大剣は、傷が消えるどころの変化ではなかった。


 刀身の色は前よりもずっと黒に近くて、それでも刃物特有の輝きがあった。

 傾けると、光が反射して鈍い赤色に光る。

 ……リオンの魔力の色に似てる、深い赤色。


「おわ……」

「すっげ……」


 思わず歓声を漏らすと、職人さんが刀身を軽く叩いた。

 衝撃が加わったところが、少し明るくなる。

 発光してる感じではないけど、波打つように明るくなるからすごい不思議な感じだ。


「赤いのは魔力だ。色が暗くなったのがキングホーンの角。後は大体、振ってりゃ分かるだろ」

「うっす!あざっす!」


 代金は前払いだったので、あとはこれを貰って帰るだけだ。

 器用に大剣を背負ったリオンと一緒に工房を出て、外で待っていた二人と合流する。

 ……うん、やっぱり大剣背負ってた方がバランスがいいね。


「お、色味変わった?」

「おう!刀身赤ぇぞ!」

「試し切り、いつにしようか。早い方がいいよね?」

「明日行こうぜ」

「いいよ」


 新しい武器を手に入れてウッキウキなリオンと、そうなると思っていたらしいロイの話は流れるように纏まった。

 まあ私もそうなるだろうとは思っていたから、行く準備は出来る出来てるけどね。


 何はともあれこれで急ぎの用事は全部終わった。

 この後は宿に戻って荷物を回収するんだけど……お昼ご飯どうしようかなぁ。

 荷物を学校に置いてから食べるか、もう荷物を回収する前に食べちゃうか。


「シャムお腹空いた?」

「んー……私は荷物置いた後でいいかな。リオン達は?」

「俺は腹減った」

「僕は……どっちでも」

「セルは?」

「私はまだお腹空いてないかな。どうする?」

「じゃあ荷物運んだ後にすっか」


 そうと決まれば、さっさと宿に帰るに限る。

 職人街から宿までは地味に距離があるから、来た時と同じようにダラダラ話しながら歩く。

 これ、リオンは途中で何かしら買い食いしそうだなぁ。


 まあそれはいつもの事なので、一旦大通りに出てから人混みを避けて移動する。

 宿から荷物を回収して、今度は学校に向かう。

 学校に向かう坂道をのんびり上がっていくと、校門の前にグラル先生が立っているのが見えた。


「お。おかえり初日組!」

「ただいま戻りましたー。先生何してるんですか?」

「アリィが来るの待ってる。君らはこの後何かすんの?」

「飯食い行きます」

「そらいい。たんとお食べ」


 軽く話してから門を潜り、部屋の鍵を受け取って各自寮に向かう。

 荷物を置いたら再集合だから、とりあえず置くだけかな。

 片付けは今日の夜か明日以降にすればいいので、いつものウエストポーチだけ持っていこう。


 さーて、ご飯何食べようかなぁ。

 肉より魚が食べたい気分だな。パスタでもいい。……うん、魚系のパスタが食べたい。


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